ああ、勘違い
『第3話』
私がある救急病院に勤務していたころの話です。
Tさんという、おかまの患者様が入院されていました。
おかまさんという以外は大変感じの良い方でした。
かつては予備校の講師をしていたこともある方で私はこの方のことを冗談で「先生」と呼んでいました。
私は、血管造影検査を担当した事がありよく知っていました。
この患者様は、入院中はもちろん化粧しないので顔は普通の男性でしたが、
下着だけは女性ものを身に付けておられました。
顔は無精ヒゲがはえても下着は女性ものというのが何ともアンバランスで、滑稽でした。
本人も「このツラでパンティは女性ものだからさぞかし不気味でしょう」等と
私にも冗談をよく言われていました。
私はこの方に合うと冗談で「先生、今日のパンティ何色ですか〜」とよく言っていました。
ある日、私が救急当直を終えて朝方医局に向かっているとき、
このTさんがコ−ヒ−の自動販売機のコ−ナ−に入っていくのを目撃しました。
私はちょっとひやかしてやろうと思い、Tさんが自動販売機のコ−ナ−から出てくるのを待ちました。
Tさんの人影が見えたと思った瞬間、「先生、今日のパンティ何色ですか〜」と言いました。
ところが何と出てきたのは患者の Tさんではなく、美人で有名な薬剤師の K先生でした。
大変な勘違いをしてしまいましたが、後の祭り。。
それ以来 K先生の誤解は解けていません。あれからずっと口をきいてもらえませんでした。
結婚で退職されたと聞いています。あ〜、ずっと誤解されたままだ〜
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