106.ストップ・ザ・うつ(思い煩い)

聖書箇所 [ピリピ人への手紙4章4−13節]

 寒い季節、雨が降り続く季節、ちょっとした風邪を引いたなどなど容易にうつになりやすい弱さが私たちにはあるのではないでしょうか。
 うつの反対語は何でしょうか。いくつも解答はあると思いますが、一つの答えは信仰です。6節と7節をお読みください。こう言っているのでしょう。「神さまが私を愛していらっしゃることが私にはよく分かります。私の気持ちも分かって下さるし、それを思うと平安になります」。これが信仰というものです。したがってうつとは信仰が空洞化していると言えるでしょう。
 うつの原因は何でしょうか。思い煩いです。ギリシャ語ではメリムナオーと言い、メリゾー(分割する、分裂する)とヌース(心)の合成語です。そうです。もしあなたが思い煩っているとしたら八つ裂きならぬ2つ裂きにあっています。ではだれが引っぱっているのでしょうか。神さまとサタンです。どちらが勝つのでしょうか。いや質問を変えましょう。「神さまが勝つ」という理想的な答えをペーパーテストで解答し満点を取ってもあまり意味はないからです。
 さあ、新しい質問は、「だれが勝利の鍵を握っているのでしょうか?」。
 それはあなた! あなた!があなたの思い煩いを止め、うつを終わらせることができます。あなたに決定権があります。
 今回はうつ(うつ病を扱うわけではありません)、そして思い煩いを退治するための方策に取り組みましょう。

喜ぶこと[4節]

 あなたは喜んでいますか。喜んだ生活をしていますか。反論が飛んで来そうです。うつの気分で悩んでいるのにー、喜べないから悩んでいるのにー、なんということを聞くのか、というような。まあ聞いてください。心理学者はこう言っています。「人は心に考えていること思っていることを感じる。行動していることを感じる」。したがってうつを感じるのはうつ的な思いをしているから、うつ的な行動をとっているからとなるでしょう。
 マタイの福音書12章34節をご覧ください。心の中にあるものが口を動かす、それは行動にも適用できる真理ではないでしょうか。少なくない人々があまりにも心に関して無防備です。ドアを開け放っているので、悪い思いがどんどん入ってきます。というよりも平気で入れてしまっています。思い煩っているとき、その人はその思いを平気で自分の心に入れてしまいます。怒っているとき、その人はその怒りを平気でこれまた自分の心に入れてしまいます。なんと無防備なのでしょう。もっと自分の心を大切にしなければいけません。鍵をかけるにはどうしたらいいでしょうか。2つご紹介しましょう。
 第1は、生活上の祝福を数える。職場が、家庭が、友人が、信仰が、健康が、教会が与えられているなどなど、一つ一つ具体的に挙げて感謝しましょう。あなたの心は喜びで満たされること請け合いです。
 第2は、感謝を当てにしない。愛したら、お返しを求めないことです。また人に期待し過ぎない。神さまがあなたに報いてくださいます。

寛容[5節]

 どうか寛容であってください、狭い心ではなくて。寛容でない人は他者をさばきます。他者をさばくと、自分が、少なくとも自分によってさばかれ、平安でなくなります。と言ってもなかなか難しいことではあります。さばく、とは心の持つ一種の「くせ」です。
 東京の港区にある北青山診療所の尾山裕紀院長はこう言っています。「自分の心の『パターン』に気づくことが大切」。さらにアメリカで生まれた認知療法は「くせ」を修正して行こうという方法です。
 心に「くせ」がある。その「くせ」はあれかこれか、ゼロか100か、イエスかノーか、白か黒か、即座に解答を出さないと気がすまないというものです。うつ病になる人は現実を客観的に見ないで、否定的に偏向的に見る習慣が身についてしまっています。ですから辛いことに会うと「私は呪われている!」と思う「くせ」がついているので、「私は呪われている!」と叫びます。
 慶応大学精神科の大野裕講師はこう言います。「うつになる人は考え方に無理があるのです。自分の良くないところばかりに目を向けて自分を責めたり、逆に目をそらしたりする。それでは心が窒息してしまいます。・・・うつになりやすい人は、考え方の『くせ』を知り、変える訓練をしましょう。遺伝子がすべてを決めているわけではないのです」。
 実はこういう「くせ」は良くも悪くも4−6歳のときに身につけます。良い例は次のようです。お母さんに叱られて辛い思いをし、泣く。でも数分後にはお母さんの膝ですやすや。叱られた(現代では親に叱られた経験のない人が増えています。従ってそれに対する耐性がないので、ちょっとしたつまづきやきっかけでうつになりやすい、そして立ち上がりにくいと思われます。幼児期から青年期に向けて、叱られる経験はこの意味でもとても重要かつ必要なものです。挫折のない人生などないからです)、でも「愛されている」という思い。そうです。実はこれこそが寛容さの起源です。大人になってから、どうしたらこれを身につけることができるでしょうか。3つご紹介しましょう。
 第1に、リラックスすること。普段とは違ったペースにすることです。旅行などによっていつもとは違った世界を見ることができます。あなたを愛して下さる神さま、この世界を造ってくださった神さまの世界は広いのです。
 第2に、趣味を持つこと。信仰の偉人たちはこぞって多趣味です。ダビデは王、軍人、詩人、音楽家などなど。彼の子ソロモンも王、軍人であり、3000の箴言を書き1500の詩を詠みました。イエス・キリストはたとえでたくさんの自然界のこと、たとえば空、雲、夕焼け、海、川などをあげ、その他あらゆることに造詣が深い方でした。ピリピ人への手紙の著者パウロは神学者、哲学者、そして論理学者。さらには競技にも、すなわちボクシングやトラック種目にも知識を持っていました。趣味の多い人は多面的な見方をしやすいのでうつになりにくいのです。
 第3に、「私はイエス・キリストに愛されている」とすなおに受け止めること。あなたは失敗が恐いですか。失敗だってイエス・キリストは許(赦、も)してくださいますよ。

主は近い意識[5節]

 イエス・キリストは空中にあなたを迎えにおいでになります。いつであるかは特定できません。でもいつそういうことがあっても大丈夫なように準備をしていなければなりません。
 第1テサロニケ4章13節から11節をお読みください。これを「携挙される」と言いますが、もしこのときに準備ができていないと以降の恐ろしい7年間に及ぶ患難時代に取り残されます。緊張感を持って今を生きるべきです。ちょっとした緊張感と共に真剣に今を生きる、それを積み重ねて行くときに実りある未来があなたのものになります。今をいいかげんにすると思い煩いの原因になります。聖く、正しく、かつ人を愛する生活をしましょう。

熱心に行動[8、9節]

 パウロはうつになりにくい人の典型です。と言うのは彼は行動する人であり、きょろきょろしません。神さまがどの人にも正しいことやすべきことを教えてくださいます。美しいこと、正しいことなどなど。あなたも実行してみてください。ひたすら、何か1つか2つでいいですから、これは人には負けないという特技を持つことをお勧めします。それにはあなたが興味を持てることを選んで下さい。好きになれそうなもの、今好きであるものを選んで下さい。そうでないと長続きもしないし、向上もしないからです。好き、という感情とともに聖霊さまはあなたのためによく働いてくださいます。

よく祈ること[6節]

 最後によく祈ることをお勧めしておきます。以上学んだことを心に留めて祈ってください。祈りが聞かれるための条件があります。悔い改めです。このテーマの場合には何を。あなたの強さです。あなたは強い、強すぎます。だから思い煩いもし、うつからも逃げられません。強い人の口「癖」をお教えしましょう。説明を聞いたあとで「分かりました。そのとおり、おっしゃる通りです。でも・・・」。この「でも」が最大の特徴です。あなたはいかがですか。
 天において父と御子の会話がありました。そのとき、「分かりました。そのとおり、おっしゃる通りです。でも・・・十字架にかかることは苦しいのですから。いやです」とは御子はおっしゃらなかった!のです。
 もしあなたが自我を砕くなら、すなわち弱くなるならあなたは真に強くなり、うつに沈んだままということはないでしょう。13節のことばを味わってください。12節でパウロもたくさん砕かれたことが分かりますね。
 あなたの人生に神さまの豊かな祝福をお祈りいたします。


メッセージ集に戻る