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認 知 症
「暴言」と思えるもの
認知症の人と一緒にいると、「暴言」としかとれないようなことを
言われることがあります。
しかも、一番身近で介護をしている人に対して言われることが
多いものです。
周りの人にとってはつじつまが合わなかったり、理不尽なことでも、
認知症の本人にとっては当たり前のことなので、自信を持って話します。
また、今までは人間関係を考えて言わなかった価値観でも、
何のためらいもなく言葉にし、介護者に押しつけてくることもあるでしょう。
いずれにしても、介護者にとってはとてもつらいことです。
○ 介護をしている人に対して、
誰も盗ったりしないような古い歯ブラシや入れ歯などでさえ、
見あたらないときに「あなたが盗った」と言ったり、
「あなたは嫌い」などと言ったりします。
介護者にとっては、とても傷つくことであり、
「そんなもの、誰が盗るもんですか!」と言いたくなります。
でも、反論したり言い争ったりしても相手が変わることはなく、
筋道を立てて説明しても相手はわからず、混乱や動揺を大きくします。
「物を盗った」と言ったときには、「あなたが盗った」ということではなく
「物がなくなった」ということに反応を返し、「なくなったの?
じゃあ、一緒にさがしましょう」と言ってみるといいかもしれません。
その他、失礼なことを言うときには、話題を変えるなど、
気をそらせてみる方法もあります。
○ 認知症の人は、ときに要求が多くなり、自己中心的に
見えることがあります。
特に一見認知症とわからないように見えたりすると、
わざとしているように思え、腹が立つこともあります。
認知症の人は、計画する能力が衰えてきているのですから、
次々に要求するという行動も、意識的に行っているのではなく、
ただ単に、人と接するつたないやり方に過ぎません。
認知症の人は、意識的に侮辱することさえもうできないのです。
○ 「ここは私の家じゃない」とか、「私の家に帰りたい」と
言うこともあります。
「どこに帰るっていうの!」と言いたくなりますが、この場合も、
反論したり筋道を立てて説明しても相手はわからず、
混乱や動揺を大きくします。
「帰りたいのね」と共感的に聞き、「今日はもう遅いから、
明日にしましょう」などと言ってみてはどうでしょう。
「うそ」というより、「相手の世界で話をする」ことができれば、
少しは気が楽になるかもしれません。
○ 暗いところでカーテンが動いているのを見て、「怪しい人がいる」と
言うこともあります。
そのときは、「誰も忍び込んだりしませんよ!」などと
認知症の人の言ったことをすぐに否定するより、
「見てみましょうか」とカーテンの所まで見に行き、
「カーテンでしたよ」と説明した方が、認知症の人は動揺しません。
いずれにしても、介護者にとって「暴言」としか
受け取れないときには、介護者が疲れているのです。
もっといろいろな人と介護を分担し、自分の休息の時間を
きちんととれるよう、周りの人と相談してみてください。