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       徐々に左片麻痺が進行した88歳男性 
       
      88歳男性のOさんは年齢の割には非常に元気な方でした。 
      1ヶ月前に電車から降りるとき溝に転落し頭部打撲しました。 
      その時は軽い打撲だけで大きな問題はありませんでした。 
      最近徐々に左の脱力が進んできました。 
      そのため私の病院を受診しました。 
      軽い左片麻痺を認め歩行時に左に傾く傾向が認められました。 
      CT、MRI 上、右の慢性硬膜下血腫を認めました。 
      このため、大脳が圧迫されて左の麻痺を出したようです。 
      すぐに手術を施行してもらい麻痺は完全に取れました。 
      慢性硬膜下血腫は頭部を打撲してから2週間から2ヶ月の間に発症し、 
      本人も打撲したことを忘れていることが多いようです。 
      この患者さんもそうでした。 
      家族は打撲したことを覚えていましたが、 
      本人は全く忘れていたようです。 
      この病気は画像診断で確認されれば 
      手術でほぼ確実に治療することが出来ます。 
      高齢者は特にこの病態が起こりやすいので、 
      高齢者の頭部打撲には注意することが必要です。
    
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