片頭痛

片頭痛について


病名はあまりにも有名で、頭痛といえば片頭痛と思いこんでる人が多い。

自分は片頭痛持ちですと最初からおっしゃる患者さんが多いようです。(実際は緊張型頭痛のことが多い)

この頭痛は、ずきずき、がんがんと痛み我慢ができない頭痛で、吐き気を伴いとてもつらい頭痛なんです。

「偏頭痛」と書く場合もありますが、医学会用語では「片頭痛」が正式の用語とされています。(辞書は「偏頭痛」を第一に挙げています)


片頭痛の起こる理由

「片頭痛」とは、頭の血管が拡張するために、血管のまわりの神経が刺激されて起こる頭痛です。
ストレス(緊張)から開放されたときや、疲労、空腹、睡眠不足、寝過ぎ、ホルモン、食べ物、アルコール、あるいは濁った空気をすうと血管が拡張するのです。
片頭痛の強い時期には、血管が炎症を起こしているといわれています。
こうなるとガンガンとした耐えられない頭痛となります。

片頭痛の特徴

成人の8%が片頭痛もちです。
とくに女性に多い頭痛です(男性の4倍)。
思春期ごろから多くなり、60歳頃に終ります。
しかし片頭痛の1/4は子供のときからすでに始まっています。
頻度は: 月に1〜2回、多いときで週に1回程度、繰り返して起こります。
起こり方は夕立のように、発作的に起こります

片頭痛の持続は、4〜72時間持続します。
頭痛の部位は、頭の片側のこめかみから眼のあたりに起こります。

片頭痛中はこめかみを抑えるポーズとなります。
ひどくなると頭全体が痛みます。
片頭痛という病名にもかかわらず4割の方が両側の頭痛です。
後頭部が痛む片頭痛もあります。

痛み方は、脈打つように「ズキンズキン」あるいは「ガンガン」と痛みます。
頭痛がひどくなると拍動感がなくなり、持続的な痛みとなります。

頭痛の程度は、日常生活が出来なくなるほどの強さです。
仕事が手につかず、ひどいと寝込んでしまいます。

階段の昇降など日常的な動作により頭痛が増悪する」というのも片頭痛の重要な診断根拠です。
マッサージや入浴、体操は片頭痛を悪くさせます
(緊張型頭痛と違うところです)

片頭痛はしばしば悪心(吐き気)あるいは嘔吐を伴います。
片頭痛の最中は光や音に過敏となります。
光がまぶしくて仕方がなくなります。
まわりの音や声ががんがんと頭に響きます。
発作中は暗い静かな環境が望ましいのです。

片頭痛を起こしやすい体質は遺伝します。
複数の因子が関係しますので、かならず遺伝するというものではありません
父親よりも母親の方が影響が強いのが特徴です。
母親が片頭痛ですと、子どもの半数に片頭痛があらわれます

片頭痛は前ぶれ(予兆や前兆)があります

予兆(Prodrome)

片頭痛患者の50%程度には、何らかの予兆がみられます。

症状は、明らかな片頭痛発作が起こる24時間前から徐々に発生します。

片頭痛の前に起る体調の変化です。
予兆は頭痛のあらわれる信号、いわゆる「頭痛信号」です。
あくび、落ち着きのなさ、気分高揚感、イライラ、空腹感、甘いものが食べたくなる、体のむくみなどが片頭痛の予兆です。これらの症状は、特に顕著ではない場合が多く、そのため患者が自分から特に訴えない場合もある様です。

前兆(Aura)

片頭痛には前兆のある片頭痛があります。
片頭痛の約5分の1が前兆を伴います。

前兆のうち最も多いのが、「閃輝暗点」といわれるものです。

たとえば新聞を見ていると、視界にチカチカした光(「閃輝」といいます)が現れ、
これが拡大していくにつれ、元のところは見えにくくなります(「暗点」といいます)。

前兆は、頭痛発現前60分以内に起こり、普通20〜30分続きます。
前兆のときには頭痛がありませんが、前兆が終わると激しい頭痛に襲われます

片頭痛の誘因

人によって様々です。
ストレス、ホルモン、食物などが引き金になって片頭痛が起こります。
ストレスは、片頭痛の有力な誘因です。
ストレス中は血管が緊張しているためか、頭痛が起りませんが、
ストレスから開放されたときに血管も緩み、片頭痛が起こります
楽しい週末になると片頭痛が起り、楽しみにしていたことがフイになる方がいます。
これを「週末頭痛」といいます。


女性ホルモンの変化は片頭痛の引き金となります。
生理の前後はホルモンが急激に変化するために片頭痛が起ります)
妊娠中はホルモンが安定するために片頭痛は起りにくくなります。


飲食物ではチョコレート、ワイン、チーズ、柑橘類、ナッツなどが関係するといわれています。
しかし酒類を除くと片頭痛と関係する人はそれほど多いものではありません。
血管を広げる薬(狭心症の薬など)は片頭痛を誘発します。
空腹は片頭痛の原因のひとつです。
人ごみや騒音、まぶしい光など物理的刺激や悪い環境も片頭痛を誘発します。
不眠寝すぎも片頭痛のもとです。「週末頭痛」は寝すぎもその原因のひとつです。

片頭痛の治療

片頭痛の治療は 薬を使わない方法(頭痛対策と 薬による治療法(薬物療法があります。
頭痛対策には、1.片頭痛回避法 と 2.応急対策 があります。
薬物療法には、3.頭痛が起こったときにのむ「頓挫薬」と 4.頭痛を起こりにくくする「予防薬」があります。

1.片頭痛回避法:誘因を避ける


片頭痛の治療でまず大切なことは、頭痛の引き金になるものを取り除くことです。
頭痛を誘発する食物があれば、これを避けます
空腹は片頭痛を起こしますので、朝食はきちんととります。
ストレスや悪い睡眠習慣をさけるなど、ライフスタイルを点検・改善いたします。

片頭痛には種々の誘発因子があります。
これらの誘発因子の関与の程度はさまざまです。
常に頭痛を起こすこともあれば,体調によって頭痛が誘発されたりされなかったりすることもあります。
また,種々の誘因の組み合わせで頭痛が起こることも多いものです。
患者さん自身のちょっとした注意で片頭痛の引き金となるものを避けることが可能です。

具体的注意を掲げます。


(1)食事の量
 頭痛は空腹時に起こることが多いため,忙しい朝や外出中でも簡単なものですませることなく,きちんと食事をとることが重要である。


(2)食事内容
 片頭痛がチョコレート赤ワインなどの飲食物で誘発されることは有名である。
チョコレートを食べたから片頭痛が起こるのではなく,“甘いものを食べたい”という欲求が,すでに片頭痛発作の始まりである,とする説もある。
アルコールに関しては,赤ワインがもっとも片頭痛を起こしやすく,
ウォッカはもっとも起こしにくいといわれている。
赤ワインを飲めば必ず片頭痛発作が起こる人もいれば,赤ワインを同量飲んでも,その日の体調や他の因子により,片頭痛発作が起こるときと起こらないときがある人もいる。
もし,片頭痛発作の誘因と考えられる食べ物や飲み物があれぱ,1カ月間それらを摂取しないで頭痛が起こるか否かを確認するとよい。


(3)寝過ぎ,寝不足
 朝,頭痛で眼が覚める場合は,前夜の食事,空腹,寝過ぎなどの因子が考えられる。週末の頭痛は,寝過ぎ,前夜の飲酒が頭痛の誘因になることが多い。ストレスから解放され,ほっとすることも一因と考えられる。まず,休みの日でも平日と同様に早く起きるよう心がけるようにする。片頭痛患者によっては、「朝寝坊」によって頭痛が誘発されます。せっかくの「朝寝坊」は「週末頭痛」を起こす人には、危険な習慣です。


(4)月経周期
 月経の始まる前や月経中などに片頭痛発作が集中して起こる場合は,この期間にあわせて予防薬を服用する。


(5)薬剤
経口避妊薬閉経期のホルモン療法で頭痛が悪化する入がいる。症状がひどい場合は産婦人科医と相談し,薬剤を継続させるか否かを検討する。


(6)外出,ショッピング
 外出中に片頭痛が誘発される場合は,食事時間の遅れ,騒音,換気の悪さ,ペンキや香水の匂い,暑さ,乾燥,日光等の影響が考えられる。きちんと食事をとリ,サングラスをかけて外出するとよい。換気の悪いところではなるべく窓のそばにいて,長居をしないようにする。デパートの香水売場は通らないようにする。
長時間のショッピングが誘発因子となれば、買い物はできるだけ早めに済ませる工夫をする。

(7)旅行
 片頭痛は旅行中に起こることが多い。旅行は種々の誘発因子が重なっている。例えば,前夜の寝不足,未知の土地へ行くことへの緊張と不安,規則的に食事をとらない,車酔いなどである。酔い止めを服用し,体調を整えて出かけるように心がける。

まぶしいものやうるさい音を避けます。


2.片頭痛応急対策
睡眠
:片頭痛は一眠りすると楽になります。“睡眠”は片頭痛の治療法の一つです。
冷却拡張した血管の部分(痛むところ)を冷やすと頭痛は楽になります
一般的に冷却は血管を縮め、痛みを和らげるとともに、炎症を鎮める働きもあるからです。


3.薬物療法
軽い頭痛発作の初期はバッファリン(アスピリン)などの鎮痛薬で効果を得られます。
服用のコツは、「できるだけ早い時期に服用する」のがポイントです。
頭痛がひどくなってからでは鎮痛薬はよく効きません。
また吐き気のために内服も出来なくなります。

片頭痛の初期(頭痛信号の段階)に服用するのが、片頭痛を軽く済ませるポイントです。
片頭痛発作開始時はエルゴタミンが特効薬とされてきました。
この薬は、血管を収縮させて片頭痛を抑えます
したがって血管が拡張しきる前にのまないと効ききません。
薬品名としてはカフェルゴットとかクリアミンAがあります。
これらの薬は使い方が難しい部類の薬です。
服用のコツとしては、できるだけ早い時期に服用するのがポイントで服用のタイミングが大切なくすりです。
涙が出たり、目の前がチカチカしたり、吐き気などの前兆を伴う片頭痛では、その前兆が始まった時期に服用します。また、前兆なく頭痛がくるタイプの片頭痛では「頭痛が来たな」と感じると同時に服用します。これで3分の2以上の患者さんが明らかに楽になったと感じ、中には片頭痛からまったく解放される患者さんもいます。
この薬剤は頭の中の血管だけではなく末梢血管や子宮平滑筋への収縮作用もあることから、高血圧症や狭心症、妊娠中の患者さんなとには禁忌ですエルゴタミンは医師の指導の下にのむ薬です。
エルゴタミンや鎮痛薬は毎日のようにのむと、痛みに敏感になったり脳の血管が拡張しやすくなり、かえって頭痛が起こりやすくなります。最悪の場合、朝から晩まで毎日のように頭痛が続く「慢性連日性頭痛」になってしまいます。
頭痛が極期に達した後、のみ薬では頭痛が治まらず、吐き気などを催し、内服することが困難になります。
このような場合は、静かな暗い部屋で患部を冷やし、坐薬を使います
妊娠中、授乳中は薬を使用しないのが原則です。

2000年4月から、片頭痛の特効薬スマトリプタン(イミグラン)が発売されました。
これは皮下注射薬で、病医院で打ってもらう薬です。




4.予防的投薬
片頭痛が頻回のときは、鎮痛薬を飲みすぎないためにも、予防薬を使います。
片頭痛が月2回あるいは鎮痛薬を月10回以上服薬する方
ぜひこの予防薬を使ってください。
予防薬にはカルシウム拮抗薬やべータ遮断薬など、いろいろの種類があります。
1999年7月に発売された塩酸ロメリジン(ミグシス・テラナス)が予防薬の第一選択です。

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