3-500Zの比較テスト(Jan 31. 2009)
友人のJG2EGS岩崎氏から手持ち3-500Z(Eimac製)が使えるかどうか調べて欲しいと依頼があった。
送付して頂き早速テストしてみた。
なおこのテストに便乗し各社3-500Zを同じ装置に実装し比較してみた・・・実はこちらの方がメインになってしまった。同氏に感謝している。
テストした管は依頼品の(EimacX)、Eimac(実装品Used)、FAL(Used)、Ampelex(New)の4種類。
事前準備として、テスターによりフィラメントの断線確認とグリッド−フィラメント間のタッチ(いわゆるG-Kタッチ)が無い事を確認しておく。
写真は依頼品の3-500Zと愛用の懐かしいSANWAテスターN-201。
このテスターは既に生産が完了し、保守も受け付けてくれない一品。
自力でメンテナンスするしかない。
ちなみに購入は1975年6月21日静岡市の今はない岩崎ラジオ。
FET使用のHi-Zが売りだったが、さすがに30年余・・・誤差を読む必要が出てきた。

管を見比べる
実装装置は1997年製作3-500Z(GG)シングル50MHzリニアアンプ。左は届いた3-500Z。コンタクトを支持するベークライト板が無い前期型。封入部から伸びた金属ロッドにコンタクトがハンダ付けされている。下は後期型との比較。

測定結果
受領した管(EimacX)とEimac(Used)/FAL(Used)/Ampelex(New)の4本を順次実装しテストした。テスト方法は極めて簡単で、エキサイタ(IC-756)から40Wでドライブし最大出力にチューニングしたときの状態を記録した。下表がその結果である。と言う事で依頼管のEimacXは問題無く使えるようだ。それからAmpelex(グラファイト・プレート)管はNewと言う事もあるが素晴らしい。左は4者揃い踏みのスナップ。左がEimac、右がAmpelex、上がFAL、下がEimacX(調査依頼管)。



3-500Zについて
左はHomeシャックでのテスト風景。中央上が3-500Z(GG)/50MHzアンプ。ちなみにその下は144MHz/GU-74B(EME)、右はIC-PW1(HF〜50MHz)、そして一番下がGU-84B/50MHz。3-500Z/50MHz以外は全て変更検査済み。
3-500Zは出力500〜1KW程度のアンプの入門用に最適だ。理由はゼロバイアス管で部品点数が少なく作り易い(もっともツェナーダイオードで数Vのバイアスを設定する場合が殆どだが・・・)。 法定最大電力500W時代のメーカー品(TL-922等)は、2KV程度と低いEpに抑えられ、直線性より出力電力抑制に主眼を置いた設計が行われていた。その結果、ドライブレベルを上げてもIgばかりが増加し出力が伸びない現象に陥る。Epを3.5KV程度に維持できると様子がガラッと変わり、ハイμ管3-500ZをGGで使う素晴らしさが分かってくる。少ないドライブ(Ig)で直線性の良いIpを流すことが出来るのだ。
今回の新発見は、Ep=2.7KVにツェナーBias(確か9V位)でIpが50mAで見事に揃っていた事。それからPdが異なるのでプレートの赤化状況が揃わない事。グラファイトプレートはこの程度では全く赤化しないし質量があるので冷めるまで時間が掛かる。もう冷えているだろうと素手でプレートに触ると火傷する場合がある。3-500Zは、電気的・機構的にも簡易な構成で使う事が出来、入門用として最適な送信管と言える。

重要
上記数字ははあくまでもオーナーのテスト環境と手持ち管でのものです。他の環境や条件のでの再現はこの限りではありませんのでご注意願います。