70才の女性が人間ドックを受診しました。
明らかな異常は指摘されませんでしたが、腹部超音波検査で腸管のガスが多く良く見えないとのことで、出来ればCTにて異常がないことを確認して欲しいという依頼がありました。私の病院に紹介されて来ました。ところが、CTスキャンをとりましたところ肝臓内に低吸収域（黒く見えるところ）を認めました。造影検査でもはっきりしませんでしたが悪性の病気が否定できないため、ある病院の外科に紹介となりました。この病院でも結局検査でははっきりせず試験開腹されました。開腹にて肝内胆管癌という悪性の病気がありすでに十二指腸にまで浸潤していることがわかりました。癌を切除出来ず試験開腹に終りました。この患者さんは毎年人間ドックを受けていましたが残念ながらすでに手遅れの癌でした。病気しだいでは毎年人間ドックを受けていても発見できないものもあります。人間ドックや検査の限界を感じる症例でした。