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 これは井古綆先生の詩で、読みも井古綆先生のものです。
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高山右近記念聖堂

名利雙全惱未央、
耶蘇高訓使人康。
突如籠鳥被刑網、
不計池魚驚火殃。
煩悶權門也天主、
從容殉教與秋霜。
曾遷異國完操節、
聖者今還此聖堂。




Photo by (c)Tomo.Yun )

名利双全 悩み未だ央きず、  
耶蘇やその高訓 人をしてやすんぜ使
突如 籠鳥 刑網を被り、   
計らずも池魚 火殃くゎあうに驚く。
煩悶す 権門か天主か、  
従容たり 殉教と秋霜と。  
曾て異国に遷し 操節をまったうし、
聖者は今 此の聖堂に還りたり。  

                 *********

・名利: 高槻城主になったことを指す。
・籠鳥: (羽柴秀吉の禁教令によっての)かごの鳥、自由にならない身に例える。
・刑網: ここではキリシタン禁教令をいう。
・池魚火殃: 正しくは「池魚之殃」。罪のないのに災いを受けること。
     城門が焼けたとき、池の水で消したら、池の魚が死んだ故事。禁教令に例える。
・権門: 時の独裁者羽柴秀吉。
・秋霜: 厳しい判決(マニラへの流罪)に例える。
・聖者: 正確に言えば高山右近は聖者にも福者にもまだ列されていない。



※この聖堂は大阪府高槻市のカトリック教会にあります。その昔秀吉は右近の才能を惜しみ、千利休に棄教を説得するように命じています。
  右近は信仰さえ捨てれば、将来明石の城主として生涯安穏に過ごせたものを、あえてクリスチャンの道を選び、従容としてマニラで一生を終えたと伝えられています。わたくしは彼の精神力の強さに感動を覚え、この詩を作りました。なお平仄に不備なところがあります。

※参照:



2009.4.16




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