シンデレラ★ロビン
月桂樹


あるところに、継母・エマと暮らす少女・ロビンがいました。
今日も忙しくエマのためにロビンは働いています。
「だめです、お母様!後片付けは私がやりますから!」
「じゃあ、おねがいね」
「はい」
「んー。そうだ、洗濯でもしようかなぁ?」
「だめですっ!!水仕事なんかしたら、お母様のきれいな手が荒れちゃいます!!何もしなくていいから、おとなしく座っててください!!」
「・・・・」
「私の仕事なんですから」
「つまんない」
「・・・・・・・」
「じっと座ってるなんて」
「分かりました。じゃぁ、私が洗った食器を拭いてしまってください」
「やっぱり、二人でやると楽しいね♪ あっ、そうだ!明日お城で舞踏会があるんだって。招待状が届いたから行ってくるから。留守番よろしくね」
「えっ、お城に?(大変!お母様綺麗だから、お城になんか行ったらアニー王子に見初められて、お城に上がってしまう。もし、そんな事になったら、お母様と離れ離れになってしまう!なんとしても舞踏会に行くのを阻止しないと!)」



翌日夕方


結局、舞踏会行きを阻止できなかったロビンは、エマが乗った馬車を悲しそうに見送りました。
「あぁー。お母様は行ってしまった。魔法使いが現れてくれない限り、お母様を追いかけるなんて無理・・・・」
その時白い煙と共に、魔法使い・ヒーセが現れました。
「今、俺のこと呼んだのお嬢ちゃんか?」
「え???」
「魔法使いのヒーセってんだ。よろしくな!ところで、お願い事ってーのは何だ?何でも叶えちゃうよ!」
「急いでお城に行きたいんです!馬車をください!」
「ん??舞踏会か?そういうことなら、まかしとけ。ドレスはどんなんがいいんだ?肩は出した方がいいのか?」
「ドレスなんかいいんです!速く走る馬が付いた馬車を出して!!」
「ドレスは要らないのか?お嬢ちゃん、舞踏会に行くんだろ?」
「踊りに行くんじゃないからいいんです!それより早くして下さい!!」
「わ、分かったよ。じゃ、カボチャとネズミ3匹持ってきな」
「分かりました!!」
「何だよ、折角かっこいいドレス思いついたのによー」
ロビンは急いで、カボチャとネズミ3匹を持ってきました。
「本当にドレスは要らないのか?」
「いりませんから、早くして下さい!」
「わかったよ」
ヒーセは渋々魔法を唱えると、カボチャは馬車に、ネズミは馬と御者に変わりました。
「ありがとうございます!!」
「ただし、魔法は12時までしか・・・・」
ヒーセの話の途中にもかかわらず、ロビンは馬車に飛び乗り御者を押しのけ手綱を取ると、全速力でエマの後を追いかけました。
「お母様――――――!!」
「・・・・行っちゃったよ。帰ろ」


レーシングカー並みのスピードで馬車を走らせたロビンは、エマの馬車がお城に着いてしまう前に追いつくと、エマの馬車に飛び乗りました。
ロビンはエマの前に跪き、泣きながら手を取り
「お母様、お願いです、お城には行かないで!!お母様綺麗だから、お城に行ったらアニー王子が惚れてプロポーズするわ!!そんな事になったら、もうお母様とは一緒に暮らせなくなってしまう!!」
「そんな。舞踏会に行くだけなんだから」
「でも、でも!!」
「それに、もしそうなったとしても、お城には上がらないから、ね」
「でも!!相手は王子様なんだから。「お城に上がれ」って言ってきたら逆らえないじゃない!そんな事になったら・・・・・私、ひとりじゃ生きていけない!!!」
そう言ってロビンはエマにしがみつき、声をあげて泣きました。
「・・・・ロビン・・」
エマは、そっとロビンを抱きしめると優しい声で
「ロビンの気持ちは分かったから。だから、もう泣かないで、いい娘だから。ここでいつまでも、こうしてる訳にはいかないでしょ」
「・・・・・お母様・・」
「こんなことしてたら、舞踏会に間に合わなくなっちゃうじゃない」
「いや!行かないで!!」
「うそ。冗談。ロビンがあんまり必死だから、からかいたくなっちゃったの」
エマはロビンに優しく微笑みかけると
「ほら、顔を上げて。家に帰るんでしょ?」
「お母様!!!」
そう言ってエマに抱きつきました。
馬車は来た道を引き返して、家へと戻りました。



・・・こうして、ロビンはエマと二人でいつまでも仲良く暮らしました。


おしまい。


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