北望
宋 陸游
北望中原涙滿巾,
黄旗空想渡河津。
丈夫窮死由來事,
要是江南有此人!
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北望
北のかた 中原を 望めば 涙 巾に 滿ち,
黄旗 空しく想ふ 渡河の津
(わたし)
。
丈夫 窮死するは 由來ある 事,
要
(もし)
も 是れ 江南に 此の人 有りせば!
******************
◎ 私感訳註:
※北望:北の方…を望む。
※中原:黄河下流流域の漢民族の故地。当時は、女真族の金国ができていた。
※涙滿巾:涙がハンカチにいっぱいになる。 ・巾:布で作ったもの。てぬぐい。えりまき。ずきん。
※北望中原涙滿巾:北の方の(陥落している)中原の方を望めば、涙がハンカチにいっぱいになる。
※黄旗:天子の旗。中軍の旗印。南宋軍をいう。ここは、天子の旗、大纛ととったほうがいいだろう。
※空想:むなしく想像する。
※渡河:黄河を渡る。
※津:渡し場。船着き場。
※黄旗空想渡河津:王師が黄河以北に攻め入るのをむなしく想像する。
※丈夫:ますらお。立派な男児。
※窮死:追いつめられて死ぬ。
※由來:わけがある。理由がある。
※事:ことがら。
※丈夫窮死由來事:真男児が、窮迫の内に死ぬのは、わけがあることなのだ。男子が死を賭して行動することには、深い意義があるのだ。
「孟子巻六・縢文公・下」にある「
志士不忘在溝壑
,
勇士不忘喪其元
。(元:首、頭)」
ということをいっている。
※要是:(白話)もしも…ならば。「要是」以降の句は仮定になる。
※江南:長江以南の地域。中国南部。当時の南宋の領域。
※有:いる。
※此人:この(ような)人。中原の回復をしようとする人。金を打倒しようという人。
※要是江南有此人:もしも、南宋国内に、中原を回復をしようとする人がいるのならば(男子が死を賭して行動することには、深い意義があるのだ)。第三句と第四句は倒置になっている。
◎ 構成について
七言絶句
。仄起。平韻一韻到底。 韻式は「AAA」。韻脚は「巾津人」で、平水韻上平十一真。次の平仄は、この作品のもの。望、空は両韻。
●●○○●●○,(韻)
○○○●●○○。(韻)
●○○●○○●,
●●○○●●○。(韻)
2002.4.25完
4.26補
4.27
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