有川 浩 11 | ||
別冊 図書館戦争I |
図書館戦争シリーズ本編全4作完結後に刊行された、シリーズ番外編第1弾である。有川浩さん曰く、タイトルは『別冊図書館戦争ファースト』と読む。最初にお断りしておく。以下の文章にネタばれがないとは言い切れないので、一応ご注意ください。
『図書館革命』のラストが、あれ、あれれれれれ…ということになっていたが、本作ではそこに至る過程が描かれている。有川さん自ら警告しているが、甘い。ベタベタに甘い。このご時勢にあって糖類大幅増量である。というか糖分100%である。もう伝説の某大映ドラマの世界…ってどこかでも書いたな。郁は「グズでのろまな亀」ではないけども。
四十路目前のおっさんにはかなり厳しい。一部よい子に読ませるには早い展開もあるが…基本的には純愛である。プラトニックである。普段なら絶対手を出さない。シリーズ本編を読み終えて、愛すべきキャラクターたちに情が入っていたから耐えられた。
ラブラブ一辺倒というわけではなく、事件は起こります。一、「明日はときどき地の雨が降るでしょう」。こんなひどい教員が実際にいても驚かない。酒を持っていって単位をもらった同期はいたが…。二、「一番欲しいものは何ですか?」。こういう客はどこにでもいる。触らぬ神に祟りなし…というわけにはいかない。相手が郁でよかったね。
三、「触りたい・触られたい二月」。うーむ、まだまだ物騒な手段に出る輩がいるのか…。考えるより先に動く、それが郁。四、「こらえる声」。社会的テーマを扱った、本作中最も考えさせられる1編。五、「シアワセになりましょう」。ある意味、良化特務機関より良化法に通じた人気作家。もちろん、図書館は彼の本を守らなければならない。
まあしかし、事件の方は本編ほどハラハラドキドキはしないだろう。誤解しないでいただきたいが、決して事件の部分が手抜きということはない。本編同様きちんと問題提起している。だが、やっぱり本別冊のメインはあくまで「愛」なの「愛」。
ええいもう書いちゃえ、(以下一応反転)郁はもう堂上にとってただの部下ではなく恋人なのである!!!!! それなのに郁の無茶ぶりは変わっていないのだから、堂上も気が気ではない!!!!!(反転終わり) ここまで来たらもう1冊付き合いますよ。