このページは、 midi のピッチベンド機能を利用して作成した midi ファイルにより、 純正律に近いものを体験していただくことを目的としています。
ピッチベンドとは、音程をわずかに変化させることです。
あなたのコンピュータで、 「zj_taiken_1.mid」 は再生できるでしょうか? これは、 以下のプログラムを mml2mid.exe でコンパイルして得られたものです。 再生できれば、 プログラムが理解できなくても、先へ進んで大丈夫です。
#german A C1 @11 t64 BR2 p0 o5 r2. BW8192c2 B C2 @11 BR2 p42 o4 r2 BW8274g2 r C C3 @11 BR2 p85 o4 r BW7619e2. r D C4 @11 BR2 p127 o4 BW8192c1 r再生できない場合は、残念ですが、 このページで純正律を体験していただくことはできません。
「zj_taiken_2.mid」 では、三回、音が鳴ります。
#german A C1 @19 t24 BR2 o4 BW8192c BW8232c BW8233c B C2 @19 BR2 o4 BW8192c BW8192c BW8192c
最初の #german は、ドイツ語式音名を使う、の意味です。 A, B は二つのパートを意味します。 この二つのパートが同時に演奏されます。 C1, C2 は不勉強のため何なのかまだわかりません。 @19 は音色の指定です。 ここでは、音程の聞き取りやすさから、 Church Organ を指定しています。 t24 はテンポです。 BR2 はベンドレンジの指定です。 等分平均律の半音二つ分だけ上下に変えられるように、 の意味になります。
「等分平均律」とは、一オクターブを 12 等分して作る音律のことです。 平均律には等分でないものもあるので、「等分」をつけて呼ぶことがあります。 「セント」は音程の単位です。 等分平均律における半音が 100 セント、 すなわち、1 セントは一オクターブの 1200 分の 1 と定義されています。
o4 は、オクターブの指定です。 その次に c などと書いて音高を指定しますが、 C にはいろいろな高さの音がありますから、 そのうちのどれなのかをこうやって指定します。 o4 はピアノの中央のド(正しくは音名で「ハ」)以上、 その一オクターブ上のド(正しくは音名で「ハ」)未満の音程を意味します。
BW8192 はピッチベンドの指定です。 このあとにスペースを入れずに音名を書いてよいので、c を書いています。
BW8192 はピッチベンドをしない、の意味です。 BW8233 は、1 セントだけ音程をあげよ、の意味になります。 (8233 - 8192) * (100/4096) = 1.0009765625 だからです。
8232 は 8192 よりも 8233 に近いので、 BW8232c は 1 セントあげた音に近い音が出るような気がしますが、 私の手元のコンピュータではピッチベンドは 1 セント単位なので、 BW8192c と同じ音が鳴ります。
ですから、次のように聞こえるはずです。
私の手元の実験では、連続再生を行なうと、 二つめは鳴り方が変わることがあります。 一つめと同じように聞こえるときと、 くもったように聞こえるときがあるのです。 三つめの「わうわうわう」は、この三つの「わう」で1〜2秒の速さです。
この実験で、1 セントの違いでも響きが違ってくることがわかりました。
次の「zj_taiken_3.mid」は、 上の A のパートだけを鳴らしたものです。
#german A C1 @19 t24 BR2 o4 BW8192c BW8232c BW8233c
三つの音のうち、初めの二つは同じ高さ、三つめは 1 セントだけ高いのですが、 私には全く違いが聞き取れません。
純正律では、 「完全五度」とは下の音の周波数と上の音の周波数との比が 2:3 となる音程、 と定義します。 これは、701.95500086538741774448673273738... セントにあたります。 いまは 1 セント単位でしかピッチベンドがかからないので、 702 セントとしました。
次の「zj_taiken_4.mid」は、 完全五度を、平均律と 702 セントとで続けて演奏します。
#german A C1 @19 t24 BR2 o4 BW8192g BW8274g B C2 @19 BR2 o4 BW8192c BW8192c
平均律では「わうわうわう」が聞こえます。 あとの、純正律に近いものでも、 「わうわうわう」は完全には消えませんが、 かなりテンポが遅くなります。
次の「zj_taiken_5.mid」は、 完全五度を、700 セント、701 セント、702 セント、703 セントで続けて演奏します。 一つめは平均律と同じです。
#german A C1 @19 t16 BR2 o4 BW8192g BW8233g BW8274g BW8315g B C2 @19 BR2 o4 BW8192c BW8192c BW8192c BW8192c
703 セントは「わうわうわう」があってダメ、とわかります。 701 セントよりは、702 セントのほうがいいような気がしますが、 701 セントの可能性も残ります。
純正律では、「長三度」の周波数比は 4:5 とします。 これは 386.31371386483481744438331538727... セントなので、 ここでは 386 セントとします。
次の「zj_taiken_6.mid」は、 長三度を、400 セント、386 セントで演奏し、少し休んでから、 385 セント、386 セント、387 セントで演奏します。 r が休符です。
#german A C1 @19 t16 BR2 o4 BW8192e BW7619e r B C2 @19 BR2 o4 BW8192c BW8192c r A o4 BW7578e BW7619e BW7660e B o4 BW8192c BW8192c BW8192c
400 セントは平均律の長三度です。 完全五度とは異なり、「わうわうわう」は聞こえません。 その次の 386 セントの長三度が、ここでは最も純正律に近い長三度ですが、 平均律の直後に聞くと、音程が変わるせいか、頼りなく聞こえます。 385 セント、386 セント、387 セントを続けて聞くと、 385 セントと 387 セントには「わうわうわう」があり、 386 セントではほとんど聞こえないことがわかります。 これをもって、386 セントを採用することにしましょう。
付) 完全五度と異なり、 等分平均律の長三度では「わうわうわう」が聞き取れません。 「わうわうわう」が聞こえるのは、 周波数比が小さい整数どうしの比に近いときだけのようです。 小さい整数どうしの比になるときが音が調和しているとき、と考えるなら、 等分平均律の長三度はまったくずれている、ということになりそうです。
純正律では、「短三度」の周波数比は 5:6 とします。 これは 315.64128700055260030010341735011... セントなので、 ここでは 316 セントとしてみます。
次の「zj_taiken_7.mid」は、 短三度を、300 セント、316 セントで演奏し、少し休んでから、 314 セント、315 セント、316 セント、317 セントで演奏します。
#german A C1 @19 t16 BR2 o4 BW8192e- BW8848e- r B C2 @19 BR2 o4 BW8192c BW8192c r A o4 BW8766e- BW8807e- BW8848e- BW8889e- B o4 BW8192c BW8192c BW8192c BW8192c
300 セントは平均律の短三度です。 完全五度とは異なり、「わうわうわう」は聞こえません。 その次の 316 セントの短三度が、ここでは最も純正律に近い短三度ですが、 平均律の直後に聞くと、音程が変わるせいか、頼りなく聞こえます。 314 セント、315 セント、316 セント、317 セントを続けて聞くと、 314 セントと 317 セントには「わうわうわう」があり、 315 セントと 316 セントには若干の「わーうわーう」が聞こえます。 315 セントか 316 セントかは、保留としましょう。
いままでの実験から、 完全五度は 701 セントか 702 セント、 長三度は 386 セント、 短三度は 315 セントか 316 セントとなりました。
「長三度+短三度=完全五度」ですから、 完全五度を 701 セントにとれば短三度は 315 セント、 完全五度を 702 セントにとれば短三度は 316 セントとなります。
次の「zj_taiken_8.mid」は、 長三和音を、 「平均律」、 「完全五度を 701 セント、短三度を 315 セントとしたもの」、 「完全五度を 702 セント、短三度を 316 セントとしたもの」 の順に演奏し、続いて、短三和音を、 「平均律」、 「完全五度を 701 セント、短三度を 315 セントとしたもの」、 「完全五度を 702 セント、短三度を 316 セントとしたもの」 の順に演奏します。
#german A C1 @19 t8 BR2 o4 BW8192g BW8233g BW8274g B C2 @19 BR2 o4 BW8192e BW7619e BW7619e C C3 @19 BR2 o4 BW8192c BW8192c BW8192c A o4 BW8192g BW8233g BW8274g B o4 BW8192e- BW8807e- BW8848e- C o4 BW8192c BW8192c BW8192c
テンポが遅くなっているのは、「わうわうわう」の数を数えやすくするためです。
私にはほとんど区別できないので、計算で求めた数値に近い、 後者を採用することにします。 すなわち、完全五度は 702 セント、長三度は 386 セント、 短三度は 316 セントです。 これは完全に純正な音程ではありませんが、 1 セント単位でしかピッチベンドがかからないという条件のもとでは、 最も純正に近いと思われる音程のとり方の一つです。
また、平均律では「わうわうわう」が非常に目立つことがわかります。 ふだんは、こういう音楽を聞いていることになります。 この「わうわうわう」を、和声の豊かな響き、 とカン違いしているのかも知れません。
C-dur では、 C の上の長三和音 I, G の上の長三和音 V, F の上の長三和音 IV が重要です。 I の第五音と V の根音はどちらも G です。 この二つは同じ音程にとるべきでしょう。 同様に、I の根音と IV の第五音はどちらも C なので、 それらは同じ音程にとります。
ここに現れた音を、次のような図にするとわかりやすくなります。 地の色は、楽しみのためだけに、いろいろな色を使いました。 平均律で同じ音程になる音には同じ色を使っています。
# | # | # | # | # | # | # | # |
A | E | H | |||||
F | C | G | D |
右に一マス進むと完全五度あがります。 右上に一マス進むと長三度、右下に一マス進むと短三度あがります。 よって、次のことがわかります。
よって、この図の A, C, E は A の上の短三和音を、 E, G, H は E の上の短三和音をなすことがわかります。
## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## |
A 5/3 -16 | E 5/4 -14 | H 15/8 -12 | |||||
F 4/3 -2 | C 1 ±0 | G 3/2 +2 | D 9/8 +4 |
最初にとった C から見た周波数を分数の形で中段に、 われわれの完全五度・長三度・短三度の決め方での等分平均律からのずれをセント単位で下段に、 それぞれ記しました。 ただし、周波数比は 1 以上 2 未満になるように、 2 を掛けたり 2 で割ったりしています。 オクターブあげさげしても音程は変わらない、という考えからです。 なお、BW の後ろに書くべき数については、 「すのものの「純正律について」(その8)」の表を見てください。
以上で C-dur に使われる七つの音がすべて現れました。 しかし、II の和音、すなわち D の上の短三和音を、 上の図の中の D, F, A を重ねて作ってはいけません。 上の図の中の D と F は短三度をなさないし、 D と A とは完全五度をなさないからです。
## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## |
D 10/9 -18 | A 5/3 -16 | E 5/4 -14 | H 15/8 -12 | |||||
F 4/3 -2 | C 1 ±0 | G 3/2 +2 | D 9/8 +4 |
代わりに、上の図の左上に追加した D を使います。 この D は、F の短三度下、A の完全五度下の音です。 これなら、F, D, A は短三和音をなします。
二つの D が現れました。その間の音程は周波数比にして 81/80, セントで表すと 22 セントです。 次の「zj_taiken_9.mid」で、 この二つの音を聞き比べてみましょう。 最初に左上の D, 続いて右下の D です。
#german A C1 @19 t32 BR2 o4 BW7455d BW8356d
これで、C-dur の I, II, III, IV, V, VI の和音を純正にとることができました。 オクターブの中には七つの音があると普通は考えますが、 純正律では D が二つ必要なので、全部で八つの音がいることになります。
次の「zj_taiken_10.mid」で、 C-dur の I-VI-II-V-I を、 平均律、 II の D の音程を図の右下の D にとった不適切な純正律、 II の D の音程を図の左上の D にとった適切な純正律、 の順に聞いてみましょう。 この和声進行は、 外崎幹二・島岡譲著「和声の原理と実習」 (音楽之友社、1958 年)p40 の課題の解答から引用しました。 不適切な D を用いた和音は、響きが明らかに濁っています。
#german ; 平均律 純正律(II の D の音程が不適切) 純正律(II の D の音程が適切) A C1 @19 p0 t32 BR2 o5 c c d o4 h o5 c r BW8192c BW8192c BW8356d o4 BW7701h o5 BW8192c r BW8192c BW8192c BW7455d o4 BW7701h o5 BW8192c B C2 @19 p42 t32 BR2 o4 g a a g g r BW8274g BW7537a BW7537a BW8274g BW8274g r BW8274g BW7537a BW7537a BW8274g BW8274g C C3 @19 p85 t32 BR2 o4 e e f d e r BW7619e BW7619e BW8111f BW8356d BW7619e r BW7619e BW7619e BW8111f BW8356d BW7619e D C4 @19 p127 t32 BR2 o3 c a d g c r BW8192c BW7537a BW8356d BW8274g BW8192c r BW8192c BW7537a BW7455d BW8274g BW8192c
「;」から行末まではコメントです。 また、BW.... の指定をしなければ平均律の音が鳴りますので、 平均律の部分ではその指定を省略しています。
II から V へ移る際に、 ソプラノは左上の D から右上の H へと、完全五度を三回分あがります。 短三度さがるのではありません。 テノールの F から右下の D も同様ですが、 これは左上の D を使わなくても同じ音程だけとびます。 バスが右上の D から G へ動くのは、完全五度ではありません。 アルトは、どちらでも全く同じ、常識的な動きをします。
(バスの動き --- この例では根音の動きと同じです --- に注目しましょう。 平均律なら、短三度さがったあと、 完全五度さがることを三回くりかえせば元の音に戻りますが、 純正律ではそうでないので、 平均律で完全五度さがるところのうち、 どこかをシントニックコンマだけずらさないといけないわけです。)
「zj_taiken_10a.mid」、 「zj_taiken_10b.mid」、 「zj_taiken_10c.mid」、 「zj_taiken_10d.mid」で、 ソプラノ、アルト、テノール、バスのパートだけを聞くことができます。 音程の違いがわかるでしょうか? 私にはわかりません。
ここで、考え方が二つに分かれると思います。 一つは、 D の音を二つ用意しなければならない純正律は使い物にならない、 という考え方です。 もうひとつは、 優れた音感を持った人たちが二つの D の音を弾き分けて、 それぞれの和音が美しく響くようにしてくれれば一般聴衆は満足するので、 そうやって純正律を実現すべきだ、という考え方です。 いま聞いていただいている midi の場合、 作成者が少し手間をかけてピッチベンドをかけることで 「わうわうわう」から開放されるのですから、 私は、このやり方は試してみる価値があると思います。
付) 同書のこの箇所には、一般の場合とは異なり、 II-V の和声進行では同一の音 --- C-dur の場合は D --- を同一の声部においてはいけない、とあります。 それは、純正律におけるこの現象を念頭に置いているのでは、 と思うのですが……。
上の表は、 右に一マスすすむと完全五度あがり、 右上に一マスあがると長三度あがる、という規則を守ったまま、 無限に拡張することができます。 次はその一部です。
### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### | ### |
E 100/81 -36 | H 50/27 -34 | Fis 25/18 -32 | Cis 25/24 -30 | Gis 25/16 -28 | Dis 75/64 -26 | Ais 225/128 -24 | Eis 675/512 -22 | |||||||||
C 160/81 -22 | G 40/27 -20 | D 10/9 -18 | A 5/3 -16 | E 5/4 -14 | H 15/8 -12 | Fis 45/32 -10 | Cis 135/128 -8 | |||||||||
Es 32/27 -6 | B 16/9 -4 | F 4/3 -2 | C 1 ±0 | G 3/2 +2 | D 9/8 +4 | A 27/16 +6 | E 81/64 +8 | |||||||||
Ces 256/135 +8 | Ges 64/45 +10 | Des 16/15 +12 | As 8/5 +14 | Es 6/5 +16 | B 9/5 +18 | F 27/20 +20 | C 81/80 +22 | |||||||||
Eses 256/225 +24 | Bes 128/75 +26 | Fes 32/25 +28 | Ces 48/25 +30 | Ges 36/25 +32 | Des 27/25 +34 | As 81/50 +36 | Es 243/200 +38 |
厳密には、これらの音はすべて音程が異なります。 しかし、ここでは 1 セント単位でピッチベンドをかけているので、 いつかは同じ音が現れます。
最初にとった C から離れれば離れるほど、 「厳密にとった音程」と 「1 セント単位でピッチベンドをかけたときの音程」との差は、 大きくなります。 しかし、これはやむをえません。 また、このほうが、それぞれの和音が美しく響きます。 厳密に計算してから 1 セント単位に丸めると、 どこかで、大きさの違う完全五度・長三度・短三度が現れるからです。 また、この表の上で大きく離れた音が同時に鳴ることはありえないので、 問題は発生しません。 絶対音感のある人が聞いた場合は話が別ですが。
これをもっと広い範囲にわたって書いたのが、 「すのものの「純正律について」(その2)」、 「すのものの「純正律について」(その8)」 の表です。 前者は厳密に計算したもので、周波数比と、 セントを単位とし小数点以下 6 けたまで求めたものが載っています。 後者は 1 セント単位で計算したもので、 等分平均律からどれだけずれているかと、 BW の引数として書くべき数値とが載っています。
属七の和音の第七音をどのような音程にとるかについては、 いくつかの説があるようです。 下の三つの音は長三和音をなしますから 4:5:6 で間違いないでしょう。 ここでは、第七音を根音の 7/4 上にとり、 四つの音の周波数比を 4:5:6:7 とする実験をしてみます。
最初にとった C を主音とする C-dur の属七の和音で実験します。 第七音は根音の 968.8259064691249289303631806782... セント上ですから 四捨五入して 969 セント上。 根音の G は C からみて 702 セント上にとりましたから、 第七音は C からみて 702 + 969 - 1200 = 471 セント上、 すなわち、等分平均律よりも 29 セント下にとることになります。 等分平均律との差をセント単位で書いたものと、 ピッチベンドの際の BW.... は、計算の結果、
F | -29 | BW7005 |
D | +4 | BW8356 |
H | -12 | BW7701 |
G | +2 | BW8274 |
第七音は、平均律と比べて約 30 セントも低い音になります。 非常識と思われるかもしれませんが、 純正律では長三度と短三度の差が約 70 セントです。 平均律と比べて約 30 セント小さくなっています。 このことと比べると、非常識と決めつけることはできないと思います。
その根音と第七音の響きを聞く実験 zj_taiken_11a.mid です。三回、鳴ります。
#german A C1 @19 t32 BR2 o5 BW7064f BW7005f BW7046f B C2 @19 t32 BR2 o4 BW8274g BW8274g BW8274g第七音は、まん中のが計算に基く 4:7 であり、 前のでは 1 セント低く、あとのでは 1 セント高くなっています。 前のとあとのでは「わうわうわうわう」が聞こえ、 まん中のでは聞こえないから、まん中でよしとしましょう。
第三音と第七音の響きを聞く実験 zj_taiken_11b.mid です。六回、鳴ります。
#german A C1 @19 t32 BR2 o5 BW6882f BW6923f BW6964f BW7005f BW7046f BW7087f B C2 @19 t32 BR2 o4 BW7701h BW7701h BW7701h BW7701h BW7701h BW7701hわれわれは第三音を平均律よりも 12 セントだけ低く、 第七音を平均律よりも 29 セントだけ低くとっています。 そのため、その間の音程は 600 - (29 - 12) = 583 セントとなります。 7/5 を正確に計算すると 582.51219260429011148597986529093... セントですので、 582 セントと 583 セントとのほぼ中間です。 上のプログラムでは第七音の音程を 1 セントずつ変え、六回ためしています。 正確な 5:7 は、それら六つのうち、三つめと四つめのほぼ中間です。 私にはこれらを聞き分けるだけの音感がありません。
第五音と第七音の響きを聞く実験 zj_taiken_11c.mid です。三回、鳴ります。
#german A C1 @19 t32 BR2 o5 BW7064f BW7005f BW7046f B C2 @19 t32 BR2 o4 BW8356d BW8356d BW8356d第七音は、まん中のが計算に基く 6:7 であり、 前のでは 1 セント低く、あとのでは 1 セント高くなっています。 前のとあとのでは「わうわうわうわう」が聞こえ、 まん中のでは聞こえないから、まん中でよしとしましょう。
最後に、上の三つの実験を一つにまとめて、四和音で行なう実験 zj_taiken_11d.mid です。しっかり響きを確かめられるよう、テンポをおとしてあります。
#german A C1 @19 t16 BR2 o5 BW6882f BW6923f BW6964f BW7005f BW7046f BW7087f B C2 @19 t16 BR2 o5 BW8356d BW8356d BW8356d BW8356d BW8356d BW8356d C C3 @19 t16 BR2 o4 BW7701h BW7701h BW7701h BW7701h BW7701h BW7701h D C4 @19 t16 BR2 o4 BW8274g BW8274g BW8274g BW8274g BW8274g BW8274g六つの和音が鳴ります。 第七音だけが 1 セントずつ上がってゆきます。 四つめが計算に基く値です。
判断しかねる実験もありましたが、以上から、 計算に基く値を第七音として採用することにしましょう。
おまけとして、四つの音をアルペジオ風に重ねて聞いてみる実験 zj_taiken_11e.mid です。
#german A C1 @19 t48 BR2 o5 r2. BW7005f BW7005f1 B C2 @19 t48 BR2 o5 r2 BW8356d2 BW8356d1 C C3 @19 t48 BR2 o4 r BW7701h2. BW7701h1 D C4 @19 t48 BR2 o4 BW8274g1 BW8274g1「.」は付点音符を意味します。
次は、音色を Acoustic Grand Piano に変えて上と同じものを奏する実験 zj_taiken_11f.mid です。
#german A C1 @0 t48 BR2 o5 r2. BW7005f BW7005f1 B C2 @0 t48 BR2 o5 r2 BW8356d2 BW8356d1 C C3 @0 t48 BR2 o4 r BW7701h2. BW7701h1 D C4 @0 t48 BR2 o4 BW8274g1 BW8274g1
これを採用するなら、 『すのものの「純正律について」(その8)』 を利用して属七の和音の音程を決める際、
## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## |
D | A | E | H | ||||||
F | C | G | D | ||||||
Des | As | Es | B | F |
4:5:6:7 のほかに有力な説として、4:5:6:64/9 があります。 64/9 は二オクターブ下げれば 16/9 ですが、 16/9 は最初にとった C からみて完全五度を二回さがった B です。 よって、最初にとった C を主音とする C-dur でいえば、 第七音として下属音 F を用いることになります。
純正律、前の 4:5:6:7, それとこの 4:5:6:64/9 とで、 属七の和音から主和音へ解決するものを比べる実験 zj_taiken_12.mid です。
#german ; 平均律 4:5:6:7 A C1 @19 p0 t96 BR2 o5 f1 e1 r4 o5 BW7005f1 BW7619e1 r4 B C2 @19 p42 t96 BR2 o4 g1 g1 r4 o4 BW8274g1 BW8274g1 r4 C C3 @19 p85 t96 BR2 o4 d1 c1 r4 o4 BW8356d1 BW8192c1 r4 D C4 @19 p127 t96 BR2 o2 h1 o3 c1 r4 o2 BW7701h1 o3 BW8192c1 r4 ; 4:5:6:64/9 A o5 BW8111f1 BW7619e1 r4 B o4 BW8274g1 BW8274g1 r4 C o4 BW8356d1 BW8192c1 r4 D o2 BW7701h1 o3 BW8192c1 r4この和声進行は、 外崎幹二・島岡譲著「和声の原理と実習」(音楽之友社、1958 年)p89 から引用しました。
4:5:6:64/9 のメリットは、新しい音を必要としないことです。 一つの長調を純正律で演奏するには、 一オクターブに八つの音が必要でした。 それらの中だけで、属七の和音が作れるのです。 これを採用するなら、 『すのものの「純正律について」(その2)』 や 『すのものの「純正律について」(その8)』 を利用して属七の和音の音程を決める際、
## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## |
D 10/9 | A 5/3 | E 5/4 | H 15/8 | |||||
F 4/3 | C 1 | G 3/2 | D 9/8 |
周波数比 7:64/9 は 63:64 に等しく、この音程は 27.264091800100235580663353847043... セントにあたります。
属七の和音について、4:5:6:7 と 4:5:6:64/9 の二通りで実験を行ないました。 どちらが適切なのか、わかりません。 ただ、一つの長調の中にとどまっている場合、 属七の和音の第七音をどうとっても、次の主和音は同一ですから、 問題は発生しません。
長調では、第七音の上の三和音は減三和音になります。 C-dur でいえば H-D-F です。
短三度を二つ重ねると考えれば、5*5:5*6:6*6 = 25:30:36 となります。 次の図で地の色をつけた三つの音からなります。
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D 10/9 | A -16 | E 5/4 | H 15/8 | Fis 45/32 | |||||
F 4/3 | C 1 | G 3/2 | D 9/8 | ||||||
Des 16/15 | As 8/5 | Es 6/5 | B 9/5 | F 27/20 |
この和音を、属七の和音から根音を除いたものと同じと考えると、 5:6:7 にとる、あるいは 5:6:64/9 にとる、というアイディアが浮かびます。 5:6:64/9 は
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D 10/9 | A 5/3 | E 5/4 | H 15/8 | |||||
F 4/3 | C 1 | G 3/2 | D 9/8 |
## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## | ## |
D 10/9 | A 5/3 | E 5/4 | H 15/8 | |||||
F 4/3 | C 1 | G 3/2 | D 9/8 |
平均律、25:30:36, 5:6:7, 5:6:64/9, 5:160/27:9 の順で減三和音を鳴らす実験 zj_taiken_13.mid です。ピッチベンドのかけかたは 『すのものの「純正律について」(その8)』 を見て決めました。
#german ; 平均律 25:30:36 5:6:7 5:6:64/9 5:160/27:64:9 A C1 @19 p64 t64 BR2 o4 f1 r4 BW9012f1 r4 BW7005f1 r4 BW8111f1 r4 BW8111f1 r4 B C2 @19 p64 t64 BR2 o4 d1 r4 BW8356d1 r4 BW8356d1 r4 BW8356d1 r4 BW7455d1 r4 C C3 @19 p64 t64 BR2 o3 h1 r4 BW7701h1 r4 BW7701h1 r4 BW7701h1 r4 BW7701h1 r4この和音は、平均律で聞き慣れているせいか、 平均律が最もそれらしく聞こえます。 純正律のものからは、どれをとるべきかわかりません。 純正律は長三和音と短三和音が美しく響くように決めたものなので、 減三和音については「なんとも言えない」が正解なのかも知れません。
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D | A | E | H | Fis | |||||
F | C | G | D | ||||||
Des | As | Es | B | F |
中段の F, C, G は、下属音、主音、属音です。 その右の D は G 上の三和音を奏する際、第五音として必要になります。 F, C, G の上の短三和音を奏するため、 その一つ下の段の As, Es, B が必要です。 右下隅の F は、B 上の長三和音に使います。 ここまでで、八つの音が選び出されました。 この八つの音は、短三度上の Es を主音とする Es-dur で使う音と一致します。 「純正律で考えても、並行調で使われる音は全く同一」 ということがわかりました。
短調ですので、このほかにも音が必要になります。 H は和声的短音階の導音、すなわち、属和音の第三音として必須です。 A は、H と合わせて、旋律的短音階で使うため、C-dur から借りてきました。
最後に、減三和音であるところの II について考えます。 c-moll では D-F-As です。 前に実験したもののうち、 上で地に色のついた音だけで奏することが可能なのは、 5:6:64/9 と 5:160/27:9 の二つだけです。 このどちらかにしてみましょう。どちらかはまだ決めずにおきます。 25:30:36 は左上隅の地の色のない D を使うか、 右下の F のさらに一マス右下の As を使うことになるので、 候補からはずします。
短調の曲のサンプル zj_taiken_14.mid です。 外崎幹二・島岡譲著「和声の原理と実習」(音楽之友社、1958 年)の 65 ページの課題の解答から引用しました。 タイのかけかたがわからないので、タイがかかっていません。 平均律と純正律とで二度演奏します。
#german ; * A C1 @19 p0 t64 BR2 o5 e-2 g2 e-2 d2 c2 d2 o4 h1 B C2 @19 p42 t64 BR2 o4 g1 g1 g2 a-2 g1 C C3 @19 p83 t64 BR2 o4 c2 d2 c2 o3 h2 o4 c2 f2 d1 D C4 @19 p127 t64 BR2 o3 c2 o2 h2 o3 c2 d2 e-2 f2 g1 ; * A o5 c2 d2 e-2 d2 c2 o4 h2 o5 c1 B o4 g1 g2 a-2 g1 g1 C o4 c2 o3 h2 o4 c2 d2 e-2 d2 e-1 D o3 e-2 d2 c2 f2 g2 o2 g2 o3 c1 ; * A o5 BW8848e-2 BW8274g2 BW8848e-2 BW8356d2 BW8192c2 BW8356d2 o4 BW7701h1 B o4 BW8274g1 BW8274g1 BW8274g2 BW8766a-2 BW8274g1 C o4 BW8192c2 BW8356d2 BW8192c2 o3 BW7701h2 o4 BW8192c2 BW9012f2 BW8356d1 D o3 BW8192c2 o2 BW7701h2 o3 BW8192c2 BW8356d2 BW8848e-2 BW9012f2 BW8274g1 ; * A o5 BW8192c2 BW8356d2 BW8848e-2 BW8356d2 BW8192c2 o4 BW7701h2 o5 BW8192c1 B o4 BW8274g1 BW8274g2 BW8766a-2 BW8274g1 BW8274g1 C o4 BW8192c2 o3 BW7701h2 o4 BW8192c2 BW8356d2 BW8848e-2 BW8356d2 BW8848e-1 D o3 BW8848e-2 BW8356d2 BW8192c2 BW8111f2 BW8274g2 o2 BW8274g2 o3 BW8192c1* 印をつけた和音は II の和音で、減三和音です。二回ずつでてきます。 純正律のほうでは、F の音程のとりかたを違えてみました。
音色を Acoustic Grand Piano に変え、テンポを速めた zj_taiken_14b.mid も用意しました。 「@19」を「@0」に、「t64」を「t128」に変えただけなのでソースは省略します。
C-dur から G-dur に転調する際は、 主音が完全五度だけあがるのが自然でしょう。 C-dur で使う八つの音と、 G-dur で使う八つの音とを、別々の表にしました。 地の色がついているのがそれらの音です。
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外崎幹二・島岡譲著「和声の原理と実習」(音楽之友社、1958 年)p66 によると、 C-dur から G-dur に転調する一つの方法は、 C-dur の主和音 C-E-G の次に G-dur の属和音 D-Fis-A を奏し、次に G-dur の主和音 G-H-D を奏する、というものです。 この場合、C-dur と G-dur の主和音の音程をどうとるかはは明らかです。 G-dur の属和音 D-Fis-A は、G-dur で使う八つの音から選びます。 D と A は C-dur の II の和音でも使いますが、 それらではありません。もしもそれらを選ぶと、 上の図の左上の D の上の長三和音となり、 続く主和音はそ一マス左の G の上の長三和音となって、 正しいものとは異なる G を主音とする G-dur にいってしまいます。 (前の表を見るとわかるように、正しい G からみて 80/81 にあたる G です。)
Fis が現れることで「C-dur から転調するぞ」とわかるわけですが、 純正律では、A も C-dur では使われない音高の A です。
次の例は、上にあげた外崎幹二・島岡譲著「和声の原理と実習」 (音楽之友社、1958 年)p66 からの引用です。 いま述べた方法による C-dur から G-dur への転調を、 平均律、 純正律で完全五度上の G-dur への転調、 純正律でそれよりも低い G-dur に転調した失敗例、 の順に奏します。 midi ファイルは zj_taiken_15.mid です。
#german ; 平均律 完全五度上の G-dur へ転調 A C1 @19 p0 t96 BR2 o5 c1 o4 a1 h1 r4 o5 BW8192c1 o4 BW8438a1 BW7701h1 r4 B C2 @19 p42 t96 BR2 o4 g1 f+1 g1 r4 o4 BW8274g1 BW7783f+1 BW8274g1 r4 C C3 @19 p85 t96 BR2 o4 e1 d1 d1 r4 o4 BW7619e1 BW8356d1 BW8356d1 r4 D C4 @19 p127 t96 BR2 o3 c1 d1 o2 g1 r4 o3 BW8192c1 BW8356d1 o2 BW8274g1 r4 ; それよりも低い G-dur に転調 A o5 BW8192c1 o4 BW7537a1 BW6800h1 B o4 BW8274g1 BW6882f+1 BW7373g1 C o4 BW7619e1 BW7455d1 BW7455d1 D o3 BW8192c1 BW7455d1 o2 BW7373g1
音色を Acoustic Grand Piano に変え、テンポを速めた zj_taiken_15b.mid も用意しました。 「@19」を「@0」に、「t96」を「t160」に変えただけなのでソースは省略します。
外崎幹二・島岡譲著「和声の原理と実習」(音楽之友社、1958 年)の 67 ページからを見て、 ほかの近親調への転調が純正律ではどうなるか、調べてみます。 少し上の、 「上の表を拡張し、ほかの調性で使う音をつけ加える」 の表を見ると、音高の決め方が明らかになります。
本節の以下の譜例はすべて同書からの引用です。
【C-dur から a-moll】 C-E-G, E-Gis-H, A-C-E の順です。 三つの和音の E はすべて同じ音程にとります。 すると、元の C からみて短三度下の A を主音とする a-moll に至ります。
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Fis | Cis | Gis | Dis | ||||||
D | A | E | H | Fis | |||||
F | C | G | D |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o4 g1 g+1 a1 r4 o4 BW8274g1 BW7046g+1 BW7537a1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o4 e1 e1 e1 r4 o4 BW7619e1 BW7619e1 BW7619e1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 c1 o3 h1 o4 c1 r4 o4 BW8192c1 o3 BW7701h1 o4 BW8192c1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o3 c1 e1 o2 a1 r4 o3 BW8192c1 BW7619e1 o2 BW7537a1
【C-dur から F-dur】 C-E-G, B-D-F, C-E-G, F-A-C または C-E-G, G-B-D, C-E-G, F-A-C です。 前者では、二つめの和音の D, F は C-dur の II の D, F と同じ高さにとります。 そうでないと、この F が転調先の F と違う音高になってしまいますから。
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G | D | A | E | H | Fis | |||||||
Es | B | F | C | G | D | |||||||
Ges | Des | As | Es | B | F |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 c1 o4 b1 o5 c1 o4 a1 r4 o5 BW8192 c1 o4 BW8029b1 o5 BW8192c1 o4 BW7537a1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o4 g1 f1 g1 f1 r4 o4 BW8274 g1 BW8111f1 BW8274g1 BW8111f1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 e1 d1 c1 c1 r4 o4 BW7619 e1 BW7455d1 BW8192c1 BW8192c1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o3 c1 d1 e1 f1 r4 o3 BW8192 c1 BW7455d1 BW7619e1 BW8111f1
後者の C-E-G, G-B-D, C-E-G, F-A-C では、二つめの和音の G, D は C-dur の V の G, D と同じ高さにとります。 そうでないと、初めの三つの和音に含まれる G の音高が別々になってしまいますから。 (二つめの和音以降は F-dur の II-V-I ですが、 II と V の共通音 G を同じパート(アルト)に歌わせています。 I-VI-II-V-I の場合には、II と V の共通音を同じパートにおいてはいけないのでした。 このことからも、 G-B-D を表の左上でなく右下の音にとるのが妥当であるように思えます。)
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G | D | A | E | H | Fis | |||||||
Es | B | F | C | G | D | |||||||
Ges | Des | As | Es | B | F |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 c1 o4 b1 o5 c1 o4 a1 r4 o5 BW8192c1 o4 BW8930b1 o5 BW8192c1 o4 BW7537a1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o4 g1 g1 g1 f1 r4 o4 BW8274g1 BW8274g1 BW8274g1 BW8111f1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 e1 d1 c1 c1 r4 o4 BW7619e1 BW8356d1 BW8192c1 BW8192c1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o3 c1 g1 e1 f1 r4 o3 BW8192c1 BW8274g1 BW7619e1 BW8111f1
どちらも、元の C からみて完全五度下の F を主音とする F-dur に至ります。
【C-dur から e-moll】 C-E-G, H-Dis-Fis, E-G-H または C-E-G, Fis-A-C, H-Dis-Fis, E-G-H です。 どちらでも、H-Dis-Fis の H は C-dur で使う H にします。 そうすれば、最初に選んだ C の短三度上の E を主音とする e-moll に転調します。
まず、前者。
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Fis | Cis | Gis | Dis | Ais | ||||||
D | A | E | H | Fis | ||||||
F | C | G | D | A |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 c1 d+1 e1 r4 o5 BW8192c1 BW7128d+1 BW7619e1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o4 g1 h1 h1 r4 o4 BW8274g1 BW7701h1 BW7701h1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 e1 f+1 g1 r4 o4 BW7619e1 BW7783f+1 BW8274g1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o3 c1 o2 h1 o3 e1 r4 o3 BW8192c1 o2 BW7701h1 o3 BW7619e1
後者は、最初の和音の次に Fis-A-C がはいるところだけが違います。 この和音は減三和音なので、音程のとりかたがわかりません。 C は C-dur の主音の C にとるのがよいと思いますが、 この付近の Fis, A, C にはすべて地の色をつけておきました。 減三和音の音程を 5:6:7 にとる場合は、この表にない音が出てきます。
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Fis | Cis | Gis | Dis | Ais | |||||||
D | A | E | H | Fis | Cis | ||||||
F | C | G | D | A | |||||||
Des | As | Es | B | F | C |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 e1 f+1 d+1 e1 r4 o5 BW7619e1 BW7783f+1 BW7128d+1 BW7619e1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o5 c1 c1 o4 h1 h1 r4 o5 BW8192c1 BW8192c1 o4 BW7701h1 BW7701h1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 g1 a1 f+1 g1 r4 o4 BW8274g1 BW8438a1 BW7783f+1 BW8274g1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o4 c1 o3 a1 h1 e1 r4 o4 BW8192c1 o3 BW8438a1 BW7701h1 BW7619e1
【C-dur から d-moll】 C-E-G, A-Cis-E, D-F-A と進む場合。 二つめの E は C-dur の E と同じ高さにとりますから、 最後の和音の根音、すなわち転調先の D は、 C からみて完全五度さがった F の短三度下の D です。
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H | Fis | Cis | Gis | Dis | ||||||
G | D | A | E | H | ||||||
B | F | C | G | D |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 c1 c+1 d1 r4 o5 BW8192c1 BW6964c+1 BW7455d1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o4 g1 a1 a1 r4 o4 BW8274g1 BW7537a1 BW7537a1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 e1 e1 f1 r4 o4 BW7619e1 BW7619e1 BW8111f1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o3 c1 o2 a1 o3 d1 r4 o3 BW8192c1 o2 BW7537a1 o3 BW7455d1
C-E-G, G-B-D, A-Cis-E, D-F-A と進む場合。 あとの三つの和音を d-moll の IV, V, I とみるので、 転調先の D は C からみて完全五度を二回あがった D です。 上の例とは違う D に到達します。
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D | A | E | H | Fis | Cis | Gis | |||||||
F | C | G | D | A | E | ||||||||
Des | As | Es | B | F | C | G |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 c1 o4 b1 a1 a1 r4 o5 BW8192c1 o4 BW8930b1 BW8438a1 BW8438a1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o4 g1 g1 e1 f1 r4 o4 BW8274g1 BW8274g1 BW8520e1 BW9012f1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 e1 d1 c+1 d1 r4 o4 BW7619e1 BW8356d1 BW7865c+1 BW8356d1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o3 c1 g1 a1 d1 r4 o3 BW8192c1 BW8274g1 BW8438a1 BW8356d1d-moll が C-dur の近親調と言われるのは F-dur の平行調だから、 と考えるなら、最初の例とは違う D に達してはまずいことになります。 その場合、IV と V の間で調整することになると思われます。 midi ファイルは zj_taiken_22b.mid, ソースは以下のとおりです。
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 c1 o4 b1 a1 a1 r4 o5 BW8192c1 o4 BW8930b1 BW7537a1 BW7537a1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o4 g1 g1 e1 f1 r4 o4 BW8274g1 BW8274g1 BW7619e1 BW8111f1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 e1 d1 c+1 d1 r4 o4 BW7619e1 BW8356d1 BW6964c+1 BW7455d1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o3 c1 g1 a1 d1 r4 o3 BW8192c1 BW8274g1 BW7537a1 BW7455d1
C-E-G, E-G-B, A-Cis-E, D-F-A と進む場合。 二つめの和音は d-moll の II で、減三和音です。 三つめの d-moll の V との間に共通音 E がありますが、 同一声部においていません。 最初の和音の E と二つめの和音の E とは同じ声部におかれています。 ということは、三つめの和音の E は最初の和音の E とは違う音なのでしょうか。 もしそうなら、 すぐ上の図と全く同じ音が使われます。 midi ファイルは zj_taiken_23.mid, ソースは以下のとおりです。
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 e1 e1 c+1 d1 r4 o5 BW7619e1 BW7619e1 BW7865c+1 BW8356d1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o5 c1 o4 b1 a1 a1 r4 o5 BW8192c1 o4 BW8029b1 BW8438a1 BW8438a1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 g1 g1 e1 f1 r4 o4 BW8274g1 BW8274g1 BW8520e1 BW9012f1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o4 c1 o3 g1 a1 d1 r4 o4 BW8192c1 o3 BW8274g1 BW8438a1 BW8356d1到達する d-moll の D は、C から完全五度を二回あがった音です。
そうではなく、下の図の E-G-B を使うなら、短三度さがってから完全五度さがった D です。
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H | Fis | Cis | Gis | |||||
D | A | E | H | |||||
B | F | C | G |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 e1 e1 c+1 d1 r4 o5 BW7619e1 BW7619e1 BW6964c+1 BW7455d1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o5 c1 o4 b1 a1 a1 r4 o5 BW8192c1 o4 BW8029b1 BW7537a1 BW7537a1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 g1 g1 e1 f1 r4 o4 BW8274g1 BW8274g1 BW7619e1 BW8111f1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o4 c1 o3 g1 a1 d1 r4 o4 BW8192c1 o3 BW8274g1 BW7537a1 BW7455d1
C-E-G, B-D-F, A-Cis-E, D-F-A と進む場合。 二つめの B-D-F の D と F を、 C-dur で使われる音で短三度をなしていたものにとれば、 次の図のようになり、 最後の和音の根音、すなわち転調先の D は、 C からみて完全五度さがった F の短三度下の D です。
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H | Fis | Cis | Gis | Dis | ||||||
G | D | A | E | H | ||||||
B | F | C | G | D |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 c1 d1 e1 f1 r4 o5 BW8192c1 BW7455d1 BW7619e1 BW8111f1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o4 g1 b1 o5 c+1 d1 r4 o4 BW8274g1 BW8029b1 o5 BW6964c+1 BW7455d1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 e1 f1 a1 a1 r4 o4 BW7619e1 BW8111f1 BW7537a1 BW7537a1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o4 c1 o3 b1 a1 d1 r4 o4 BW8192c1 o3 BW8029b1 BW7537a1 BW7455d1
C-E-G, B-D-F, E-G-B, A-Cis-E, D-F-A と進む場合。 二つめの和音と三つめの和音の共通音 B は同じ声部におかれているので同じ高さと考えると、 三つめの和音の B は下の図の左のほうにある B です。 四つめの和音 A-Cis-E の E は最初の和音 C-E-G の E と同じにとりました。 結局、最後の和音の根音、すなわち転調先の D は、 C からみて完全五度さがった F の短三度下の D です。
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E | H | Fis | Cis | Gis | Dis | ||||||
G | D | A | E | H | |||||||
Es | B | F | C | G | D |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 c1 d1 e1 c+1 d1 r4 o5 BW8192c1 BW7455d1 BW7619e1 BW6964c+1 BW7455d1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o4 g1 b1 b1 a1 a1 r4 o4 BW8274g1 BW8029b1 BW8029b1 BW7537a1 BW7537a1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 e1 f1 g1 e1 f1 r4 o4 BW7619e1 BW8111f1 BW8274g1 BW7619e1 BW8111f1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o4 c1 o3 b1 g1 a1 d1 r4 o4 BW8192c1 o3 BW8029b1 BW8274g1 BW7537a1 BW7455d1
(ここでは、属七の和音の第七音は根音から完全五度を二回さがった音、 と仮定します。)
外崎幹二・島岡譲著「和声の原理と実習」(音楽之友社、1958 年)の 152 ページの遠隔調への転調のうち、 C-dur から最も遠い、Fis-dur と Ges-dur への転調を考えます。
【C-dur から Fis-dur へ】 C-E-G, Cis+Eis+Gis+H, Fis+Ais+Cis で、あとの二つは Fis-dur の属七の和音と主和音です。 この H を C-dur で使う H と同じ音程にとれば、 使われる音は下の図の右上のほうの地に色をつけたマスの音で、 到達する Fis-dur の主音は C の一つ上の行の Fis です。
【C-dur から Ges-dur へ】 C-E-G, Des+F+As+Ces, Ges+B+Des で、あとの二つは Ges-dur の属七の和音と主和音です。 この F を C-dur で使う F と同じ音程にとれば、 使われる音は下の図の左下のほうの地に色をつけたマスの音で、 到達する Ges-dur の主音は C の一つ下の行の Ges です。
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E | H | Fis | Cis | Gis | Dis | Ais | Eis | ||||||||||
C | G | D | A | E | H | Fis | Cis | Gis | |||||||||
Es | B | F | C | G | D | A | E | ||||||||||
Ces | Ges | Des | As | Es | B | F | C | G |
#german A C1 @19 p0 t128 BR2 o5 e1 e+1 f+1 r4 o5 BW7619e1 BW7291e+1 BW7783f+1 r4 o5 BW7619e1 BW8111f1 BW8602g-1 B C2 @19 p42 t128 BR2 o5 c1 c+1 c+1 r4 o5 BW8192c1 BW7865c+1 BW7865c+1 r4 o5 BW8192c1 BW8684d-1 BW8684d-1 C C3 @19 p85 t128 BR2 o4 g1 g+1 f+1 r4 o4 BW8274g1 BW7947g+1 BW7783f+1 r4 o4 BW8274g1 BW8766a-1 BW8602g-1 D C4 @19 p127 t128 BR2 o4 c1 o3 h1 a+1 r4 o4 BW8192c1 o3 BW7701h1 BW7209a+1 r4 o4 BW8192c1 BW8520c-1 o3 BW8029b1到達先の Fis と Ges は、元の C から見て、対称な位置にあります。 この Fis は平均律よりも約 10 セント低い音、Ges は約 10 セント高い音です。
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A | E | H | Fis | Cis | Gis | Dis | Ais | Eis | His | Fisis | Cisis | |||||||||||||
C | G | D | A | E | H | Fis | Cis | Gis | Dis | Ais | Eis | |||||||||||||
As | Es | B | F | C | G | D | A | E | H | Fis | Cis | |||||||||||||
Ces | Ges | Des | As | Es | B | F | C | G | D | A | E | |||||||||||||
Ases | Eses | Bes | Fes | Ces | Ges | Des | As | Es | B | F | C |