5T31+PWMアンプで行うAM変調実験で不具合・・・その修理(Nov 27. 2014)
PWM-AFアンプでAM変調器の可能性を探っている最中、5T31(450TH)アンプにプレート変調をかける実験で、500Wキャリアに変調(1KHz)を掛け良好な変調波形を得た。
ところがその直後、スタンバイ中にも関わらず、5T31アンプ内とPWMアンプ内で持続性のスパークが発生した。 それに至った経緯はAM変調実験のコーナーで推測している。
さて調べると、5T31アンプはEpリターン線断、EpメータセレクトSW接点溶断とガラエポウエハー炭化、そしてPWMアンプでは入出力基板とアンプモジュールがやられ動作不良になった。
ここでは主に、それらの修理対応について記す。
<参考>
変調トランスは4V:200Vの電源トランスで昇圧比25倍。PWMアンプの出力を400W/4Ωとするとトランス1次側の電圧は80V(rms)=226V(p-p)。トランス2次側は2000V(rms)=5656(p-p)。Ep=4KV程度のところにピークで5.6KV以上の電圧が印加。Epのピークは9.6KV超に達し、スタンバイ中(カットオフ)の5T31が生き返り波動を始めた。その際Epリターン線の破断とスイッチウエハの炭化を誘発。

作業風景。中央のセメント抵抗がIpシャント抵抗0.22Ω/20W。その下がカットオフバイアス抵抗30KΩ/10W。
判り難いがシャント抵抗の下側に半田付け用接続ポスト(黒)があり、高圧リターンが接続されていたが、断線そして放電。線材は相応の容量のある耐熱電線だった。
断線の原因は、整流平滑ユニットを取り出す度に半田付け部にストレスが加わって切れ出し、伸縮チューブの保持力で回路が維持されていた模様。
それが、5T31の高電圧(Ep+変調電圧)動作による波動で決定的に断線したと考えられる。
ここが断線したらIpなど流れる筈ないのだが、実はEpメーター回路のリターン配線がメーター切替SWに配線されていて、その接点とウエハスペーサとの間で放電・溶解した際にガラエポウエハを炭化させ、高圧リターン回路が出来てしまった模様。
ちなみに伸縮チューブの中には放電痕のカーボンが付着していた。
これらの症状を回避するために・・?BR>  @カットオフバイアス抵抗を50KΩに増加
 AEpメーターのリターン接点は筐体(ウエハ固定スペーサ)より遠ざける
・・・等の改善が求められる。

メーター切替SWのクローズアップ。
Epのリターン回路の接点が溶解し、ガラエポのウエハ(筐体と接点の間)が炭化している様子が判る。
ちなみに直流抵抗を測ると85Ω。ガラエポウエハの炭化部を千枚通しでこじると450Ω程度に上昇した。
ウエハを削り込んでカーボンを取り払い、接点を交換するなどの対策を行う予定。
スイッチを入れ替えても良いが、手持ち品を何処かに仕舞い込んでいて出てこない・・・。

PWMオーディオアンプ(DCP1100/CLASSIC PRO)の調査風景。
既に後述の入出力基板は取り外してある。
このサイズでは放電痕を確認できない。
整合と高圧回路との絶縁も兼ね変調トランスをPWM出力に挿入している。
また、電源投入時のサージを回避するために、PWMアンプは高圧が立ち上がってからつないでいた。
これで半導体機器をケアしていたつもりだったが、5T31側の波動は想定を超えたものであった。
5T31アンプとPWMアンプの筐体は接続され同電位だった。
トランスの静電容量を通じてPWMアンプ側にサージが浸入したと思われる。

入出力基板の放電痕。
左側のスライドスイッチとその丈夫に放電痕があり黒化している。
これ以外に複数の放電痕を確認できる。

電源平滑ケミコンの横にあるマイラーコンが破裂。
回路図が非公開のため、早々に購入先のサウンドハウスへ修理依頼。
発送の翌日、購入店に届き、その翌日に修理内容と見積が電話とメールで送られてきた。
ネットバンキングで送金すると修理作業が始まった。
土日を挟んで週明けに修理完了・発送となった。
修理内容はアンプモジュール、入出力PCBの不良。