第1回

突然、黄疸が出た女性の話です

00.3.29

3月29日診療日記

今日は3月27日から黄疸で入院中のFさんの検査結果が出ました。

この患者さんは何の兆候もなく突然黄疸が出ました。

総胆管末端に腫瘍があるようです。CTスキャン、MRI(MRCPという検査で、造影剤を使うことなく膵臓の管や胆道の管を見ることのできる検査)の結果では、結石ではなくて腫瘍を疑う所見でした。

医師会病院にERBDチューブ(内視鏡を使って十二指腸から総胆管の中まで挿入するチューブ)挿入のため紹介しました。減黄(黄疸を減らすこと)の目的です。
しかし、残念ながら挿入不可でした。そのため、PTCDチューブ(外から肝臓を直接刺して胆管の中の胆汁を抜くためのチューブ)挿入にきりかえました。

これで黄疸は一応改善すると思いますが、問題は総胆管末端の腫瘍に対する治療です。

黄疸が減少したら出来れば手術をさせたいと思います。

PTCDチューブは外にチューブが出ているためこのままでは不自由な家庭生活となります。できれば外にチューブので出ないERBDチューブを入れたかったのですが挿入できなかったのですからしかたありません。

総胆管末端の腫瘍は肝内胆管の腫瘍に比べて手術できる可能性が高くまた予後も比較的良いので、何とか手術出来ればいいなと思っています。

この患者さんは2年前にも脳にできた動静脈奇形の手術を4回受け家庭復帰しています。今回は悪性腫瘍ですが、頑張ってほしいと思います。

何の兆候もなく突然黄疸が出たわけですが、残念ながら癌でした。早期発見のためには、超音波などの定期検査を受けることが大事ですが、正直いってこの患者さんの場合黄疸が出る前にチェックできたかどうか疑問です。現代の医学でもなかなか見つからない癌も結構あるんです。

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