重よし

「ピンクハウス絵本2」で金子さんと共演した佐藤憲三さんが店主の表参道の割烹「重よし」は1972年開店。通でない人には敷居が高いといわれる。常連には栗崎fさん、林真理子さんなど。

重よし
東京都渋谷区神宮前6−35−3
рO3・3400・4044
12時〜13時30分、17時30分〜22時
日曜、祭日の月曜休(その他の祭日は夜のみ)
要予約
昼食¥5,000〜 ほかに定食¥3,500(予約不要)
夜、コース¥18,000〜 注文で一品料理も

常連には年季の入った食通が多い。お客自身やその妻子で、ここで料理を習っている人も。店主佐藤憲三さんは素人だからと容赦せず厳しく、本当のことを言い聞かせる。たとえば――。
「毎日とは言わない、頑張って作ろうというときには、材料にお金をかけなさい。魚にしても、丸赤までわざわざ出かけるくらいはしてほしい。それも同じ丸赤でも、デパートの出店より本店のほうがいい魚がある、当然、高いけれども、獲れた場所が違ったり、それだけの値打ちが充分にあります。
日本料理で一番大切な出し。これも毎日鰹節を削れとは言いません、削り立ての削り節を買って使うので充分。ただし、昆布だけは贅沢をしなさい。日本の昆布、ほぼ100%が大阪の市で値が決まります。上等品は関西にしかないんです。最上級では1キロ1万6000円というのがあって、これは北海道函館の近くのどこか、そこで獲れるのが一番という場所の産。東京では一流の料理屋さんが買う昆布でキロ最高1万円ですが、関西にはさらに上質の昆布があるということ……。
そういう昆布を使えば、鰹節を削ろうが削り節を使おうがそんなに変わるものやない。パック詰めの削り粉ではダメですけどね、血合いの入っていない、ある程度いい削り節、これで充分。昆布さえよければ、下手するとそのへんの料理屋さんより美味しいお吸いものができますよ」
「ブリアラ大根、うちではお客さんにアラは出さない。ブリアラを煮た煮汁で大根を煮る、それも外側がこってりした色で、割ると中は白いという煮え具合で。しかし商売の料理と皆さんが家で作るものとは違います。大根とアラを一緒に煮るのが一般的です。大根を茹でておかずに、生から一緒に。
ただ、アラにもよるんです。中落ちなら、茹でた大根のほうがいいし、頭ならかなりじっくり煮てもいいとかね。そういう使い分けを自分の舌と身体で覚えてほしいですね。
魚のアブラの乗り具合で、大根の厚さ大きさを変える。タイの頭なら蓮根か芋を合わせる。白身はあっさり、濃厚な味の魚はこってり……」

ブリアラ大根


「重よし」御用達の店

丸赤
(魚介類)
東京都文京区湯島3−39−9
рO3・3831・5701
10時〜18時30分
日曜・祝日休
湯島本店の他に高島屋、松屋、西武などの百貨店にも出店している。鮮魚の他に干物類も豊富にある。また厳選された食料品の瓶詰類、「海の精」など塩も並んでいる。ぶり1切¥1,200〜、キンメ1切¥1,000〜、生白魚100g¥1,500〜、蛤や青柳など和食に向くものが多いがオマールやラングスティンは1匹〜、ムール貝などは500g〜、2日前までに注文すれば揃えてくれる。
マルマツ小倉商店
(京野菜)
東京都中央区築地6−23−9
рO3・3541・9949
5時30分〜11時30分
第2、4水曜・日曜・祝日休
あまり遅く行くと野菜がなくなってしまうので9時か10時頃までにぜひ。築地の朝は早い。めずらしいもので加賀の丸芋や胡麻和えにすると美味しい京都の丸葉菊菜がある。

「重よし」御用達の食材

削り節 100g¥600 月に1度、日本橋高島屋にて計り売り。
柳屋本店 静岡県焼津市東小川2−1−10 рO54・629・3244
山出し昆布 1枚130〜200g。黒口100g¥1,500円。1枚から買える。
音羽昆布 京都市東山区五条通大橋東入ル東橋詰町28 рO75・561・0579
きち゛醤油 左・薄口¥540、右・濃口¥430 900ml瓶3本より。
きち゛醤油(資) 広島県呉市仁方本町1−2−51 рO823・79・5026 
米酢 ¥630 900ml瓶2本より
(有)赤江酢本舗杉田商店 宮崎県宮崎市大字田吉170 рO985・51・1165
京都山利の味噌 白味噌と赤出し 各¥600 紀ノ国屋に常備
紀ノ国屋インターナショナル 東京都港区北青山3−11−7 рO3・3409・1231

注意・データは1997年当時のものです。

フィガロジャポン1997年3月5日(No.106)「料理マニアのベスト食材。」より

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