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若い母親のあなたへ 12
すこやかな成長
――遊びを通して――
心身ともに子どもをすこやかに育てるためには、いったいどうしたらいいでしょうか。
まず、身体面から考えてみましょう。
人間の誕生時には約2兆あった体細胞は、3年ごとに約8割が更新されつつも、年々増加し、成人期には約50兆となります。この間、2つの主な成長期があります。
0〜3歳、10〜13歳です。それぞれ、もっとも栄養に気を配らなければなりません。
まずは、神さまの造って下さった母乳が一番です。科学的にもそう言われています。甘いものばかりあげたり、野菜が少ないのも良くありません。
また環境も重要です。親や学校の先生がタバコを吸うのも、良くありません。
次は体を動かすことです。子どもたちは通常、かなり動き回っています。一歳ごろは約1,300歩ですが、4、5歳ごろは約18,000歩。
大人は約14,000歩ですから、相当歩いています。
実際、4歳児は4キロ。5歳児は5キロ歩けるはずなのに、電車や車にばかり乗せるのは良くありません。
すこやかな成長のためには、おおいに体を動かす必要があります。
そこで、テーマは「遊び」ですが、効用はそれだけではありません。
「家畜化」ということばがあります。至れり尽くせりの育児環境を辛辣に表現したものです。
もちろん悪い環境より、いい環境の方で育つ方がいいに決まっています。
しかし「家畜化」されなかったおかげで、自立心旺盛に、積極果敢に、新しいことに挑戦してゆくたくましさを身につけていった子どもたちもいます。
聖書の登場人物は、ファミコンやテレビのなかった時代ということもありますが、神さまが造られた自然環境の中で、つまりあまり人工的でない環境の中で、現代の私たちよりもずうーっとすこやかに、のびのびと生きていたようです。
現代人の生活はあまりにプログラム化され、管理されています。このような状況から私たちが求める健やかな成長が、子どもたちに望めるでしょうか。
このような中で、「遊び」は子どもたちを「家畜化」から救うと言えます。
第1に、大脳の発達の開始。
赤ん坊や幼児の遊びは、まずお母さんの顔をおもちゃにする「顔遊び」です。また「手や指の遊び」もあります。普通赤ちゃんが生れたときの細胞数は140億個で、脳の重さは400グラム。
大人は、細胞数は変わらないのに、重さは1,400グラムです。これは脳細胞の絡み合いの増加によるのです。
脳細胞はいわばトランジスタなどの電気部品とすれば、絡み合いはそれらをつなぐ配線と言えます。配線は、複雑であればあるほど優秀と言えます。
こうして増える脳の重さですが、0〜2才、5〜7才、10〜12才の3つの増加のピークがあります。
子どもは手、指、肌や、全身で受けた接触、更には親の顔の表情(怒ったり、悲しんだり)という刺激が信号となって、この絡み合いを増やしていきます。
赤ん坊の前で、分からないと思って、いい加減なふるまいをしていると、それが脳の配線に組み込まれてしまいます。
お母さん、ことばづかいや表情などに注意しましょう。夫婦ゲンカなど決して見せてはいけません。
この時期の子どもは、そのまま大人のやり方をコピーしてしまうのです。
すこやかな子に育てたいと思うなら、親自身がすこやかに人間として成長していなければいけません。
第2に、高次の脳の活動の開始。
「跳んだり、はねたり、走ったり、掴みあいをしたり、投げたりの遊び」。3、4歳ごろは第一反抗期と呼ばれます。いわゆる、わからず屋の時期です。
親のコピーであることをやめて、自分で取捨選択しようとします。しかし、慣れないので自分自身でも混乱してしまっています。
それがお母さんには、わからず屋と見えてしまいます。自発性が生まれてきている、あるいは高次の脳の活動が始まっているのですから、喜んでください。
この時期、3〜5人位の小集団でもって自主的な「遊び」を展開します。高次の脳の活動のために必要です。
現代は、一家族あたりの子どもの数が2人を割っているため、保育園や幼稚園に入れることはこの観点から見てもいいことです。
第3に「ことば遊び」
「だれかさんの背中にチョンチョコリンがとまった」 兄弟や、遊び友達に向かって言います。幼稚園の年長あるいは小学校1、2年生の頃、脳の第2の発達期の「遊び」です。これによって絡み合いを深め、やがて文字を書き、本を読むようになります。
この「遊び」は、人生における文字との長い長い付き合いへの備えです。
第4に可能性の発見。
小学校3年生位からは、活動が非常に活発で、行動半径も広がります。発想が大人的で、いたずらも知能犯的になります。この時期を、ギャングエイジと言います。
非行が心配ですが、蓄えてきた知的・体力的エネルギーを発散させたいだけです。大人からすればあまり感心できませんが。
健康な形でエネルギーを発散させる、それが「遊び」です。この項お母さんは・・・ 「もうお兄ちゃんなんだから、いい加減にしなさい。そんなことをして!」 と反応しがちです。それまでは気の向くまま、足の向くまましたいことお許していたのに、です。
従来の行動は、大脳の古い皮質の働きです(古い皮質は食欲や性欲など原始的な本能を、新しい皮質は高度な知的能力を担当します)。
それが、新しい皮質によって制約を受け始めます、外部からも自分の意識としても。
ここにストレスが生まれ、かつ蓄積されて行きます。大人はこのような場合にどうするでしょうか。
「酒」の力を借りる人は少なくありません。これは大人の「遊び」と言えます。
「酒」はいわゆるホロ酔い状態になると、新しい皮質がマヒして古い皮質が自由になります。話し上戸になる人は、普段新しい皮質によつて、自由に話すことが妨げられているのです。
もし、子どもの時代に健全な「遊び」方を学んでいれば、大人になって反社会的逸脱行動に走ることはありません。
むしろ自分の性格にあった「遊び」が、いわゆる芸が身を助けるというように、天職となって充実した人生へ導きもするのです。
「遊び」は、あなたの大切な子どもさんの将来を、バラ色にしてくれるものでもあるのです。また本人自身、納得の行く人生を送ります。
お母さん、あなたの役目はつかず離れず、見て見ぬふりをして、本人の好きなことが続けやすいような環境を作ってあげることです。
だれでもそうですが、好きなことには相当のエネルギーをつぎこみますし、そうでないときにはあっさり止めてしまいます。
それにしても、やり続けて成功したときの快感といったら・・・・。おかあさん、あなたにはもう経験がおありでしょう。
「神はみこころのままに、あなたがたのうちに働いて志を立てさせ・・・」(ピリピ2:13)。
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