だってみんな・・・・・・。 やってるもん……、持ってるもん……、言ってるもん……、そうだもん…… |
誤答
@みんなそうならしかたないな。
正答
@名前を挙げろ。
A名簿つくれ。
解説
我が子をせめて人並みに、という気持ちはわかる。しかし何が人並みかは微妙だ。
そもそも「みんな」の概念が難しい。
われわれの世界の話をしてみよう。
タバコの投げ捨てなんてみんなやってる。………そうかもしれない。
みんな出世したいと思っている。………ウンそういうことはありうる。
人類はみんなスケベだ。………その通り。全員が非スケベだったら人類はとうに滅びている。
みんな、誰でも自分が可愛いものさ………ウン、多分そうだ。
しかし、
そうでない人もいることを忘れちゃイカンだろう。
家庭訪問に行ったら「ウチの子は学校から帰ると部屋にこもったきり、食事とお風呂のとき以外は出てこなくて困るんです」といわれて首をかしげた。
とても部屋の中でじっとしていられるようなタマじゃない。
返答に困って「部屋になんか入って何してるんでしょうねェ……?」と訊ねたら、
「まあ、多分、テレビゲームしたりビデオを見たり……、それにあの子長電話も好きで・……」
と、おっしゃる。
「エッ!?テレビゲームもテレビもビデオも電話もあるんですか?」
「はい、マンガも500冊ほどあって……」
そりゃ出てこんワ。
「でも、皆さんそうなんでしょ? 息子に聞きましたら、お友だちは皆さん持ってらっしゃるって。他所(よそ)さん、どうしてらっしゃるのかしら?」
「どうしてらっしゃるのかしら」じゃないでらっしゃろ。
実態把握の甘さに驚いて、翌日学校で調べたら、いるわ、いるわ、テレビゲームもビデオもテレビも、電話まで持ってる生徒が4人もいた。
それが全員、彼の仲間だった。
息子の言う通り、「お友だち(彼を除く3名)」はみんな持ってらっしゃった。
しかも、「彼」が最初に持ち始めたのだ。
「みんな」というのはそういうものである。
われわれ大人だってそうだ。
「タバコの投げ捨てなんてみんなやってる」というとき、頭に浮かんでいるのは投げ捨てしている人間だけだ。
「みんな出世したいと思っている」と考えているとき、頭の中にはそういう連中しかいない。
「人類はみんなスケベだ」という時、地球の総人口は数十%減少してしまっている(乳幼児の性欲なんて考えたってしょうがないだろう)。
みんな……と言われたら、「名前を挙げろ」「名簿つくれ」 でかまわない。
常識的に考えて、いくら今日日(きょうび)の中高生だって
こんなのやってるはずはない
持ってるはずはない
言ってるはずはない
そうであるはずはない
……というようなことは
やっても
持っても
言っても
そうであることも
ない!
・・・・・・のが普通だ。
ン? それでもし、本当にみんながやってたり、持ってたり、言っていたり、そうであったら・・・・・・・・?
その時はその時で、また別に考えればいい。
参考
本当は、子ども小さな時から「ウチにはウチのやり方がある」ということを教えておけば楽だった。けれどそうした早期教育は非常に手間がかかるから、多分アナタは手を抜いたのだ。今からでは遅すぎる。しかしがんばるしかない。