第39回

入浴中突然の頭痛で発症した61歳男性

00.8.1

診療日記
00.7.31

61歳の男性が入浴中頭痛が起こりました。
その日は病院に受診せず、翌日になり頭痛がとれないということで、
私の外来に受診されました。
CTスキャンで見ると右の大脳半球の後方に皮質下(脳の表面に近い)出血を認めました。
造影剤にて細長い血管様の陰影を認めました。
3 D-CTにてこの出血したところに異常血管を認めました。
この病気は、脳の表面近くにできた脳動静脈奇形から出血したものと診断しました。
一部くも膜下出血になっていましたが、大半は脳内出血となり自然に止血していました。
再出血予防および血腫除去の手術の目的でK病院へ紹介となりました。
原因となった動静脈奇形および血腫の除去手術を施行してもらいました。
術後経過も良く、ほとんど後遺症なく退院されました。
この患者さんは結構大きな脳動静脈奇形でありながらくも膜下出血が主体でなく、
脳内出血が主体で、起こった場所が右の後頭葉に近いところででしたので、
後遺症がほとんど残らず治療できました。
かなり運がよかった方だと思われました。
こういう病気もMRI を撮れば、出血以前に発見されることが多いです。
たまたまMRI を撮ってこの動静脈奇形が発見され事無きを得た方もいらっしゃいます。

右大脳半球(後頭葉)に皮質下出血を認める。

造影にて異常血管と思われる血管影を認める。

3 D- CTにて明らかな異常血管を認める。

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