シンデレラ★アニー
月桂樹


あるところに、継母・ロビンにこき使われながらも、健気に生きている少女・アニーがいました。
今日もロビンに色々と用事を頼まれ、忙しく働いています。
「アニー!ちゃんと掃除をしたの?ほら、ここにまだ埃が積もってるわよ!それから、今朝頼んでおいたもの買ってきとくのよ!あと、夕食はカレーにしてちょうだい!」
「はい。お母様」
「あと、言い忘れたけど、明日はお城の舞踏会だから、クリーニングに出したドレスを取ってきといてね。お前は家で留守番してるんだよ」
「(お城で舞踏会!ヒーセ王子様に会えるの!あー、一目でいいからお会いしたい・・・)」
「なに、ボーっとしてるの。頼まれた仕事はさっさとしなさい」
「・・・はい」



翌日夕方


ドレスを着飾って出かけたロビンを羨ましそうに見送るアニー。
「あー。私も舞踏会に行きたい!もし、魔法が使えたら、素敵なドレスを着てお城に行くのに」
その時、白い煙とともに、魔法使い・エマが現れました。
「こんにちは♪俺、魔法使い。よろしく♪君さぁ、今俺のこと呼んだでしょう?」
「えっ!?」
「で、願い事ってなに?」
「本物!?」
「そう。で、願い事ってなに?」
「えーっと、綺麗なドレスでお城の舞踏会に行きたいんです」
「簡単、簡単。じゃぁ、カボチャとネズミ3匹捕まえてきてよ」
アニーは言われた通りに、カボチャとネズミ持って来ました。
「じゃぁ、魔法をかけるよ。えいっ!!」
エマが魔法を唱えるとアニーの服はドレスに変わり、カボチャ馬車に、ネズミは御者と羊(!)に変わりました。
「あれ??なんで馬にならないんだろう?おかしいな?」
「大丈夫ですか??」
「えいっ!!」
エマが魔法を唱えると、羊は牛(!)に変わりました。
「おかしいなぁ??あのさぁ、牛でも馬車を引けるからいいよね。なんで馬にならないのか分かんないや。ははははは」
「・・・・・・・・・・」
「あと、これガラスの靴ね。それから、ガラスの靴は大丈夫だけど、それ以外の魔法は12時過ぎたら切れるから。じゃぁ、頑張って行って来てね♪ばいばい」
そう言うと白い煙と共にエマは姿を消しました。
「こ、これで行くの・・・・・」
しばらくの間アニーは、牛車を見つめながら途方に暮れていましたが、諦めて牛車に乗りお城に向かいました。


走り始めて4時間あまり、牛車はやっとお城の近くまでやって来ました。

しかし、無念!!
お城にたどり着く前に、12時を知らせる鐘の音がアニーの耳元に聞こえてきました。
その途端、牛車はカボチャとネズミに戻り、ドレスは元の粗末な服に戻ってしまいました。
その場に立ち尽くし、しばし途方にくれるアニー。
仕方なしに、カボチャを拾うと、とぼとぼと来た道を戻って行きました。


やっとの思いでアニーが家にたどり着くと、既にロビンはお城から戻っていました。
「何処ほっつき歩いてたの!!留守番してって言ったじゃないの。ほんとに、しょうがない娘ね!!」
「ごめんなさい・・・」



・・・こうして、アニーには昨日と変わらない明日が来るのでした。


おしまい。


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