ああ、勘違い
『第5話』
私がある総合病院の放射線科という検査を主体とする科に
勤務していたときのことです。
ある日この放射線科のトイレで造影検査後の患者さんが
気分が悪くなり倒れているのが発見されました。
幸い大事に至らず、元気になられましたが、
この患者さんが気分不良の時押すナ−スコ−ルのスイッチを押していたにもかかわらず、
それに我々スタッフが気づかず患者さんに御迷惑をおかけしてしまいました。
そんなわけで、私は気分不良の時のナ−スコ−ルは見落とさないように、
待たせず速やかに行動しようとスタッフに話しました。
翌日私は造影検査を終えて一段落したときでした。
また例の気分不良のナ−スコ−ルが鳴りました。
私はたまたま手が空いていましたので、
すぐに看護婦さんを連れて昨日のトイレに直行しました。
トイレに向かって「大丈夫ですか〜。」と叫びましたが返事がありません。
ドアを開けようとしてもなかなか開きませんが完全にロックされているわけでもありません。
少しドアが動くけど開かないのです。
私は意識がもうろうとした患者さんがドアに引っ掛かっているのかなと思い、
看護婦さんに「開けよう」と言って、思いっきりドアを引っ張りました。
すると、私の目に飛び込んできた光景は何と、ダンディで看護婦さんに人気のある
T 外科部長先生様がパンツを下げて便器に座っていた。タバコを吸いながら・・・
私は見てはいけないものをもろに見てしまい、この T外科部長様と目が合ったまま、
しばしフリ−ズしていました。
実は後でわかったのですが、このトイレはカギが壊れており、
T外科部長は右手にタバコ持っていたので、
左手だけで必死にドアを開けられない様に引っ張っていたようです。
それを私が無理やりに開けちゃったんです。
結局ナ−スコ−ルは更衣室の患者さんが押していたようで、
トイレのナ−スコ−ルではありませんでした。
私は昨日の先入感からトイレと思い込んでしまいました。
その後、私と外科部長がしばらく気まずい関係になった事は言うまでもありません。。
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