第76回

徐々に左片麻痺が進行した88歳男性

00.9.29

徐々に左片麻痺が進行した88歳男性


88歳男性のOさんは年齢の割には非常に元気な方でした。
1ヶ月前に電車から降りるとき溝に転落し
頭部打撲しました。
その時は軽い打撲だけで大きな問題はありませんでした。
最近
徐々に左の脱力が進んできました。
そのため私の病院を受診しました。
軽い左片麻痺を認め歩行時に左に傾く傾向が認められました。
CT、MRI 上、
右の慢性硬膜下血腫を認めました。
このため、大脳が圧迫されて左の麻痺を出したようです。
すぐに手術を施行してもらい麻痺は完全に取れました。
慢性硬膜下血腫は
頭部を打撲してから2週間から2ヶ月の間に発症し、
本人も打撲したことを忘れていることが多いようです。
この患者さんもそうでした。
家族は打撲したことを覚えていましたが、
本人は全く忘れていたようです。
この病気は画像診断で確認されれば
手術でほぼ確実に治療することが出来ます。
高齢者は特にこの病態が起こりやすいので、
高齢者の頭部打撲には注意することが必要です。

MRI上、右の慢性硬膜下血腫を認める

白く見える部分が血腫


MRI前額断 T1強調画像

右の血腫の状態が良くわかる

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