ZF4スコープについて。

ショーエイのG-43につけるために実物のZF4スコープを入手しました。

ただし、マウントとバンドはついていない個体を買ったのでショーエイの筒抜けダミースコープのものを流用しています。

ZF4についてはリンクさせていただいているSTEINERさんのHPに詳しいのですが、ぼくのこのページでは、そちらに載っていない部分を補完させていただくことにします。

←右側から見たところ。本体は鉄パイプの中間をつぶして調整つまみの乗るあたりの断面を四角にし、パイプの前後からそれぞれ対物部ユニットと接眼部ユニットをはめ込み、その上からネジを切ったリングをネジこんで固定、リングはそれぞれ2このイモネジで固定しています。

前後のユニットとリングの間には革かゴムのパッキンがつくようですがこの固体にはついてませんでした。ただし、グリースがべったりと練り込まれて固まっていた。

←左から見たところ。

マウントには銃本体のレシーバーの右側面に嵌めあわせるためのミゾがあります。

ボルトハンドルを左に持ってきたために(それも左手では使いづらい)、スコープ装着位置は射手と反対側に追っ払われてるのでなんか不自然です。

上から。

ウインデージ(照準の左右を調整する)つまみが上下を調整するつまみより前にあります。

やや正面から。

ダミーのガラス筒スコープでは味わえないこの落ち着きを感じるために大枚はたきましたとも。

で、↓から図解。

ここで恥ずかしい告白です。

このスコープ、買ってから照準線がすごく狂ってることに気がつきました。で、破損品かと不安になってあわてて短絡的に分解をしてしまったわけですが、この調整のために分解する必要はまったくありませんでした。いらない危険でした・・・トホホ・・・

・・・分解はまず、スコープからマウントとアイピース(上図で「眼を保護するための〜かたいゴム製)」っていってるやつ)を外します(当然ですね・・・)。そしたら前後のレンズユニットを止めているリングネジを固定しているイモネジを時計用のマイナスドライバーで緩めるところからはじめます。リングには内側に一ヶ所だけ切り欠きがあるので、幅25.5ミリの真鍮などの2ミリ厚ほどの板を用意してリングにはめ込み、回します。グリスが固まってたので力がいりました。もちろんレンズを傷つけないようにじゅうぶん注意します。

リングが外れれば、前端からは対物部ユニット、後端からは接眼部ユニットが引きずり出せます。

まず対物ユニット。↓汚い写真をおわびします。

上からの写真。

赤く変色してるスコープ本体表面と違い、内側の60年以上前のきれいなブルーイングにはサビひとつありませんでした。(写真は赤みがかかってしまった。実際はもっと蒼いです。)レンズ類もクリーン。

円筒部の上に削りこんでるミゾ(写真ではレンズ部の艶と一直線になって見えてます)があって、これがスコープ本体上部にポンチかなんかで打ったへこみ(内側にでっぱってる)とかみあって上下が決まります。

その他はそれぞれこんな↓感じの役割です。

対物レンズがひろって圧縮した目標周りの風景が「ウインデージ本体(対物スクリーン)」に投影され、それを接眼部のいわば「ルーペ」で拡大して見るわけです。そのさいウインデージと接眼部レンズの間にある「レチクル板(ガラスなし。レチクルは真鍮と思われるワイヤー)」が影となってレチクルをあらわします。

左から。

照準の調整はスコープ本体側についた渦巻き状の回転する円盤(カム)によって行われます。

まずエレベーション。↓

左側から見たところです。

オレンジ色の部分が「ウインデージ用固定フレーム」、青が「ウインデージの対物スクリーン」、ピンクが板バネで常に持ち上がろうとしている「レチクル板と一体のエレベーションアーム」、黄色がエレベーションつまみによって直接回される「渦巻き円盤」です。数字はエレベーション・ノブの表示をシミュレートしてます。100メートル単位らしい。

エレベーション・ノブを回すことでエレベーションアームが上下に動き、レチクルが風景の中で上下にスライドします。

クリーム色はウインデージ・ノブとその回転軸ですが、図は軸がエレベーションの軸と同じ位置ですがこれは間違いで、ウインデージの方が前にずれてます。すいません。

渦巻き板の上端はエレベーション・ノブとエレベーション・ノブのフタで挟まれて、その摩擦によってしっかり固定されているので、狂ったノブを調整するには本体を分解する必要はなく、ノブの中に嵌まって3本のネジで固定されているフタを外し、ノブとは独立して動く中の円盤(=渦巻き板の軸の頭)を二つの突起がある工具で回して調整して、おわったらフタをしてネジをきつく締めればいいのです。これはウインデージの場合も同じです。

次にウインデージ。↓

上から見たところです。

オレンジ色の部分が「ウインデージ用固定フレーム」、青がバネによって常に左を向こうとする「ウインデージの対物スクリーン」、黄色がウインデージ・ノブによって直接回される「渦巻き円盤」です。

ウインデージつまみを回すことでウインデージのスクリーンが左右に首をふり、固定されたレチクルの前で風景が左右にスライドします。レチクルはエレベーションのときと違い、左右にはまったく動きません。

そして接眼部↓

接眼部はいわばルーペです。接眼部の対物部(「ウインデージに焦点があう」って差してる部分)が油様のもので曇ってたのでカメラ用レンズクリーナで綺麗にしたら視界はすごくクリアーになりました。

スコープをのぞいたときにレチクルがどう見えるかはSTEINERさんのHPに素晴らしい写真があります。ぼくの腕ではうまく撮れませんでした。

実物は本体内に窒素が充填されているようですが、ぼくはスプレー式のブロワーの不燃性のを吹き込んでからフタをしときました。たまにやらないとダメかもね。あと、カメラ用の高いオイルを買ってきて、差した。

ところで、G43のレシーバーは鋳鉄といわれてますがそれはG41までで、あるG43コレクターが材質を分析に出したら粒子の並びはG43は鍛造のそれだというレポートが来たと洋書(Hitler's Garands ---GERMAN SELF-LOADING RIFLES of WORLD WAR II by W. D.Weaver)に書いてありました。

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