319 アビガイル2

 ●聖書箇所 [サムエル第一25章1ー42節]

 顔を会わすだけでぱあーっと心を明るくしてくれる人っていますね。いったいどういう人なのでしょうか。そういう人こそ神さまから愛され、人々から愛されている人です。今回は旧約聖書から良いサンプルをご紹介しましょう。アビガイルです。彼女については3節で紹介されています。どうしてこのような二人が結婚したのかは分かりません。さて、話は、預言者サムエルは死に、サウル王も晩年を迎えていた頃のことです。放浪中のダビデは自分の部下への援助をナバルに丁重に依頼します。ところが彼は全くひどい男で、ダビデのメンツを完全につぶしてしまいます(10、11)。怒り狂ったタビデはとっさに復讐しようと攻撃命令を発します。その情報を聞き付けたのがナバルの妻であるでアビガイルでした。結論を言いましよう。立流な働きでした。流血の事態は避けられ、ダビデも罪を犯すことから守られました。神さまに愛され、かつそれを自覚する人は神さまのみこころをこのように無意識のうちにも行い、多くの人々から賞賛を勝ち取ります。これは単なる偶然ではなく、神さまからの報酬であり、恵みです。彼女から学びましょう。

人との出会いは神による演出

 私たちはいろいろな人との出会いを経験しますが、これは決して偶然ではありません。ちょうどこの世界が、あなたという人が造られたというのと同様に神の演出です。ここに希望があります。この方の頭脳は大変優れているからです。ところでその通りですねとすなおにうなづくことが、あなたにはできますか。実はこれが難しいのです。というのは実生活の中ではさまざまにことが起きて、「なぜこんなことが起きるの!?」とついぶつぶつ言う場面が多いからです。でもなぜ多いのでしょうか。というよりなぜ悪いことが起きるのでしょうか。ここでひとつ考えてほしい事があります。神さまとあなたと、どちらが頭がいいのですか。私たちは頭が悪いから悪い事っていうふうにいともたやすく判断してしまうのです。私は以前会社に勤めていまして、ステレオを作っていました。電気技術者でした。あるとき、上司から呼ばれ、「○○へ行ってくれないか」と言い渡されました。遠いところだったので、左遷かなあと思いました。会社勤めにとって左遷は死刑判決に近いものです。でも後になって私は自分がそう考えたことについて、自分の頭の悪さに気がつかされました。私は派遣された先で、実に多くの事を学ぶ事ができました。給料をもらいつつ、授業を受けさせてもらったと言ってもいいでしょう。リーダーシップについて、マネージメントについて、人間の心理や人間関係の技術についてなどなど。その時代に体で実に付けたことが今日すべてが役に立っています。ほんとうに神さまには感謝しています。すべては益になります。神さまがおられるからです。アビガイルもそれなりに平安な生活を送っていたことでしょう。ですから突然この事件が降って湧いたような感じでした。ナバル一族は今や風前の灯。400人の武装兵と200人の後方支援部隊が襲いかかろうとしています。これは一つの町全体がやって来るようなもので、当時としては非常に大掛かりなものでした。でもこの事件を通して彼女はダビデと歴史的な出会いをします。まさに何が益となるか分かりません。どうか、あなたの信じる神さまは良いお方と信じてください。良いお方ならあなたのために良い事をしてくださるのは当然です。

武器は愛と知恵

 神さまと人とに愛される人はそのための有効な武器をしっかりと持っています。時々私たちはある人々を見て、ある人々とは成功している人々のことですが、「運がいいなあ」と考えます。でもそれは事実のわずかの部分しか見ていません。成功する人はこつこつ努力をしているのです。人々の目に見えないところで一生懸命にすべきことをしています。その結果だけが人々の目にとまりやすいのです。誤解してはいけません。すべてのことにやり方があるのです。そのやり方が愛と知恵です。反対はさばきと愚かさ。アビガイルのしたことを見てみましょう。まず、アビガイルはわきまえることのできる利口な女であると言われています。さて彼女のしたことの実例。
 1)ナバルのしもべたちにはこの件に関して何の罪もないので、滅ぼされるべきではないと判断しました。
 2)ダビデには罪を犯さない事を求めました。ダビデは復讐を思い止まります。そのきっかけとなった23?31節で彼女は何を言っているのでしょうか。
 「あなたさまはお若い、これからのお人です。しかも神さまから特別の愛顧を受けて、神の民・イスラエルの王に任じられる栄光に浴しています。あなたさまは神さまが期待をかけておられるだけあって有能であり、かつまた有能な部下を多く持っていらっしゃいます。実に恵まれたお方でいらっしゃいます。それなのになぜこのような大きな罪を犯そうとなさるのでしょうか。若者の罪を流し、どんな良いことがあるのでしょうか。あなたさまは神さまを信じておられるでしょう。みこころを知ることがおできになるはずです。決して軽率なことをなさらないでください」。
 3)ダビデに贈り物を贈っています。18と19節をご覧下さい。贈り物はどの人の心をも和ませます。心を開きます。心が開けば大事な話ができます。
4)アビガイルはさっそく最悪の事態を避けようと有効と思われる行動(18?35)に出ますが、夫にはそれを知らせませんでした(19、36)。ナバルは愚かで、エゴイストで、全くひどい男です。かと言ってさらにもうひとつの罪を追加させてもいいとは彼女は考えません。ところで彼女は夫にこのことに関して彼をいさめたりするとかもしてはいません。これは何を教えているのでしょうか。真実を話すのだから何を言っても許される、有効である、良い結果をもたらすという考え方は必ずしも正しいとはいえないということでしょうか。たとえば意識、無意識のうちに復讐の気持ちが混じる場合があることもあります。
 このようなアビガイルのやり方には愛と知恵が溢れています。愛は知恵を生みます。私は日曜学校の教師をしたことがありますが、子どもと話をするときにはいつも目のレベルを合わせるようにしていました。心が気持ちが通じるのです。たとえ日本語が分からなくても。でも注意してください。これはテクニックです。単なるテクニックは人々に冷たさを感じさせます。愛があってこそそれは生きます。ベルギーのダミアン神父をご存じでしょうか。彼はハワイ・モロカイ島にやって来ました。そこはライ病者を隔離する島でした。はじめ人々は彼を全く受け入れませんでした。「ライ病ものでないお前におれたちの気持ちが分かるか!?」と叫ばれました。彼は祈りました。「どうか私にらいをください!」。ある火、たき火をしていたところ、火の燃えた木片が彼の足の上にころがって来ました。しかし熱くもなんともないのです。彼は知りました。祈りが聞かれたことを。以降島の人々の態度は豹変しました。彼の誠意は通じ、多くの人々にいつまでも尊敬されています。愛は相手の気持ちになること。アビガイルはしもべたち、ダビデの立場に立ち、したがってその為の知恵を駆使しました。愛があるなら、知恵は次々に生まれて来ます。ちょっとだけ聞いてください。いじわるな人っていますね。そして私たちはいじわるをされると、よくもそれだけいじわるなのことを次々と思いつくなあと逆に感心したりもしますね。内にある情熱がそれにふさわしい知恵を産み出します。その情熱、愛はどのようにしてあなたのものになりますか?あなたの中に生まれ、育ちますか?それは、自分の価値を認めること。あなたはかけがえのない、世界で唯一の存在。あなたの前にあなはいません。あなたの後にあなたはいません。あなたはオリジナルであって、決してコピーではありません。あなたは高価な存在です。あなたは神さまに選ばれた特別な存在です。自分をこのように受け止めている人は他者の持っている価値を受け入れることができます。私たちは他者を裁く事があります。なぜ?それは自分の中の問題を解決処理する事ができていないから。そのいらいらが責任転嫁を起こさせます。私たちはまず自分の中に自分をけなしたり、ばかにしたり、劣等意識でこりかたまっていないかを調査すべきです。十字架を信じるとは、自分の価値を信じることです。主イエスさまはゴミのために死なれましたか。まさか!価値あるあなたのために死なれたのです。自分の価値を信じている者は他者を真実に愛することができます。

良いパートナーが神によって用意されていること

 人はひとりで生きることはできません。常にパートナーを必要としています。アビガイルがここで重要な働きができたのは彼女にすばらしいパートナーがいたからです。すなわちダビデが襲って来るという大切なかつ確実な情報を持って来てくれる者がいたからです。やがて彼女は生涯のパートナーとしてダビデを夫として迎えます。私たちにはパートナーが必要です。家庭でも、職場でも、教会でも、さまざまな分野で。パートナーこそあなたの働きを大きくしてくれます。私は現在7つの教会を運営していますが、10人の説教者たちがパートナーとして協力してくれています。神学校も経営していますが、はじめは私一人が教師でしたが、今はたくさん優秀な人が手伝ってくれています。英会話学校も経営していますが、アメリカ人が協力してくれています。パートナーたちからは私がパートナーです。お互いが益になっています。時間を有効に使えるし、その時間で自分自身を高めることができます。どのようにしたら私たちはパートナーを得ることができるでしょうか。二つの方法を紹介しましょう。一つは直感です。インスピレーションです。恋愛をしている場合に、「なぜ好きになったのか?」と聞かれて説明するのは至難のわざでしょう。「身長が○○もあるから」。でも同じ身長の人はたくさんいます。もしあなたが好きの印象を持ったら相棒になってもいいでしょう。きっと立派な仕事ができますよ。もう一つは相手の利益になることを教える。長続きしない関係は自分の利益のために相手を利用しようとするときです。ギブアンドテイクでなければなりません。利益は折半しなければなりません。どうしても自分の利益のために相手を思い通りにしようとすれば操作をしなければなりません。これは英語でmanipulationと言います。自分の真の動機を隠して事をさせようとするすることです。これは人の道に反します。倫理に反します。ともに繁栄しなければなりません。これこそ長続きする関係、パートナーの関係です。 あなたが働くあらゆる場面ですばらしいパートナーを発見してあなた自身がおおいに発展することをお祈り致します。発展して行くあなたは神と人とから愛されます。