内閣府・”エネルギーと環境の未来” へのパブリックコメント募集に対して個人的コメントを送信しました。
(2012年8月12日〆切、http: //www.sentakushi.go.jp/)


このページのURL:
http://www5a.biglobe.ne.jp/~tenrou/radiation/public_comment20120812.htm
( 短縮URL: http://goo.gl/xyfg3 )


 福島第一原発事故以来、今日までの1年半弱の間、いろいろなニュースに対して疑問が浮かび、自分が納得できるまで裏づけ調査をしてきたつもりです。特に、誤って植え付けられた様々な先入観念を取り払うために非常に多くの労力を費やしましたが、その結果、自分が理解していなかったことがたくさん見えてきた気がします。まだわからないこと、これから明らかになってくると思われることがたくさんありそうです。たとえば、福島の除染作業がこれ程までに遅れている最大の要因(力)が何なのかという疑問の答えは近い内に必ず浮き彫りにされるはずです。これからの日本復興、日本という国づくりの中で、一国民に過ぎない私ではあるけれどその意見をわずかでも取り入れてもらえるなら、日本はまだ捨てたものではないと信じます。そんな思いを込めて、〆切当日の朝に思い立ってまとめ上げたものです。



送信者: 櫻庭 政夫 (宮城県仙台市)    送信日: 2012年8月12日(日)


【意見の概要(100字以内)】

 国民の安全と健康への配慮は二酸化炭素排出量削減努 力以上に重要であり、原発依存度を直ちにゼロとすべき。地熱・風力などのより安全でクリーンな発電方法への転換により実現可能な範囲内で電力需要に応えるべき。


【意見及びその理由】

原発依存度を直ちにゼロとすることを決定すべきである。その理由と根拠を6つの項目に分けて以下に記す。


(1)原発リスクに関する情報をわかりやすく開示すること

 まず最初に、国民の安全と健康を最優先と考えるべき根拠を国民全体で共有し、原発リスクへの理解度の統一を目指すために、福島第一原発事故に加えて、チェルノブイリ原発事故やセラフィールド放射性廃液汚染による住民の健康被害発症(がん、白血病、心筋梗塞など)について、あらゆる中立な立場で最新調査結果を継続的に収集し、国民にも情報公開しながら、放射線被爆におけるICRP(国際放射線防護委員会)のリスクモデルとECRR(欧州放射線リスク委員会)のリスクモデルのいずれが現実に近いかを政府として再検討し評価するべきである。特に、直接的あるいは間接的に原発事故や放射線被害の可能性に関する情報隠蔽・情報操作に加担したと考えられる個人や機関・団体による影響を徹底的に排除するべきである。


(2)国民の安全と健康を確保するための政府方針の明確化

 (1)の最新の中立的評価結果を新しい基準することで、これまでの原子力発電事業推進の考え方と福島第一原発事故時の放射線の危険性の周知の方法が、国民の安全と健康を最重要視する考え方からかけ離れていなかったかどうかを再評価し、その反省に基づいて、今後の原発事故発生の可能性を”完全にゼロにする”政策を確立するべきである。特に、人間の技術や人間の注意力には必ず不完全さがあるという現実を直視してそれをひとつの大前提とした上で、原発事故発生は絶対にあってはならない、少しの可能性も許さないという明確な立場を日本政府の基本方針として表明するべきである。


(3)国民の気持ちを重視した政府の危機管理体制の構築

 国民の安全と健康を守る能力もないのに「いたずらに不安を煽るべきではないから情報を伝えない」という考え方は間接的な情報操作であると同時に情報隠蔽であり、正しい危機管理体制ができていたとは言い難い。国民の立場から見たら国家的犯罪に等しく感じることを認識するべきである。国民の代表たる政治家とすべての指導的立場の人間は、国民の側に立って国民の気持ちを理解しようと努力すべきである。そして、これまで直接的・間接的にそのような情報操作・情報隠蔽に加担した人物・機関・団体の存在を洗い出し、今後、上記の日本政府の基本方針にいかなる影響も与えないように徹底的かつ具体的な対策を講じるべきである。同時に、これまではそのような対策を行っていなかった部分がかなり存在していたことを日本政府として認め、深く反省し、国民に謝罪すべきある。


(4)現状の発電技術レベルに見合った電力供給限界の把握と周知

 使用済み核燃料や放射性廃棄物の恒久的安全保管・処理技術の確立と廃炉処理に掛かる全コストをあらゆるシナリオで再見積もりし、その結果を踏まえながら再生可能エネルギーによる発電技術の開発にどれだけ投資していけるかを把握し、その結果を国民全体に公表するべきである。そして、国民の安全と健康に立脚した政府方針として、実現可能範囲内でしか電力供給できないことを国民全体と産業界全体に確実に周知し、理解と協力を求めるべきである。同時に、国民の安全と健康への配慮は二酸化炭素排出量の削減努力以上に重要であることを明言すべきである。


(5)日本政府がとるべき毅然たる態度

 国民の安全と健康を最優先とする日本政府の基本方針に理解も協力もできない個人・団体・機関がいる場合には、すべての原発事業推進とその後処理まで含めた全コストを自己負担するよう指導し、国民からの不安・苦情が生じれば直ちに事業を停止させ、一切の国税を使わせるわけにはいかないことを明言するべきである。そのような事業による税収に頼らない国家作りを推進すべきである。すべてにおいて、国民の安全と健康を最優先・最重要視すべきである。


(6)除染技術と発電技術レベルの向上への国家的支援

 単に既存技術の導入に甘んじるのではなく、日本独自に、従来の概念を覆す革新的な放射線除染技術の開発をひとつの明確な目標として掲げ、あらゆる先入観念を排除し、あらゆる可能性の発見に注力すべきである。世界中に多数の原発が存在するという事実をかんがみれば、今後、除染技術の飛躍的発展は極めて重要な鍵を握ると考えられる。日本再生という観点でも、除染が重要であるのは明らかである。また、厳重な隔離・封止が必要な放射性物質や重金属などの有害物質を含む石炭などの低質燃料を利用した発電方法においては、現状の最先端技術をもってしても国民の安全と健康への悪影響を完全に排除できないことを認め、直ちにはるかに安全でクリーンな燃料・発電方法への転換を開始するべきである。すでに実績のある地熱発電や風力発電などのエネルギー比率を徐々にでも増やしていくことにより、実現可能な範囲内で国民と産業界の電力需要に応えていくべきである。