埼玉県美里町曝井の万葉歌碑
埼玉県北部の美里町に曝井(さらしい)と呼ばれる遺跡があります。曝井は湧き水のことで、布を晒すために使っていたようですが、この地では固有名詞に変わったもののようです。下は、曝井遺跡全体の写真です。
下の写真は1845年に建立された歌碑で、下の二首が刻まれています。歌碑の文字は非常に読みづらくなっていますが、その歌碑の直ぐ横に、更に下の写真のように碑文を彫りなおした歌碑があります。なお、この歌碑によると、巻9-1745の上二句の読み下し文は「みつくりの 中にめぐれる」となっています。
歌
埼玉(さきたま)の 小埼(をさき)の沼に 鴨ぞ翼(はね)霧(き)る 己(おの)が尾に 降り置ける霜を 掃(はら)ふとにあらし (巻9-1744) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 埼玉の小埼の沼に鴨が翼を震わせている。尾についた霜を振り払おうとしているようだ。
三栗(みつくり)の 那賀(なか)に向へる 曝井(さらしゐ)の 絶えず通(かよ)はむ そこに妻もが (巻9-1745) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 那賀に向きあっている曝井の水が絶えないように、絶えず通ってこよう。そこに妻になる人がいて欲しい。
この首の曝井の場所については、武蔵国那珂郡(今の埼玉県美里町)、常陸国那珂郡(茨城県水戸市)と諸説あります。
所在地
埼玉県美里町広木13(常福寺)の近く
行き方
県道349号線と枌木川(ねりきがわ)の交わる付近で、常福寺の前です。下の地図のマークのところです。