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       診療日記 
      00.6.24 
                         
      第2回で書いた肝硬変で肝臓癌が発見されたMさんですが、 
      残念ながら先日、永眠されました。 
      私の力およばず最後は何もしてやれませんでした。 
      癌の進行のため黄疸が出現し、みるみる全身が黄色くなってしまいました。 
      黄疸がひどい割には意識状態が良く、 
      Mさんは自分で鏡を見て黄疸の状態を確認されました。 
      自分の顔がどんどん黄色くなっていくのがわかり、心配されていました。 
      どうして手術ができないのですか? 結石の手術くらい私はがんばれます。 
      手術をしてください。と私に訴えました。 
      (肝臓癌であることは本人に告げていませんでした。すでに末期であること、全身状態から手術は不能であることが理由でした。結石のために黄疸がでているとうそを言わざるを得ませんでした。ご長男さんの希望もあり告知は避けました。) 
      すでに末期であり減黄処置(黄疸を減らすための治療)をしても意味がないため、 
      しない方針でした。最後の臨終は私が診ますとご長男さんには約束をしていました。 
      しかし、自分の顔の黄疸を見てしまった本人の強い希望もあり、 
      減黄処置目的で K医療センタ−に転床となりました。 
      結局、減黄処置をする前に意識障害がでて、腎不全が起こり、帰らぬ人となりました。 
      結果として何も出来なかったのなら、やはり私が最後は診てやりたかったと思います。 
      最後の最後で他の病院に転床せざるを得なかったことと、 
      私が最後の臨終は診ると決めていたのにそれが出来なかったことが残念でなりません。 
      またひとり私の大切な患者さんがいなくなりました。 
        
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