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       診療日記 
      00.6.23 
      今日は、けいれん発作で通院中の27歳の女性
      Oさんについてお話します。 
       
      Oさんは、学生時代けいれん発作を起こし私の病院に運ばれました。 
      20歳で初発のけいれんですので真性てんかんより、症候性てんかんを疑いました。 
      つまり、MRI 等の検査をすれば何か異常が見つかるのではないかと思いました。 
      ところが、検査上は全く異常がないのです。 
      脳波ではけいれんを起こしやすい異常脳波がでていました。 
      やはり真性てんかんを疑い、けいれんをおさえる薬を投薬しました。 
      内服をしていればけいれんは起こらないのですが、 
      けいれんをおさえる薬はすべて眠気の副作用があり、 
      若い女性に好まれるはずはありません。 
      内服を意図的にしなかったり、忘れた時には、やはりけいれんが起こりました。 
      いろいろと話し合った結果、私の指導どうり内服を続けることにしてくれました。 
      その後けいれんはほぼコントロ−ルでき、立派な社会人として活躍されています。 
      現在もこの患者さんは他の県に住んでいるのにもかかわらず、私の診療をわざわざ受けにきて下さいます。 
      この病気はどうしても長期間の内服が必要になるため、 
      主治医からのしっかりした病気の説明が必要です。 
      患者さんの十分な病気に対する理解ももちろん必要です。 
      そのうえで、主治医と患者間の信頼関係がなくてはなりません。 
      いつまで飲まなくてはならないのか? 
      一生飲むんですか? 
      副作用は? 
      結婚できますか? 
      妊娠したら? 
      子供は産めるの? 
      子供にも同じ病気がでますか? 
      こんな質問を次々にされます。一つずつ答えていくしかありません。 
      いつまでかはわかりません。今は、脳波に異常が起きているし発作も最近経験している。 
      だから、ここ当面内服は続けるべきでしょう。内服しないと危険です。 
      一生かどうかはわかりません。 
      将来けいれんがほとんど起こらなくなり、 
      脳波の上でも異常脳波が見られなくなったときは、 
      ある程度の危険を覚悟の上で内服を中止してみるのも良いでしょう。 
      もちろん、主治医と十分相談したうえでやるべきです。 
      自己判断で中止するのは危険です。 
      結婚は別に何の問題もないでしょう。 
      あなたの病気を十分理解してくれるパ−トナ−がみつかったときにすべきだと思います。 
      病気を隠して結婚するのはやめたほうが良いと思います。 
      いずれわかることですし、その時に辛い思いをするのはあなたです。 
      もちろんこの病気は妊娠出産とは直接関係のないものですので妊娠も出産も出来ます。 
      しかし、妊娠中の内服をどうするかが問題です。 
      内服をつづければお薬の作用で胎児に障害や奇形がでる可能性はあります。 
      やめれば、妊娠中けいれんを起こす可能性があり、 
      けいれんを起こしたために胎児に影響が出るかもしれません。 
      どちらが良いとも言えません。 
      良きパ−トナ−と一緒に十分話し合って決めるべきです。 
      子供さんに同じ病気がでる可能性はあります。 
      すべてに出るわけではありませんが、ある確率で出てくると思います。 
      そのつもりで子供をつくり、どういう結果でも一生懸命子供を大切にすべきです。 
      このような話をOさんにはしたと思います。 
      
      つい最近Oさんと話をしましたが、結婚を考えているパ−トナ−がいると言っていました。 
      自分の病気については十分話をして理解してもらっているということでした。 
      
      この病気は世間の偏見もあり辛い思いをすることが多いと思いますが、 
      頑張ってもらいたいと思います。
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