Band Switchの紹介と頒布(Feb 14, 2010)



真空管式HPA(パワーアンプ・リニアアンプ)の出力タンク回路に使用するタイト製バンドスイッチを紹介する。
写真のバンドスイッチは、東京世田谷区のJA1IIV窪寺氏が頒布活動を進めるバンドスイッチ4点。
氏は10年以上前から、スイッチメーカーへ製造依頼したアマチュア向けタイトスイッチの頒布活動を続けられている。
2010年2月、世界中で部品供給が停止してしまったTL-922のバンドスイッチ製造に目処がつき、ラインナップに加わる事になった。
氏の情熱に敬意を表すと共に、TL-922の愛用者には待望久しい朗報になるに違いない。
窪寺氏のバンドスイッチはショートバーを巧みに使い、π回路のタップ切替とプレート側と負荷側の補助コンデンサ切替を効率良く行える様に工夫が凝らされている。
また、電流容量を稼ぎたい場合は多段構成を並列接続する事でそれを可能にしている。TL-922やHL-2Kなどのアンプに比べ十分な電流容量が確保される。
ショートバーで7接点までの回路が組めるので、オーナーはHF〜50MHzマルチバンドアンプや、50MHzポジションを組み込んだFL-2100B改修機に使用している。

 @最左・・・TL-922専用2段式6接点、シャフトはガラスエポキシ・・・\7800
 A中左・・・汎用2段式7接点、1KW用(4段と端子形状同一)・・・・・・・・\7800
 B中右・・・汎用3段式7接点、1.5KW用(オーナー上記で使用)・・・・・\9800
 C最右・・・汎用4段式7接点、2KW用(2段と端子形状同一)・・・・・・・\12800
 (何れも全コイルタップショート式・ダブル接点。スイッチの位置は写真左で案内、右は裏側からのビュー)


窪寺氏からのコメント
 π出力回路用バンドスイッチを作る場合、効率良くローバンドコイルを短絡するためにショート式が用いられます。ショート式で30度ステップで作るスイッチは6バンドまでの物しか作れませんが、今回試作したスイッチは簡単かつ巧妙な工夫により7バンドまで使用できます。また寄生発振によるスパークは、端子を1本省略除去し間隔を作ることにより防止しています。
 接点切換式スイッチでは10MHz以上のハイバンドで接触不良が発生すると、ローバンドコイルによりその部分のハイインピーダンス化を招きます。本来この部分はショートして使用するため耐圧は0ボルトです。しかし寄生発振などの高圧・高周波が加わればどんな大型スイッチでもスパーク溶解に至ります。
 業務用無線機でお馴染みの日本無線ではこの様な現象を良く承知しています。JRL-1000ではローラーインダクタ2個を使用したπL回路を構成していますが、2個とも14MHz以上のハイバンドでは10MHz附近でタップを作りローバンドコイルをショートさせる回路を増設し不具合発生を防止しています。
 今回試作したスイッチはT型ハイパスネットワークによる7バンドのアンテナチューナーにも利用できます。米国のSURPLUS SALES OF NEBRASKA社でもこの様に考慮されたセラミック・ローターリースイッチは存在しません。


窪寺氏のご厚意により以下に問合せ先を記します。左は海外向け情報。

〒:158-0083 東京都世田谷区奥沢1-28-2 窪寺恵一郎
Tel/Fax:03-3720-3228   e-mail:k-kubodera@e08.itscom.net

窪寺氏は、TL-922についてはいち早くワールドワイドに情報を伝えたい意向をお持ちで、当HPとBBSでご紹介する運びとなりました。


2010年8月のハムフェアでも「TL-922バンドスイッチの配布」と称した出展を計画中との事です。ご期待ください。

右は新たに製造されたTL-922専用のバンドスイッチのクローズアップ。
ガラスエポキシ製になったシャフトが印象的で高級感がある。
TL-922では不使用だった接点は廃止し、最もシンプルかつ丈夫に作られている。
詳細は窪寺氏(またはオーナー)へお問い合わせください。
このプロジェクトは窪寺氏のご厚意によるものであります。
商業目的ではありませんので宜しくご理解願います。

                               オーナーJH2CLV@望月

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