月刊短波2025年7月号(第2版)
編集 赤林隆仁 時間 JST
◎RFE/RLが米国独立記念日に「自由の精神」を掲載 2版新規
インドのAlokesh
Gupta氏によれば、RFE/RLは2025年7月4日の米国独立記念日に際して「自由の精神(The Spirit of Freedom)~Radio Free
Europe
75年の歴史」を英語HPに掲載した。同局は75年前の7月4日放送を開始したが、冷戦期から今日のウクライナ戦争に至るまでの同局の歩みを19枚の写真で説明している。https://www.rferl.org/a/rferl-radio-free-europe-75-years-history-photos/33463140.html。(WORIG
7/4)
◎キューバのRadio Progreso 4765kHzが復活 2版新規
ドイツのHansjörg Biener博士によると、一時QRTしていたキューバのRadio
Progreso
4765kHzが復活しているのが確認された。確認された時間帯は11:15-13:07である。なおストリーミングはhttps://radiosdecuba.com/#progresoで流されていることがある。(WORIG
7/3)
◎台湾RTIが淡水送信所からドイツ語放送を別途送信
2版新規
ドイツのWolfgang Bueschel氏によると、台湾のRadio Taiwan
Internationalは2025年7月、定例送信とは別に同局のドイツ語放送を淡水送信所から別途独自に送信すると発表した。スケジュールは以下の通り。曜日は毎週土曜~月曜。
7/5、7/6、7/7、7/12、7/13、7/14、7/19、7/20、7/21、7/26、7/27、7/28
02:00-02:30 15145
02:30-08:00 11995
受信報告には特別QSLカードを発行する、宛先は<deutsch @
rti.org.tw>へ、オンラインフォーム<https://www.rti.org.tw/de/content?uid=13>から送ることも可能である。S-mailではRadio
Taiwan International, German Service, P.O.Box 123-199, Taipei 11199,
Taiwanへ。なお2025年8月の土曜~金曜にはフランス語放送で同様の計画がある。(WORIG 7/3)
◎Radio Black Smith
Knolの7月認可スケジュール
2版新規
フィンランドのKari
Kallio氏によると、同国のQRP面白局Radio Black Smith
Knolの2025年7月の認可スケジュールに従い7月3日06:00-7月8日06:00に6120kHzで連続放送を行う。同局のURLはhttps://rbsk6120.radio.am/broadcasts/である。(WORIG
7/3)
◎WRMIがRadio Martíを中継 2版新規
米国Peter Hansen氏によると、2025年7月以降WRMI局は火ー土曜の04:00-05:00に15770kHzでRadio
Martíの中継を開始した。(WORIG 7/1)
◎Radio Fardaが短波放送復活!
フランスのJean-Michel Aubier氏がHFCCのスケジュールを確認したところ、RFE/RLのイラン向放送Radio
FardaはEncompass Digital Media
Servicesの送信所から2025年6月21日より、イラン向の24時間短波放送を開始した。スケジュールは以下の通り。WOF:Woofferton、DHA:Dhabbaya、出力は250kW、言語はペルシャ語。
08:00-13:00 9620 WOF 92°
13:00-16:00 12035 DHA 35°
16:00-19:00 13710 DHA 35°
19:00-22:00 15720 DHA 35°
22:00-02:00 12035 DHA 35°
02:00-04:00 9450 DHA 35°
04:00-08:00 12035 WOF 90°
(WORIG 6/226)
イスラエル-イラン戦争勃発の中、イランに正確な情報を発信する目的であろうと思われます。VOAで呼び戻されたペルシャ語部門の従業員との関係や、資金が米国政府から支出されているのかは不明です。
◎VOAの残存従業員に正式解雇通知発送も一週間後に撤回!
米国のGlenn
Hauser氏がIndependentの報道として伝えたところによると、USAGMは既にVOAの従業員の内契約社員約500人は5月中に全員解雇しているが、残存するVOA正職員及び関連するUSAGM正職員693名に対して2025年6月20日に正式な解雇通知を発送した。これにはイスラエル-イラン戦争開始で呼び戻されたペルシャ語スタッフ75人の大半も含まれている。この結果VOAには18人、USAGM全体でも81人の人員しか残存しなくなる。解雇通知を受けた従業員(現在無期強制休暇中)へは2025年9月1日に最後の給与が支払われることになっている。(WORIG
6/20)
米国のKim Andrew
Elliott氏によると、USAGMは2025年6月20日にVOA従業員の大半に発送した解雇通知を6月27日急遽撤回した。それによると、「解雇通知以前の状況に戻す、今後の人員削減の通知を待て」という内容であった。(WORIG
6/27) 中東情勢が緊迫化する中でのVOA解散について、与党共和党内でも異論が出ていることが影響したと言われています。放送が再開されたRadio Martíの職員は対象外とのことです。
◎Radio Martíが短波放送も再開
米国のDavid Rossによると、2025年6月27日の01:30頃Radio Martíが11860kHzで短波放送を再開しているのが確認された。Kim
Andrew
Elliott氏によると、送信所はGrenvilleで(開始時間ベースで)月~金曜の23:00-07:00に11860、13605kHzにて送出される。(WORIG
6/27) Greemville送信所の設備の一部が復活したということです。HFCCには11860kHz 250kW 183°、13605kHz 250kW
184°で登録されています。
Greenville送信所 わずかに残っていた人員で送信再開した(Wikipediaより)
◎AFN佐世保のFM93.1MHz正式利用開始
米国のGlenn Hauser氏が「Stars and
Stripes」2025年6月2日号の記事として伝えたところによると、2025年6月4日よりAFN-佐世保は日本本土のAFN局としては初めて、3ヶ月間の試験電波発射を経てFM93.1MHzの利用を正式に開始した。今までの1575kHzの信号は送信鉄塔が倒壊したために利用不可能な状態であったが、FM波は今回新設された送信塔から出ており基地の外にも良好に届くようになり、サービスエリアが拡大した。基地司令官は「AMに比べてFMはコストが安く放送できる」としている。AFNでは本土の他の局(東京、岩国、三沢)でも今後FM化を進めて行く予定である。原記事はhttp://stripes.com/theaters/asia_pacific/2025-06-01/afn-fm-radio-sasebo-japan-17983343.htmlを参照のこと。なおFM放送の内容は従来の1575kHzと同じである。(WORIG
6/3)
英国のMike Terry氏が米国Dallas
Expressの報道として伝えたところによると、AFNによるFM局の設立は日本・大平洋地域では70年ぶりである。AFN佐世保では2014年にAM用アンテナが倒壊し、2017年にAM用の設備を解体し以降はAM波の利用は事実上停止してストリーミング放送や携帯アプリAFN
Goだけに頼っていた。当初1.5WのミニFM送信設備から実験を行ったがこれは基地内の建物の影響で失敗した。その後総務省の協力の下でFM送信の実験が行われ、出力は当初50Wだったが、2025年3月には300W出せるようになり、山間部にも電波が届くことを確認した。日本のリスナーにも電波が届くようになり福岡から車で受信しに来たリスナーもいた。FM放送は今後岩国や三沢でも実施できるように準備を進めている。原記事はhttps://dallasexpress.com/national/afn-launches-first-new-fm-radio-station-in-japan-in-70-years/を参照のこと。(WORIG
6/10) 1575kHzのAFN各局のFM化開始と見て良いでしょう。
◎ブラジル局の大半が拡張FMバンドへ ~短波局は?
ブラジルのRudolf
Grimm氏によると、ブラジルはFM放送に76.1~87.9MHzを「拡張FMバンド」として開放し、AMからこのバンドへの移行を促している。既に多くの局がこの帯域にを利用しているが、AM放送との併行放送ではなく、AMを完全に廃止してしまった局もある。政府は猶予期間を更に5年間延長してFM化を促進する方針である。São
Paulo地区ではかつての有名短波局もRadio Boa Vontade(84.3MHz //1260kHz)、Radio
Bandirantes(85.7/96.3MHz)などがFM化した。この状況の中で放送しているが確認されている短波局は次の数局である。
6011 Radio Inconfidencia, Belo
Horizonte
6180 Radio Nacional da Amazonia,
Brasilia
9665 Radio Voz Missionaria,
Camboriu
9819 Radio Nove de Julho, São Paulo
11748 Radio Voz Missionaria, Camboriu
11780 Radio Nacional da Amazonia, Brasilia
15190 Radio Inconfidencia, Belo Horizonte
(WORIG 6/5)
◎Radio Libertyの中波放送終了
ウクライナのAlexander Miatlikov氏によれば、Radio
Libertyのリトアニア中継1386kHzは、IBB Monitor
Systemによれば5月31日で終了した。この放送は2025年4月15日以降は無料でリトアニアのLRTCが中継していた。https://ibbmonitor.appspot.com/sounds/query?site=TALL&date=2025-05-31,2025-06-01&freq=1386を参照のこと。(WORIG
6/5)
◎トランプ政権旧VOA本部ビルを売却に
The Business
Timesの2025年5月16日号によれば、永年VOA本部が置かれ、上部団体のUSAGMも入っていたWashingtonのWilbur
Cohen連邦ビルが売却されることになった。トランプ政権は廃止した省庁の建物について売却を進めているがその一環でもある。VOA本部についてはバイデン政権時にWashington市内の他のビルに移転することになり、政府は15年間のリース契約を結んだが、トランプ政権は2025年3月これを破棄し、VOAはWilbur
Cohen連邦ビルに戻るしかなくなっていた。政権の狙いは裁判所の判決等でVOA従業員の復帰やVOAの閉鎖が無効とされても、復帰する先を封じてしまい、復活を不可能にする点にあるようだ。(Australian
DX News June via WORIG 6/6)
文化財的価値のあるWilbur Cohen連邦ビルも売却処分に (Wikipediaより)
◎AM・FMはまだ存在理由がある
イタリアのStefano
Valianti氏は「AM/FM放送の存在理由」について次のような意見を掲載した。Radio
Nederland、RCI、SRIが消滅したショックも覚めやらぬ中、今後中波が使われなくなりつつあることは予測できたが、今度はスイスやドイツがFM放送の解体を始めたことは驚きである。FM放送は確かにアナログ伝送方式だが、音質が良いだけでなく、悪天候に強い、弱い電波でも受信可能、文字放送も可能であるなど有用性は高い。そのため最近の欧州のカーラジオはFM放送とデジタルDAB放送の両方を搭載している位だ。FM放送を廃止する技術的理由は実はあまりない。DABはラジオをインターネットと同じように活用したい人向けとされているが、リスナーの聞いている番組内容、操作状況をすべて外部から知ることができるため、政治的見地や広告的見地からのリスナーコントロールの手段という傾向が強い。また欧州各国での技術的統合もまだ行われていない。ラジオのリスナーは生来こういうコントロールを嫌うものである。幸いになことに欧州でもイタリアはこのような状況ではなく、FM放送だけでなくまだAM放送も聞くことができる。(BDXC
"Communication" June via WORIG 6/7) すべてDABになってしまうと
◎CNR「民族之声」が3短波周波数を使用開始
広東省のDXerによると、中央人民広播電台の第8放送「民族之声広播」が2025年5月20日より新しい3短波周波数の使用を開始した。放送時間は以下の通り。
05:55-08:00 11685 斉斉哈爾 500kW 254°
05:55-15:00 17665 烏魯木斉 100kW 80°
08:00-15:00 17800 斉斉哈爾 500kW 254°
民族之声広播は原則モンゴル語と朝鮮語で放送されており、モンゴル語は06:00-15:00、朝鮮語は15:00-24:00とされており、新周波数はすべてモンゴル語の放送時間枠に設定されている。但し2021年4月15日以降は10:00-11:00、14:00-15:00、17:00-18:00、23:00-24:00に「新時代、新旅行、新偉業」という番組が設定されており最近は中国語で放送されている。原記事はhttps://cahcn.github.io/posts/2025-06-03-cnr8.html参照のこと。(Cahcn的自留地
6/3) 送信方向の関係で東京では烏魯木斉の17665kHzが強力です。
◎日本のDXerがBDXC "Communications"にバンコクでのFM受信状況を報告
日本のDXerでBDXCの会員でもある星浩二氏がBDXCの機関誌"Communication"2025年6月号に「FM & MW listening in
Bangkok」という報告を掲載した。氏が2025年4月にタイ・バンコクで行った受信調査の結果72波が詳細に報告されている。氏はD-808とXDR-P1DBPを持参してバンコクVadhana区のホテル高層階で受信を行った。(ドイツ Wolfgang
Bueschel氏)氏は三才ブックス「ラジオマニア」などにも登場されています。
◎ドイツSM Radio Dessauの7/8月スケジュール
ドイツのThomas Becker氏、Hansjoerg Biener博士らによると同国SM Radio
Dessauは2025年7/8月は次のスケジュールで放送を行う。
7/13 20:00-21:00 6070(Rohrbach 10kW) 6095(Nauen
100kW) "Kratの50年"
7/14 01:00-02:00 6070(Rohrbach
10kW) 上記の再放送
8/10 20:00-21:00 6070(Rohrbach 10kW) 6095(Nauen
100kW) "俳優Leonard Lansinkへのインタビュー"
8/11 01:00-02:00 6070(Rohrbach 10kW) 上記の再放送
局では秋にオーストリアの博物館局Bad Ischl
1476kHzからの放送も企画している。受信報告はE-mail<maxberger @
smradio-dessau.de>へ、印刷したQSLカード希望の場合は€1.25分の返信用切手を同封の上Max Berger,Saalestrasse
44,06846 Dessau, Germanyへ。URLはhttps://www.smradio-dessau.de。(WWDXC TP 1620)
◎Radio Northern Starの中波放送復活に
フィンランドのMauno Ritola氏によると、ノルウェーの通信当局(Nkmom)は同国Radio
Northern
Starに対してBergen地区で中波1575kHzで放送することを要請した。BergenのErdalには1kWの中波送信機と無指向性アンテナを備えた中波送信所が残っている。従って同局がこの送信所から放送する免許を取得すれば放送可能になる。この送信所の放送免許の申請が許可され2025年5月26日がその期限であった。結果Radio
Northen
Starが1575kHzで同送信所から放送する免許(期限は2026年12月31日まで)を取得した。詳しくはhttps://www.radionytt.no/r25082.phpを参照のこと。同局は以前長波放送実施の免許取得を計画したことがあったが、費用がかかりすぎることが分かり断念した経緯がある。(BDXC"Communication"
June via WWDXC TP 1620)
◎Radio Kahuziの実情
米国のDan Robinson氏が、コンゴRadio
Kahuziから受け取ったニュースレターによると、同局の短波放送復活は同地域の治安状況の悪化でリスクが増大しており遅延している。内戦で外出できない200万人のKahuzi地区住民には神の言葉やキリスト教音楽を届けているものの、短波放送を開始すると反乱軍の標的にされるリスクが大きく、短波放送開始の見通しはつかない。(WORIG
6/10)
ベルギー領だったこの国では独立以来争乱が続いており、最近は隣国ルワンダに支援されているといわれる反政府組織M23がKahuziを含む東部地域で活発な動きを見せています。
◎USCGMがVOAペルシャ語担当職員50人に復帰許可
英国のMike Cooper氏がWashington
Postの報道として伝えたところによると、USAGMは2025年6月13日、VOAペルシャ語部門で無期休暇を命じられている職員の内50人(ほとんど全員)に対してメールで職場復帰許可を出した。イスラエルとイランが戦闘状態に入ったことが原因と見られる。USAGMのSenior
AdvisorであるKari Lake氏が議会に対してVOAで無期休暇中の職員800人全員の解雇を表明した直後であったが、Kari
Lake氏は何もコメントしていない。VOA職員の中には歓迎の動きもあるが、戦闘状態が終結すればまた解雇されるのではという懸念もある。復帰職員はUSAGMがイラン向に行うことを予定している衛星TV放送の番組作成に当たるものと思われる。原記事はhttps://www.washingtonpost.com/style/media/2025/06/13/voa-staff-iran-israel/を参照のこと。(WORIG
6/13)
英国のMike
Cooper氏がCNNの報道として伝えたところによると、ペルシャ語放送の復活についてVOAのMichael
Abramowitz局長は、職員が敏速に報道を行った点を賞賛しつつも、トランプ政権が何を考えているのかが不明と懐疑的である。また現在のイラン関係の報道規模は正常だった時の1/3程度であると語った。なおRFE/RLのペルシャ語部門Radio
Fardaのデジタルコンテンツには(イランからの)アクセスが1日数百万回と殺到しており、同局幹部は「このように報道需要が殺到しているのに組織を潰そうとする政府は何を考えているのか」と批判している。原情報はhttps://www.cnn.com/2025/06/16/media/voice-of-america-farsi-persian-iran-israel-trumpを参照のこと。(WORIG
6/16)
アフガニスタンのパシュート語、ダリ語も含めてペルシャ語と言っているようです。6月13日から短波放送も復活した模様ですが、詳しいスケジュールは未発表です。周波数は11575kHz等が報告されており台湾褒忠送信所ではないかと推測されています。
◎USCGの短波気象FAX放送が停止
米国のHarry Frey氏によると、米国沿岸警備隊(USCG:United States Coast
Guard)がルイジアナ州New
OrleansのNMG局から送信していた短波の気象放送(音声及びFAX)とNAVTEXはこの数週間送信を停止中である。メキシコ湾や湾岸で働く人々には重要な気象情報源がなくなったことで影響が拡がっている。この件についてNMG局に質問したところ以下の回答があった。NAVTEXは2025年4月18日以降、気象放送は5月20日以降停止中である。復旧すべく努力中だがいつ復旧するかは不明である。(WORIG
6/13) 送信機の故障ではなく、政府による予算削減の可能性もあります。NMGの公式スケジュールでは4317.9/8503.9/12789.9/17146.4(21:00-05:45)kHzで、09:00、15:00、21:00、03:00、05:25に行われている筈です。
◎WRNのMoscow市内中波中継免許停止
World Radio
NetworkがMoscow市内で有していた738kHzの中波中継免許(現在放送停止中)は2025年6月9日裁判所命令で無効となった。(RUS-DX #1346
via WORIG 6/14)
◎オーストラリア4KZ売却 ~短波は放送中止
オーストラリアのStephen Newlyn氏によると、同国のRadio Station
4KZ(531、1611、5055kHz+FM)は2025年初頭にネットワーク業者に売却され、5055kHzの短波放送は停止された。(WWDXC DX
Magazine June via WORIG 6/14)
◎中国で中波DRMの本格的実験放送
中国のリスナーからの報告によると、2025年6月11日の22:00-22:39に湖南省鄭州市より1377kHzでDRMの試験放送が実施された。今まで中国では広東省、江蘇省、雲南省、遼寧省など一部の地域の中波送信所から1557kHzでDRM試験送信が行われているが、何れも台湾国際放送の1557kHzを妨害する目的であり、DRM本来の目的のために中波で試験放送が行われたのは初めてである。中国の国家広播電視総局は2023年に生来の車載用ラジオの標準方式として中波DRM放送、CDR(Chinese
Gigital
Radio,中国独自方式)FMデジタル放送を考慮するように推奨しているため、この方針に沿ったものと思われ今後中国の中波放送がDRM化してゆく可能性に道を開くものとして注目される。(Cahcn的自留地
6/13) 鄭州内の滎陽市にある第554送信所から出ているものと思われます。通常は600kWでCNR第一放送「中国之声」を放送しています。
◎トーゴでRFI及びFrance 24の放送を3カ月禁止措置
英国のMike
Cooper氏がReuterの報道として伝えたところによると、トーゴの当局は2025年6月16日にRadio France
Internationale(RFI)とFrance
24の同国内での放送を今後3か月間禁止すると発表した。理由は両メディアが公平性・厳格性を欠く放送を行ったからとされている。同国では2025年5月に同国の大統領であったFaure
Gnassingbe氏はおぉl憲法を改正し任期制限のない「閣僚評議会議長」という役職に就任して事実上の終身独裁体制に入った。これに対して野党2党は「憲法を覆すクーデター」と非難し抗議行動を行ってきた。両メディアがこれらの抗議行動を報道したしたことが現政権の怒りを招いたことが原因と思われる。原記事はhttps://www.reuters.com/business/media-telecom/togo-suspends-rfi-france-24-three-months-communications-authority-says-2025-06-16/を参照のこと。(WORIG
6/16) RFI Afgriqueはトーゴ国内3カ所でFM放送を行っています。
◎イスラエル軍がテヘランIRIBを空爆
英国のMike Cooper氏がMehr News
Agencyの報道として伝えたところによると、イスラエル軍は2025年6月16日、イランの首都テヘランにあるIRIB(Islamic Republic of
Iran
Broadcasting)の本部を空爆し、一時放送が混乱したが数分後元に戻った。またこの攻撃で数人が負傷した。原記事はhttps://en.mehrnews.com/news/233224/Israel-strikes-IRIB-headquartersを参照のこと。(WORIG
6/16) IRIBから行われている国際短波放送にも変化はなかったとのことです。
◎保存局Grimeton Radio SAQが7月2日に100周年記念送信
スウェーデンの世界遺産保存局Grimeton Radio SAQは、200kW
Alternator送信機で対米通信が行われてから100周年となるのを記念して、2025年7月2日に100周年記念送信を実施する。当日は送信所が解放され送信の模様を見学することもできる。
記念送信は保存されている200kW
Alternatorを利用して当時使用されていた超長波の17.2kHzで以下の様に行われる。
17:20 YouTubeでの送信準備風景の中継開始
17:30 200kW Alternatorの稼働開始
18:00 本送信(CW)メーッセージの開始
(WORIG 6/16)
◎BBC Radio 4長波サービスの廃止を延期
英国のMike Terry氏が同国の長波放送保存団体「Keep
Longwave」から得た情報によると、BBCは2025年6月末で廃止するとしていた国内向放送Radio
4の長波放送を継続すると発表した。長波(198kHz)を利用して行われていたRadio Tele
Switching(RTS:もっとも最適な電力網に接続するサービス)は予定通り2025年夏までに終了する。Radio
4の長波放送の廃止には5,000人分の反対署名が提出されていたが、その主な理由は農村部、ウクライナ等の海外へFMだけでは十分電波が行き渡らないという点と、国家安全保障上の理由で一波で全土をカバーできるメディアを残すべきというものであった。BBCは廃止の影響評価を行うためとして、いつまで継続するかは発表していない。またRTSの廃止に伴い、送信出力が削減されるため、運営コストが低下し、送信用真空管の寿命が延びるという効果もある。原情報はhttps://keeplongwave.co.uk/2025/06/16/radio-4-longwave-will-not-go-quiet-at-the-end-of-june-bbc-suggests/を参照のこと。(WORIG
6/17)
◎ABC Radio Australiaがマーシャル諸島でFM放送網構築
オーストラリアのMatt Francis氏がABC Newsの報道として伝えたところによると、同国のABC
Radio Australiaはこのほどマーシャル諸島内の25のFM放送拠点を完成し同国内のどこでも106.7MHzでRadio
Australiaの番組聴取が可能となった。これは同局が進めている「太平洋地域FM放送拡大プロジェクト」の一環で、2023年以来ソロモン諸島のGizo、Auki、ミクロネシア連邦のPohnpei、パラオのKoror等で同様のサービスを展開してきた。全部のリストはhttps://www.abc.net.au/pacific/ways-to-listenを参照のこと。(WORIG
6/18)
まだ残っているRadio Australia
◎Follow The Bible Ministriesのアフリカ向短波放送
ブラジルのJota Ronaldo Xavier氏によると、米国の宗教団体Follow The Bible
Ministriesはアフリカ向の短波放送を維持している。Ascension送信所からのスワヒリ語放送が02:00より21660kHzで受信されている。(WWDXC
TP 1621)
Follow The Bible MinistriesのA25スケジュールは以下の通りです。
アフリカ東部向スワヒリ語 月曜 02:00-02:30 21660 Ascension 250kW 85°
ナイジェリア向英語 月曜 04:00-04:30 11660 Ascension 250kW 65°
アフリカ南部向英語 月曜 04:00-04:30 9585 Ascension 250kW 115°
中東向アラビア語 月曜 03:30-04:00 9585 St.Maria di Galeria
250kW 114°
アフリカ北部向アラビア語 月曜 05:00-05:30 7380 Ascension 250kW 27°
9410 Woofferton 250kW 140°
同局のURLはhttps://www.isannihilationtrue.com/ftbm/、QTHはP.O. Box 813, Weimar,CA
95736, U.S.A.、E-mailは<FollowTheBibleMinistries @ yahoo.com>。
◎Brother Stair放送中止の影響
米国のStephan Luce氏によれば、主要な短波放送局がOvercomer
Ministiryのような宗教団体に依存して運営を継続していることも、短波放送がもはや持続不可能なビジネスになった証拠だとも言える。Brother
Stairを制作していた福音派キリスト教会宣教師のRalph Gordon
Stair氏は2021年に死去しており、それから4年間も同団体が番組を供給し続けたのも実は驚きである。影響を受ける短波局の内WRMIは電力削減や送信機の休止で生き残る可能性が大である。WWCRはNashville送信所の送信機を半減して2基に絞らざるを得なくなる。WTWWはかなり深刻で放送局を維持する意味がなくなる可能性がある。WBCQには地球平面派「World's
Last Chance」以外に収入源となる素材がなくなってしまう。WINBは商業局であるため何とか別の手段で生き残れる可能性がある。
ウクライナのAlexander Miatlikov氏によると、米本土以外でOvercomer
Ministryの番組を中継していたのは、台湾RTI、カナダBible
Voice、ブリガリアKostinbrod送信所、ルーマニアGalbeni送信所(IRRSの中継を通じて)、ドイツChannel
292などであったが、この内Kostinbrod送信所は1日15時間も放送していたため、かなり致命的な打撃になると考えられる。(WWDXC TP 1621)
◎Voice of Nigeriaが短波放送拡充計画
インドのAlokesh Gupta氏がナイジェリア政府の発表として伝えたところによると、Voice of
NigeriaのMallam Jibrin Baba
Ndace局長は同局をアフリカ大陸を代表する放送局と再度位置づける戦略を発表した。まずアフリカ全土に放送を届けるため同局のAbuja送信所の短波回転アンテナを再稼働させることから始める。以降次のような計画で短波放送を拡充する。
①DRM対応大出力短波送信機の導入。
②中国語、インドネシア語、ポルトガル語放送を新設し計11言語で放送する。
③アフリカの主要都市でフリーランスの記者を募集する。
④高品質コンテンツの制作。
⑤放送でアフリカの平和・安全保障・安定に貢献する。
原記事はhttps://von.gov.ng/von-plans-antenna-reactivation-broader-african-broadcast/を参照のこと。
(WORIG 6/20)
「再度位置づける」としている点が重要で、以前にAbuja送信所を新設した際にも同じ計画で始めましたが資金がどこかに抜けて行ってしまい、高価な機器を買っただけで終わってしまい、現在Voice
of Nigeriaの短波放送は事実上出ていません。
◎チリとアルゼンチンの4MHz帯海岸局
米国のDon
Moore氏がリモートSDRで確認したチリとアルゼンチンの4MHz帯Utility局は以下の通りである。モートドはSSB。
アルゼンチン;
4134 Comodoro Rivadavia Radio コール L3A
音声航路情報 09:00-13:00
4146 Mar del Plata コール L2T("Lima Dos Tango"と発音)海上気象通報
12:05頃
4354 Mar del Plata コール L2T("Lima Dos Tango"と発音)海上気象通報
05:00-13:00
4354 Bahia Blanca Radio コール L2N 船舶及びL2Tの交信 10:00頃
チリ;
4146 Magallanes Radio Punta Arenas コール
CBM 09:07-09:20過ぎ 航路警戒情報及び海上気象通報
4146 Puerto Montt Radio コール CBP 08:55 2355 USB
航路警戒情報及び海上気象通報
4357 Playa Ancha Radio コール CBV 09:07 海上気象通報
(WORIG 6/22)
◎Tony Rogers氏のSHORTWAVE/MEDIUMWAVE GUIDES
A25アップデート版
英国のTony
Rogers氏による地域別短波・中波ガイドのA25アップデート版(6月中旬アップデート)がBDXCのサイトからpdf版で無料提供されている。
SHORTWAVE GUIDES
Europe on Shortwave https://bdxc.org.uk/europe.pdf
Africa on Shortwave https://bdxc.org.uk/africa.pdf
Middle East on Shortwave
https://bdxc.org.uk/mideast.pdf
Asia on Shortwave https://bdxc.org.uk/asia.pdf
Pacific on Shortwave https://bdxc.org.uk/pacific.pdf
North America on Shortwave
https://bdxc.org.uk/americaN.pdf
Latin America & the Caribbean on
Shortwave https://bdxc.org.uk/americaS.pdf
MEDIUMWAVE GUIDES
Europe on Mediumwave
https://bdxc.org.uk/europeMW.pdf
Africa on Mediumwave
https://bdxc.org.uk/africaMW.pdf
Middle East & Caucasus on
Mediumwave https://bdxc.org.uk/mideastMW.pdf
External Services on Mediumwave
https://bdxc.org.uk/MWexternal.pdf
MEDIUMWAVE FREQUENCY LIST
https://drive.google.com/file/d/11cwyEQlEUVwfwxNKRv5bxIaTGomDIVKb/view
(https://bdxc.org.uk/articles.html)
(RUS-DX #1357 via WORIG 6/22)
◎BBC.com米国で有料化開始
米国のAndrew Kim Elliott氏がBroadband TV
Newsの報道として伝えたところによると、BBC.comを提供するBBC
Studiosは米国版ウェブサイトの有料化をスタートさせた。週$1、月$8.99、年間$49.99を支払うとBBCのニュース記事、特集記事、BBCニュースチャンネルにアクセス可能となる。将来的にはBBCの映像ドキュメント、映画、ポッドキャストが広告なしで利用可能となるだけでなく、ニュースレターも配信される。BBC.comの利用者数は世界で1.39億人いるが、半数に近い6000万人が米国から利用してるための収益増加策である。無料で利用する場合はニュース速報、BBC
Radio 4、BBC World
Service、ポッドキャストのみが広告付で利用できる。原記事はhttps://www.broadbandtvnews.com/2025/06/26/bbc-launches-payment-plan-for-bbc-com-in-the-us/を参照のこと。(WORIG
6/26) 日本からアクセスした場合は無料登録を促されます。6月現在まだBBC
Sounds(https://www.bbc.co.uk/sounds)にはアクセス可能ですが、BBC.comを使うように促すメッセージが表示されます。
BBC.comの画面
◎ラジオライフ誌が隔月刊化
三才ブックス発行のラジオ雑誌「ラジオライフ」が隔月版になることが2025年8月号誌上で発表された。2025年12月号(10月24日発売)までは月刊で発行するが、以後は隔月発行となり次は2025年12月25日に2026年1・2月合併号が発行されることになる。創刊45周年を迎え原点に立ち返り隔月刊(1980年の創刊時も隔月刊であった)でリニューアルを図るとしている。(赤林)
◎メキシコの日墨文化番組 日本語も使用
メキシコ中西部Aguascalientesの Conexion
FM(92.7MHz)では火曜10:00-11:00に日本およびメキシコ文化を紹介する「アグアス生活」を放送している。担当するのは府川大吾氏(メキシコ市生まれの日系二世)。基本的にスペイン語番組だが、番組を聴いている現地在住の日本人のためとして、前半にその日の放送内容の紹介、後半に放送内容の要約や関連した話題が日本語で放送される。番組は
https://conexionradio.fm/ で聴くことができる。これ加えて、スタジオライブを
https://www.youtube.com/@Conexion92.7
で見ることができるが、著作権の関係で音楽はカットされている。なお同局は州営放送局で、以前も日西両語番組「Hora
Japonesa(日本時間)」を放送していた。(東京都 平原哲也氏)
◎Radio Ndarason International放送時間を縮小
フランスのJean-Michel Aubier氏によると、チャド方面向秘密局Radio Ndarason
Internationalは2025年6月10日以降放送時間を1日6時間から3時間に短縮し、14:00-16:00、03:00-04:00にのみ放送している。HFCCに登録された周波数は以下の通り。ASC:Ascension、WOF:Woofferton
14:00-15:00 6195 ASC 9540 WOF
15:00-16:00 15505 WOF
03:00-04:00 12050 ASC 15420 WOF
(WWDXC TP 1622)
◎ドイツでIRCの販売終了~通用は継続
ドイツのDeutsche
Postは2025年7月1日以降IRCの販売を停止する。需要が低調なことがその理由である。既に発行されたIRCは外国発行のものを含めて2026年12月31日まで通用する。(WWDXC
TP 1622)
◎終末予告ラジオ「UVB-76」
ロシアの国営新聞 "Rossiyskaya
Gazeta"は2025年6月25日軍営「ブザー局」UVB-76について以下の様な記事を記載した。モスクワ時間6月25日の朝09:09に、UVB-76は米国とイランとの交渉状況について以下のメッセージを送信した。"NZHTI
63373 SWEETS 4138 7098"、"NZHTI 57103 BUEROPRYSCH 3284
2505"。これは訓練であり、同日中に20通のメッセージが発信された模様である。原記事はhttps://rg.ru/2025/06/25/anonsirovano-20-novyh-soobshchenij-ot-radiostancii-sudnogo-dnia-uvb-76.html。
モスクワのTVジャーナリストの一人はこれを解析して見た結果隠語で核戦争司令に関する怖ろしいメッセージが含まれていることが分かったとし、AIによる推測ではもしこのブザー局の信号が停止した場合は全面核戦争の開始を意味し世界が終末を迎えることになるとした。原記事はhttps://360.ru/tekst/interesnoe/ii-rasshifroval-signaly-radiostantsii-sudnogo-dnja-ob-irane-i-ssha-itog-uzhasnul/。(RUS-DX
#1348 via WORIG 6/29) モスクワ近郊のNaro-Fominskに送信所があり、4625kHzでブザー音を発信し続けています。
出典略称
WORIG : World of Radio io
group
WWDXC TP:World Wide DX
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HCDX: Hard-Core-DX
JSWC: Japan Shortwave
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