![]() シンデレラ★ヒーセ 月桂樹 |
あるところに、継母・ロビンと暮らす少女・ヒーセがいました。 今日もロビンに用事を頼まれ、忙しく働いています。 「掃除は終わったの?」 「いえ。庭の掃除はまだです。お母様」 「ちゃんとやっとくのよ。それから、明日お城で舞踏会があるから。ドレスをクリーニングに出してあるのを取ってきてちょうだい。おまえはちゃんと留守番してるんだよ」 「はい。(お城で舞踏会!私も素敵なドレスを着て、エマ王子に会いたい!)」 翌日夕方 舞踏会に気合を入れてめかしこんで出かけていくロビンを羨ましそうに見送るヒーセ。 「魔法が使えたら、素敵なドレスを着て舞踏会に行くのに・・・」 その時、白い煙と共に魔法使い・アニーが現れました。 「はじめまして。おれ、魔法使いのアニーといいます」 「魔法使い??」 「はい。あなたの願いを叶えたくて来ました。望みは?」 「お城の舞踏会に行きたいんです」 「それじゃ、カボチャとネズミ3匹捕まえてきて下さい」 ヒーセは言われたとおりに、カボチャとネズミを持ってきました。 アニーが魔法を唱えると、カボチャは馬車に、ネズミは馬と御者に変わり、ヒーセが着ていた粗末な服はドレスに変わりました。 「えー、なんか、イマイチぱっとしないなー、このドレス」 「だめですか?」 「ちょっとねー。イメージと違うんだよね。この肩の所をもっと開けて、いや、いっそのこと出して。あと、もっと腰からお尻にかけてさぁ、こういう感じでさ。それと、色はこの色よりさ・・・」 「あ、あの?時間無いんじゃないんですか?」 「これで行くのー?やだなー」 「分かりました。これでどうです?」 アニーが魔法を唱えると、ヒーセのドレスは変わりました。 「さっきよりはいいけど、なんか納得できないなー。んー、まぁ、しょうがないか」 「それから、これガラスの靴です。ガラスの靴以外は12時を過ぎたら魔法が切れますから。気を付けてください」 「分かった、分かった。ありがとー。じゃ、行ってくるから」 そう言うとヒーセはウキウキでお城に向かいました。 「疲れた・・・。今度出るときは我儘を言わない人にしよう」 お城では、気合を入れてめかしこんだロビンがエマとダンスを踊っていました。 しかし、エマ王子はお城に着いたヒーセを見つけると、ロビンとのダンスを止めヒーセのもとに歩み寄りました。 「行かないで・・・エマ様・・(泣)・・」 嘆くロビンに目もくれず、エマ王子はヒーセにダンスを申し込みました。 「お嬢さん、私と踊っていただけますか?」 「はい。喜んで」 二人は楽しい時を過ごしました。 しかし、無情にも12時の鐘の音は鳴り、片方のガラスの靴を残してヒーセはエマの前から姿を消しました。 ヒーセの事が忘れられないエマは、手元に残ったガラスの靴に合う娘を国中より探すように命じ、数日後、ロビンの家にも使者がやって来ました。 エマ王子のもとに行きたいロビンは喜んで使者を向かい入れました。 「このガラス靴は、正に私が履いていたものでございます」 「では、今、履いてみよ」 「この通りピッタリでございます」 しかし、ガラスの靴はロビンの足には小さく、とてもピッタリだとは言えませんでした。 「最近働きすぎで、足が剥くんでいるのでございます。明日の朝、来て頂ければピッタリになります」 「だめだ!!この家には他には女はおらんのか?」 「はい。私だけでございます。」 その時、台所につながる奥の扉からヒーセが出てきました。 「待ってください。私にも試させて下さい」 「お前はいいんだよ!ただの小間使いなんだから」 「いや。王子は『全ての女性を試せ』と仰せになっていた。娘、履いてみろ」 ヒーセはガラスの靴に足を入れるとピッタリでした。 「おー!!正に靴にピッタリの足!」 しかし、エマ王子が探している娘がヒーセだと思いたくないロビンは 「いいえ。この広い国の中、このガラスの靴にピッタリと合う足を持っている娘が、一人や二人は必ずいるはずでございます!偶然でございます!!」 「いいえ、お母様」 そう言うとヒーセはエプロンのポケットから、もう片方のガラスの靴を取り出しました。 「これは!王子より預かったこのガラスの靴と正しく同じもの」 「はい」 ヒーセは使者に連れられお城に上がり、再びエマ王子と会うことができました。 ・・・こうしてヒーセとエマ王子は、いつまでも仲睦まじく暮らしました。 おしまい。 |
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