第49回

偶然見つかった未破裂動脈瘤

00.8.20

50歳女性のMさんは、大酒家です。
一晩でウィスキ−のボトル1本または日本酒1升くらい飲めるかたでした。
毎晩大量の飲酒をしていたようです。
ある日、頭が痛くなり酒がおいしくないと言って近くの医院を受診しました。
血圧が220/105と高く、精密検査目的で私の病院に紹介されました。
たいへん高い血圧で高血脳症を疑い入院をすすめました。
ところが病院の外来で血圧が下がるように治療をしたため、頭痛がよくなりました。
すると、また酒が欲しくなったのか、入院をしたくないと言われました。
私は精密検査の依頼で紹介されていましたので説得しましたが、結局入院を拒否されました。
それから1週間後また頭痛で酒がおいしくないということで再度私の外来を受診されました。
やはり、血圧が高く210/110でした。
今度は説得に応じてくれて入院となりました。
入院時のCT検査では明らかな異常は認めませんでしたが、MRI の検査で右の中大脳動脈に動脈瘤を発見しました。
すぐに3D- CT を行ない未破裂の動脈瘤と診断しました。
これだけ血圧が高く不節制して破裂する前の動脈瘤が発見されるのはかなりラッキ−です。
すぐに、血管造影をしたあと、動脈瘤の手術をしてもらいました。
無事に手術が出来、くも膜下出血にもならずにたすかりました。

このようにたまたま行った検査で、偶然未破裂動脈瘤が発見される運のいい人もあります。
しかし、このMさん懲りずにまた毎日飲んでいるということです。

右の中大脳動脈に丸い動脈瘤を認める。

3D− CTの写真です。


拡大した写真です。

動脈瘤(こぶ)の様子がよくわかります。

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