今野 敏 I-03 | ||
疑心 |
隠蔽捜査3 |
隠蔽捜査シリーズ第3作。いやあ、今回はすごいぞ。警察内では「変人」と呼ばれ、妻からは「唐変木」と呼ばれるあの竜崎が…こ、恋をしちゃった!!!!!
過去2作で難題を切り抜けてきた竜崎。次なる難題は、米国大統領訪日である。警察組織を挙げての厳戒態勢が敷かれるわけだが、竜崎は第二方面警備本部本部長に任命される。その管轄下には、大統領専用機が着陸する羽田空港が含まれる。
しかし、現在の竜崎は所轄署の一署長に過ぎず、本来なら第二方面本部長が務めるのが筋である。当然、何かの手違いではと考える。警視庁警備部長にまで面会を求めたが、間違いではなかった。警察庁警備局直々の人事だというのだが…。
竜崎の補佐役に、女性キャリアの畠山美奈子が派遣される。これが苦悩の始まりだった。常に理性を優先させてきた竜崎。嗚呼、なぜこれほどまでに恋焦がれるのか…。彼女が誰かと話しているだけで激しい嫉妬を覚える。夜はろくに眠れない。竜崎の恋の悩みに比べれば、今回は家族の問題は薄味で、悩みのうちに入らない。
日本人がテロを計画しているとの情報がもたらされ、本来なら緊迫するはずが…わはははは。竜崎には申し訳ないが、面白くて堪らん。伊丹に相談すると、一歩踏み出せなどと無責任に言う。もちろん、妻子ある竜崎にできるわけがない。
竜崎が仕事に集中できない中、米国からの先遣隊が到着。その1人、ハックマンは羽田空港の閉鎖を強硬に主張する。一方、上からはどうにかなだめろと言われる。日本国政府として閉鎖はできないという結論に至り、竜崎は大見得を切らざるを得なくなる…。
悩める竜崎が突破口を開いたきっかけとは? ………。うーむ、らしいといえばらしいが。みるみる活力がみなぎる竜崎に、読者も唖然とするだろう。そして、前作同様、今回も鍵を握っているのは…。正直、予想通りの展開だったが、「持っている」ねえ。
番外編『初陣 隠蔽捜査3.5』を読むと、今回の裏事情がわかるらしい。