すのものの「いろいろ」(その235)

純正律と音程>仮称「完全二度」「完全七度」をつけ加える?

純正律は、完全五度と長三度、短三度を元に作った音律である。 完全八度からひけば、これらは完全四度、短六度、長六度となる。 表に、ある C から見たこれらの音程を書き込んでみよう。

AisisEisisHisis 
 CisisGisisDisisAisisEisisHisis 
AisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisisHisis 
 CisGisDisAisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisis
AEHFisCisGisDisAisEisHisFisisCisis 
 CGDA
長六
E
長三
HFisCisGisDisAisEis
AsEsBF
完四
C
完一
G
完五
DAEHFisCis 
 CesGesDesAs
短六
Es
短三
BFCGDAE
AsesEsesBesFesCesGesDesAsEsBFC 
 CesesGesesDesesAsesEsesBesFesCesGesDesAsEs
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEsesBesFesCes 
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEses
 BesesFesesCeses 

C からみて完全五度上の G からみて長三度上の H は、 もとの C からみて長七度と呼んでよいのではあるまいか。 同様に、 C からみて完全五度上の G からみて短三度上の B は、 もとの C からみて短七度と呼んでよいのではあるまいか。 すると、それらを完全八度からひいて、短二度、長二度が決まる。 それらも表に書き込もう。

AisisEisisHisis 
 CisisGisisDisisAisisEisisHisis 
AisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisisHisis 
 CisGisDisAisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisis
AEHFisCisGisDisAisEisHisFisisCisis 
 CGD
長二
A
長六
E
長三
H
長七
FisCisGisDisAisEis
AsEsBF
完四
C
完一
G
完五
DAEHFisCis 
 CesGesDes
短二
As
短六
Es
短三
B
短七
FCGDAE
AsesEsesBesFesCesGesDesAsEsBFC 
 CesesGesesDesesAsesEsesBesFesCesGesDesAsEs
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEsesBesFesCes 
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEses
 BesesFesesCeses 

長三度を二つ重ねると、増五度ができる。 短三度を二つ重ねると、減五度ができる。 これは、楽典の本などに書いてあることである。 完全八度からひけば減四度、増四度が定義できる。 また、短三度と長三度の差は、短調と長調の第三音の高さの差であり、 それは増一度と呼ばれて適当であろう。 完全八度からひけば減一度となる。 これらを表に書き込もう。

AisisEisisHisis 
 CisisGisisDisisAisisEisisHisis 
AisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisisHisis 
 CisGisDisAisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisis
AEHFis
増四
Cis
増一
Gis
増五
DisAisEisHisFisisCisis 
 CGD
長二
A
長六
E
長三
H
長七
FisCisGisDisAisEis
AsEsBF
完四
C
完一
G
完五
DAEHFisCis 
 CesGesDes
短二
As
短六
Es
短三
B
短七
FCGDAE
AsesEsesBesFes
減四
Ces
減一
Ges
減五
DesAsEsBFC 
 CesesGesesDesesAsesEsesBesFesCesGesDesAsEs
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEsesBesFesCes 
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEses
 BesesFesesCeses 

これで、 平均律でみれば、一オクターブ内にあるすべての音との間の音程に名前がついた。 それでも、まだ、C-dur に現れる音で音程に名前のないものがある。 それは、G の完全五度上の D である。 ここまでをみると、各行ごとに、「増」「長」「完全」「短」「減」とならんでいる。 類推するなら、それは「完全二度」となるのではなかろうか。 普通には使われない用語だが。 完全八度からひけば、「完全七度」が定義できる。 完全二度は平均律なら長二度であるのに対し、 完全七度は平均律では短七度である。

AisisEisisHisis 
 CisisGisisDisisAisisEisisHisis 
AisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisisHisis 
 CisGisDisAisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisis
AEHFis
増四
Cis
増一
Gis
増五
DisAisEisHisFisisCisis 
 CGD
長二
A
長六
E
長三
H
長七
FisCisGisDisAisEis
AsEsB
完七
F
完四
C
完一
G
完五
D
完二
AEHFisCis 
 CesGesDes
短二
As
短六
Es
短三
B
短七
FCGDAE
AsesEsesBesFes
減四
Ces
減一
Ges
減五
DesAsEsBFC 
 CesesGesesDesesAsesEsesBesFesCesGesDesAsEs
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEsesBesFesCes 
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEses
 BesesFesesCeses 

同様の類推で、埋められるだけ埋めてみよう。

AisisEisisHisis 
 CisisGisisDisisAisisEisisHisis 
AisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisisHisis 
 CisGisDisAisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisis
AE
増三
H
増七
Fis
増四
Cis
増一
Gis
増五
Dis
増二
Ais
増六
EisHisFisisCisis 
 CG
長五
D
長二
A
長六
E
長三
H
長七
Fis
長四
CisGisDisAisEis
AsEs
完三
B
完七
F
完四
C
完一
G
完五
D
完二
A
完六
EHFisCis 
 CesGes
短五
Des
短二
As
短六
Es
短三
B
短七
F
短四
CGDAE
AsesEses
減三
Bes
減七
Fes
減四
Ces
減一
Ges
減五
Des
減二
As
減六
EsBFC 
 CesesGesesDesesAsesEsesBesFesCesGesDesAsEs
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEsesBesFesCes 
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEses
 BesesFesesCeses 

適切とは思えないものができてしまった。 増三度とは、長三度を半音ひろげたものだから、 「長三」と書かれたマスから上へ二つ進んだマスの Eis にこそふさわしい。 「増」「減」のうち、赤字で書いたものをふさわしい位置に移動し、 赤字で書くのをやめよう。

AisisEisisHisis 
 CisisGisisDisisAisisEisisHisis 
AisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisisHisis 
 CisGisDis
増二
Ais
増六
Eis
増三
His
増七
FisisCisisGisisDisisAisisEisis
AEHFis
増四
Cis
増一
Gis
増五
DisAisEisHisFisisCisis 
 CG
長五
D
長二
A
長六
E
長三
H
長七
Fis
長四
CisGisDisAisEis
AsEs
完三
B
完七
F
完四
C
完一
G
完五
D
完二
A
完六
EHFisCis 
 CesGes
短五
Des
短二
As
短六
Es
短三
B
短七
F
短四
CGDAE
AsesEsesBesFes
減四
Ces
減一
Ges
減五
DesAs
EsBFC 
 CesesGesesDeses
減二
Ases
減六
Eses
減三
Bes
減七
FesCesGesDesAsEs
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEsesBesFesCes 
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEses
 BesesFesesCeses 

さらに、「完二」「完七」以外の、標準的でないものを削ろう。

AisisEisisHisis 
 CisisGisisDisisAisisEisisHisis 
AisEisHisFisisCisisGisisDisisAisisEisisHisis 
 CisGisDis
増二
Ais
増六
Eis
増三
His
増七
FisisCisisGisisDisisAisisEisis
AEHFis
増四
Cis
増一
Gis
増五
DisAisEisHisFisisCisis 
 CGD
長二
A
長六
E
長三
H
長七
FisCisGisDisAisEis
AsEsB
完七
F
完四
C
完一
G
完五
D
完二
AEHFisCis 
 CesGesDes
短二
As
短六
Es
短三
B
短七
FCGDAE
AsesEsesBesFes
減四
Ces
減一
Ges
減五
DesAs
EsBFC 
 CesesGesesDeses
減二
Ases
減六
Eses
減三
Bes
減七
FesCesGesDesAsEs
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEsesBesFesCes 
 BesesFesesCesesGesesDesesAsesEses
 BesesFesesCeses 

「完二」「完七」を除けば、まったく、 普通の楽典にあるのと同じことになった。 「完全」があるのは「一度」「四度」「五度」のみ、 「長」「短」があるのは「二度」「三度」「六度」「七度」のみ。 「完全」「長」を半音ひろげると「増」となり、 「完全」「短」を半音せばめると「減」となる。 「重増」「重減」もつけ加えようか。

AisisEisisHisis 
 CisisGisisDisis
重増二
Aisis
重増六
Eisis
重増三
Hisis
重増七
 
AisEisHisFisis
重増四
Cisis
重増一
Gisis
重増五
DisisAisisEisisHisis 
 CisGisDis
増二
Ais
増六
Eis
増三
His
増七
FisisCisisGisisDisisAisisEisis
AEHFis
増四
Cis
増一
Gis
増五
DisAisEisHisFisisCisis 
 CGD
長二
A
長六
E
長三
H
長七
FisCisGisDisAisEis
AsEsB
完七
F
完四
C
完一
G
完五
D
完二
AEHFisCis 
 CesGesDes
短二
As
短六
Es
短三
B
短七
FCGDAE
AsesEsesBesFes
減四
Ces
減一
Ges
減五
DesAs
EsBFC 
 CesesGesesDeses
減二
Ases
減六
Eses
減三
Bes
減七
FesCesGesDesAsEs
 BesesFeses
重減四
Ceses
重減一
Geses
重減五
DesesAsesEsesBesFesCes 
 Beses
重減七
FesesCesesGesesDesesAsesEses
 BesesFesesCeses 

付) 普通、長調の第四音と第七音の間の音程を増四度というが、 上の定義では、その音程には名前がない。 そこを増四度と呼ぶと、減五度も変わってきて、 短三度+短三度でなくなってしまう。

付) ここまで書いてきてみて、 最初の図に書いた、完全一度、完全五度、完全四度、長三度、長六度、 短三度、短六度だけを考えるのが純正律としては正しいのではないか、 という気もしてきた。

2010-07-31 (6) 21:11:57 +0900

「完全二度」「完全七度」は、やめたほうがいいかも知れない。 完全一度と増一度、完全四度と増四度、完全五度と増五度の位置関係と、 完全二度と増二度、完全七度と増七度の位置関係が異なってしまうからである。 「完全二度」と「完全七度」をやめれば、 普通の楽典に出てくるものと変わらなくなる。

2010-10-01 (5) 21:29:41 +0900

最初にとった C からみて完全四度上にある F と長七度上にある H との関係は、 普通、増四度と言われる。 最初にとった C からこの意味で増四度上の Fis は、 上の図で「増四」と書かれた Fis ではない。

前者の意味での増四度は完全五度×2+長三度。 上の図での増四度は長六度×2。 長六度は完全四度+長三度だから、これは完全四度×2+長三度×2. これらが等しいとすると、完全五度×2=完全四度×2+長三度となり、 完全五度×4=長三度を得る。 これはピタゴラス音律で成り立つ式であり、 純正律では成り立たない。

増四度・減五度のあたりで、すでに破綻をきたしていると言えよう。

2011-07-27 (3) 23:20:15 +0900


すのもの Sunomono