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趙村紅杏毎年開,
十五年來看幾迴。
七十三人難再到,
今春來是別花來。
趙村の杏花に遊ぶ
趙村の 紅杏 毎年 開き,
十五年來 幾迴か 看る。
七十三 人 再び 到ること 難ければ,
今春 來たるは 是れ 花に別れんとして來たるなり。
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◎ 私感註釈
※遊趙村杏花:趙村に杏の花見をする。この作品は『全唐詩』にある。 ・遊:あそぶ。ここでは、お花見をすることになる。 ・趙村:洛陽の東にあるアンズの花の名所。この地名について伊勢丘人先生より御教示をいただいた(2004.11.16)。御指摘に由ると、「趙村」は現在の洛陽市の今の中心部から遠いところではなく、関林(関羽の首塚を祀った神社)や龍門の石窟への途中、新らしい市役所の一帯を右(南)に見て、それから右折(南)したところの交差点の辺りに、「趙村」という地名の一帯がある。ただ、杏の樹影については定かではないとのことである。一帯はみはるかす平原の中にあり、白居易の家のある履道里からも遠くないとのことである。ただ、現在では旧洛陽から見ると、ずっと狭くなっており、この「趙村」も旧「洛陽城」の城郭の中だと思われ、ここでの「村」の語義については一定の問題があるとのことである。現在の洛陽市の東部に位置するが、旧洛陽城では東南にあたるか。 ・杏花:〔きゃうくゎ;xing4hua1〕アンズの花。蛇足になるが、「あんず」の音は“杏子”の唐音〔アン ズ〕。
大きな地図で見る洛陽市街図(部分)
※趙村紅杏毎年開:趙村では、毎年開(赤い)アンズの花が毎年咲きひらく。 ・紅杏:(赤い)アンズの花。 ・開:咲く。ひらく。
※十五年來看幾迴:十五年このかた、見に来たのは何回になるか。 ・十五年來:十五年このかた。 *年表から推算すると、白居易が七十三歳の時は844年(武宗の會昌四年)になり、844−15=829。この829年は文宗の太和三年になり、白居易が退隠して洛陽に住み始めた時になる。 ・看:見る。 ・幾迴:何回めぐることになるのか。 ・迴:めぐる。=廻、回。
※七十三人難再到:七十三歳の人(白居易)にとっては、もう一度やってくることのは、むつかしい。 ・七十三:七十三歳。白居易自身の年齢をいう。 ・人:ここでは、白居易のこと。 ・難:むつかしい。困難である。かたい。形容詞。 ・再到:もう一度やってくる。
※今春來是別花來:この春、(ここに花見に)やって来たのは、花に別れを告げる(ため)なのである。 ・今春來:この春、(ここに花見に)やって来た(のは)。 ・是:…は、…である。 *二つの事柄をつなぐ。「今春來」ということと「別花來」ということを繋ぐ。「『今春來』のは、『別花來』のである。」ということ。 ・別花來:花に別れを告げる。老齢で、来年はもう来られなくなるだろうということ。
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◎ 構成について
平起。韻式は、「AAA」。 韻脚は「別迴來」で、平水韻上平十灰。次の平仄はこの作品のもの。
●○○●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
●●○○○●●,
○○○●●○○。(韻)
2004.2.17 2.18 2.19完 2.22補 11.17 2011.2.20 |
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