第96回

腹部超音波検診で右腎臓に腫瘍が発見された46才女性

00.12.15

腹部超音波検診で右腎臓に腫瘍が発見された46才女性

46才の女性 I さんは、腹部超音波検診で右腎臓に腫瘍を指摘されました。
前回の検診でこの腫瘍が指摘されていなかったので、
成長が速い腫瘍ということで、腎臓癌が疑われました。
CTスキャンの検査で血管の豊富な腫瘍であることがわかりました。
しかし、CTスキャンで見ると腫瘍内部に脂肪が確認されました。
脂肪のある腎臓の腫瘍は血管筋脂肪腫と言って
良性の腎臓腫瘍によく見られる特徴でした。
しかし、MRI の検査では腎臓癌で特徴的な血流パタ−ンを示しており、
この腫瘍は良性か悪性かが検討されました。
結局、泌尿器科に紹介しましたが、放射線科の血管造影の検査で、
良性の血管筋脂肪腫と診断されました。
前回の検診で指摘されなかったのが、
腫瘍の増大速度が速いと誤解してしまったため、
悪性が最後まで否定できなかった理由です。
結局、良性でほっとしましたが、
この腫瘍は出血の可能性があるということがわかり、
塞栓術という処置が必要と判断され腎臓の動脈のなかに
塞栓物質(スポンジの様なもの)と金属コイルを入れ
腫瘍血管を塞栓(詰めること)しました。
後で血管造影で確認しましたが、この腎臓の腫瘍は消失しました。
結局良性の腫瘍でしたが、出血の予防治療までうまくできました。

造影CTです。

正常腎の腹側に血管の豊富な腫瘍を認めます。


塞栓術前の血管造影です。

腎臓の下極に腫瘍陰影を認めます。

血流の豊富な腫瘍です。


塞栓術後の血管造影です。

金属コイルが腫瘍血管に詰められ腫瘍が消失しました。

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