300 王国の分裂(間題の産みの親)
聖書箇所[列王記第一3章5-15節]
私たちはこんなふうに戸惑いを覚えるでしょう。私はどのような者であったらいいの?私は変わりたい、でもどんな者になればいいの?私は人聞関係でいつも苦労する、どうしたらいいの?私は祈りたい、でも祈れないなどなど。いったい間題はどこに生じているのでしょうか。今回はソロモンの人生から教訓を得ましょう。ソロモンの業績などを見ますと、実にすばらしく祝福されているなあーと感心します。ここに神さまのご自身が選ばれた者への心が表されています。あなたは神の子ですか。ならば豊かに祝福されます。しかし落とし穴もあるのです。ソロモンの受けた祝福と落とし穴とを整理してみましょう。確実に祝福を自分のものにするために。
@知恵。
3章16節から28節をお読み下さい。有名な大岡裁きが記されております。当時、王は最高裁の長官でもあったので、国民は裁きを求めてやって来ました。見事な彼の大岡裁きは近隣諸国に知れ渡りました。
A政治。
エジプトから大量の馬と戦車を購入しました。共に国力相当の軍事カを保持するためでした。戦車は映画『ベンハー』で見るようなもので、当時としては実に迫力のあるものでした。この強大な軍事力は周辺の国々への有効な抑止力となって働き、国民は安心して経済活動に勤しみました。平和で経済的に豊かな時代を築きました。
B宗教
先代の王ダビデが果たせなかった夢を果たしました。すなわち神殿を建てました。7年かかりました。これはいろいろな意味で見事なもので、たとえば6章7節をご覧下さい。音も立てずに建築は進行して行きました。これには二つの意味があります。一つは神さまへの礼儀、もう一つは建築技術の高度さ。後者は当時最高の建築技術者を雇っていたことを示唆しています。非常に美しくかつ偉容を誇る神殿の構成部分を垣間見ましょう。日本と違って石の文化です。巨石には横1.8メートル、縦3-8メートルのものがありました。乗り合いバスのような大きさです。重さは450トン。これを石切り場で仕上げ、音もなく建て上げて行ったと言うのです。更に内部は杉と槍。金箔を張り、使われた金の量は86トン、銀は126トン。床や柱は縞めのうと大理二石。ある材料は明らかに今で言うイギリス産。交易圏の広さを物語っています。ため息ばかり出る豪華絢爛さです。
C領土。
史上最大の版図を獲得しました。黄金時代を築きました。
さて、これだけ祝福された彼には何の間題であったのでしょうか。彼の次の代、すなわち息子の代には即、分裂してしまいました。彼の中に問題はありました。教訓を学び、真に祝福された人生を生きるための助けとしましよう。
物や金に気をつけよ!
ソロモンははじめは非常に鎌虚でした。3章6-10節をご覧下さい(参考:l1歴代誌1:8-12)。さらには15節までお読み下さい。そしてもう一度5節と7-9節をお読み下さい。彼は国民の幸せを求めて、良い政治ができるように何を差し置いてもまず知恵がほしいと言ったのです。彼の心は国民の福祉に向いていました。でもこの美しい気持ちが変化してくるのです。変化は最も身近にいる者に、すなわち息子に伝染しました。レハベアムです。彼は非行に走りました。人間は弱いものです。モノやお金に目がくらむことから避けることは至難の業と言ったらいいでしょう。だからこそ信仰が必要です。道を誤らないために。貧欲にならないために。何が大切なものかを忘れないために。信仰は目には見えなくとも大切なものが世界にはあることを教えるのです。コリント人への手紙第二4章18節をお読み見下さい。信仰があなたを助けます。
異性に気をつけよ!
ソロモンは実に多くの女性を召し抱えました。11章1-5節を見ますと、妻が700人、そばめは300人です。驚くべき数です。パロの娘を(1)というのは当時の超先進国エジプトを意識したもので、彼のプライドを示しています。そして手当りしだいに女性を召し抱えました。当時は一夫多妻制の文化です。それにしても呆れるほどの数ではありませんか。こうして大きな間題を孕むこととなりました。それぞれの女性がそれぞれ信じる神を礼拝する施設を求めました。国中に偶像が溢れました。男性は女性に弱いからです。異性が道を誤らせるのです。恋愛は良いことです。でも恋愛を度を過ぎて称え過ぎたらいけません。コリント人への手紙第一7章32節以下をお読み下さい。パウロは人間をよく知っている人です。異性には道を誤らせるカが潜んでいます。
動機に気をつけよ!
はじめは純粋でした。神さまのために、国民のために!でもいつのまにか、動機に曇りが見えて来ました。王宮だって立派なものが欲しくなりました。とうとう両方が完成するまでに20年もかけての大工事となりました。余りにもお金を使い過ぎたので、支払いに窮するようになり、ヒラムには現物返済でというわけでガリラヤの町20を渡して我慢してもらおうとしましたが、不満をもらされました。9章10節以下をご覧下さい。外国人を奴隷にし、身内を強制労働に駆り立てました。国の中に何が起きていたでしょうか。ソロモンに対する不信感、疑惑の念です。人々はソロモンの動機に疑間を持ち始めました。人々は追い詰められて行きました。私たちは人を詰め将棋のように追い詰めてはいけないのです。必ず逃げ道を残しておいてあげるのが礼儀であり、人の道です。でもソロモンにはそんな余裕はもうありません。ついに人々の気持ちを代弁するように、クーデターがヤロブアム(やがて北王国の初代王)によってひき起こされました。国の中はがたがたになって行きました。身近な者こそが不純な動機にすぐに反応するものです。私たちは何をするにも聖なる動機が維持する必要があります。それでこそ神の祝福は約束されます。聖いイエスさまとの交わりによってますます聖さを磨くことが出来ます。
偶像を排除するべきこと
一つの事を覚えていただきたいのです。聖書に出てくる偉人はことごとく、いくつもの問題点を内に抱え、それらを克服していったのです。アブラハムしかり、ヤコブしかり、モーセしかりです。それぞれ自己の保身のために自分の妻を売り、エゴイズム丸出しで、ヒーロー病に罹っていました。でも神さまの愛と聖さに触れると、また触れられるとこのようなものから解放されるのです。これらとは一言で言って、偶像といったらいいでしょう。そうです。いままで述べてきたお金、物、異性、不純な動機とは偶像なのです。それは私たちの内側にいます。
富±銀行会長橋本徹さんの証を読みました。子どもの頃から教会には行っていたそうです。就職する頃にはだんだん信仰から遠のきはじめていました。世の中にあるものがとっても輝いて見えました。心はそれらに占領されて行きました。それから26年後、ニューヨークに赴任して、信仰に復帰します。毎日聖書を読み、祈り、新しい自分に喜びを見い出して行きます。そうです。偶像は愛、信頼、喜びなど真に良いものー幸せを私たちに与え、しかも目に見えないーを破壊します。彼はそれに気がついたのです。
杉原千畝はリトアニア領事でした。本国の命令を無祝して6000人のユダヤ人にビザを書き続けました。彼には、しかし葛藤がありました。外交官として将来のことを考えると暗い思いになりました。彼はこう言って決断をしました。「私は強いクリスチャンではない、しかし神さまのおこころに背くわけにはいかない。そのおこころは愛である」。
私たちは内側に問題の親が存在することを知らなければなりません。イエス・キリストの愛があなたの中に深く入り込むときあなたの中からあらゆる偶像が追い出されて行き、祝福は磐石なものになります。あなたの人生に確かな祝福を祈ります。