Radio Vanuatu (バヌアツ)
20世紀には太平洋に散在する各島から短波放送が行われており、夕方になるとDX局も入感することがあり、「太」はBCLの一分野を形成していた。しかし21世紀にかけて年々その数を減らして行き、現在は殆ど全滅状態となり寂しくなった。そのような情勢の中一局だけ現在も短波で頑張っている
のがRadio Vanuatuである。
バヌアツはオーストラリアの北東のメラネシアにある島嶼国で、1980年の独立前はNew
Hebridesと呼ばれ英国とフランスの共同統治領であった。従って独立まではRadioVilaないしはNew Hebrides
Broadcasting
Serviceと称していた。周波数はこの頃から3945kHz、7260kHzを使用しており、日本でも比較的良好に受信できた局であった。現在は上位団体のVanuatu Broadcasting and Television Corporation(VBTC)配下のラジオ局となっている。
VBTCによれば、1914年にRadio
Vilaが開始したとされているが、当時はAM放送技術はなく、これは船舶向けのモールス通信無線局であった。この状態は第二次大戦後まで続いた。実際に
放送が開始されたのは1961年頃で局名はRadio Port
Vila、周波数は3277kHz(1kW)一波のみで、必要時には3955、4980kHzでも放送できるようになっていた。1966年にはPort
Vilaの北西にあるPlapoa Pointに送信所を移しRadio Vilaと改名し、周波数は3277(YJB3 1kW)、3905(YJB4
0.5kW)、7260kHz(YJB7 0.5kW)の3波を使うようになった。1977年には局名をNew Hebrides
Broadcasting Serviceに変更した。そして1980年バヌアツとして独立した時にRadio
Vanuatuとなった。1993年には国営法人Vanuatu Broadcasting and Television
Corporationが組織され、Television Blong
Vanuatuとともにその配下に入った。21世紀に入ってからは、2009年に商業音楽・若者向けラジオ局Paradise
98FMを開局、更に2019年には女性向のFemme Pawa 99FMを開局、短波放送設備も再整備して今日に至っている。
2019年にカナダからNautel社製10kW中波送信機、韓国から韓進(한진
ハンジン)社製10kW短波送信機を新たに購入し受信状態が格段に改善された。但しそれ以降も巨大台風の襲来があり、また2024年12月には大地震が発生し、送信所はその都度大きな被害を受けて送信が途絶することが度重なった。2025年秋も短波の送信が行われない事態が発生していたが、正常に戻った模様である。現在Radio Vanuatuは短波3周波数(3945kHz 03:30-05:00、7260kHz 16:00-20:00、9960kHz
05:00-16:00)の他、中波1125kHz(04:00-20:15)、FM100.0MHz(Port Vila
及びLuganville)でPort Vila東方のEmten Lagoon送信所より放送している。前述のように短波は頻繁に中断することがあるが、スケジュール通り出ていれば夕方以降の7260kHzが狙い目であろう。また短波の出力は7kW程度に落として放送しているらしい。
第二次大戦中には米軍の拠点が置かれ、戦後も英国・フランス領の時代が続いたため当初は西側の国であったが、21世紀になってからは財政的に中国の影響が増大している。中国からの資金で政府施設の建設、インフラの整備を進めたが、国家負債の40%を中国が占めるようになり、中国による「債務のワナ」が懸念される事態となっている。2019年の送信機更新(約4億円かかったとされる)も中国の資金で行われたものと推測される。
リスナーに対するサービスは比較的良好で、筆者はRadio Vila時代の1976年に3945kHzの放送を受信し受信証を得ている。また2019年の送信機更新の直後には新たに使用されるようになった9960kHzで受信しeQSLを受領している。受信報告は本局(パリ通り)ではなく技術部門(ブライト総督通り)に出した方が良い。
受信報告の宛先; VBTC Technical Services, PMB 9049,
Rue du Capitaine Blight, Port Vila, Vanuatu
E-mail; <technical @ vbtc.vu>
URL; http://www.vbtc.vu
左:1976年Radio Vila時代のQSL(表面)右側の写真はPort
VilaのあるEfate島の北方にある三角形の火山島Ambrym島で見られる顔が彫られた木鼓(もっこ、木製の打楽器)「タムタム」、祭礼用の他に昔は村と村の間の通信に使われた。当時のラジ
オ短波にがタモリの「BCLワールド・タムタム」というBCL番組があったが、その「タムタム」である! 大きさ 203✕146mm
右:同裏面 証明事項が手書きで几帳面に記入されている。当時の出力は2kW。発行者はWallen
Rと読める。右側の地図にある「Anglo-French Condominium of the New
Hebrides」(英仏共同統治国)の名称が歴史を感じさせる。このような共同統治の場合も共同所有マンションと同じ「コンドミニウム」の言葉が使わ
れるのだ!

2024年取得のRadio
Vanuatu eQSL 送付後2日でword形式で送られてきた、発行者はHead of Digital & OperationのWarren
Robert氏 まさか1976年の発行者と同じ人ではないだろう! 左上はVBTCのロゴ。ロゴ下部には「blong yumi
ebriwan」は現地のビスラマ語で「我々みんあのための」という意味である。

左:Radio Vanuatuのロゴ 「vois blong yumi」はビスラマ語で「我々のための声」
右:Port Vilaのパリ通りにあるVBTCの建物 (Google mapより)
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