FL-2100Z改(GU-75B/4CX800A)修理依頼(Sep 16-20.2024)

FL-2100Z改修理依頼
何年か前にFL-2100Z改修機(GU-74B/4CX800A搭載)をお譲りした御仁から、9月15日早朝、出力が出ないとヘルプメールが届いた。メールで詳細のやり取りは難しく、早々に送って貰うことにすると、その日の内に発送され翌16日には到着していた。
写真は工房でもなく無線部屋でもない。工房は遠くエアコンが無いし、無線部屋はSSPA実験の真っ最中。なので畳の間の居間に持ち込んで様子を見ることになった。
電源は入り送信制御も掛かるがIpが全く流れない。そしてケースを外し、タンクボックスの上ぶたを開けるとビックリ。
以下修理概要について記してみた。
ちなみに当該機は、FL2100シリーズにGU-74Bを投入した初号機になる。また出力は落ちるものの、密かに50MHzにも対応させている。

故障原因推測と対策
先ず、状況だけは掴んでおこうと蓋を開けてみるとビックリ。プレートが異常に焼けている。円錐チムニーの上部が変形し、押えに使っていたガータースプリングが飛び出している。経験的に、ここまで焼けると内部にガスが発生し、管はオシャカと思い込み勝ちだが、予備球を投入してもIpが流れず状況は変わらない。
調べるとプレート回路に挿入したの安全抵抗(GU-74B後方のセメント抵抗10Ω/10W)が断。さらに通電して分かったが、ファン(AC100V)の回転が異常に遅く風圧を感じない。実は御仁、電源トランスタップだけ100V受電に変更したらしい…こちらは200V仕様のみのつもりだったのに。ファン(及びサーモスイッチ)は電圧降下コンデンサと直列のため凡そ半分の電圧しかかからず、満足な冷却ができない状態だった。100V運用は想像していなかった。これで良く使っていたモノだと苦笑すると同時に呆れる。
結局、冷却が乏しくプレートが赤熱、チムニー上部が変形しガータースプリングを押し上げ飛び出し、プレート回路がガータースプリングで地絡、安全抵抗が一瞬にして断になり装置を保護したと推測。
電圧降下用コンデンサをジャンパー短絡すれば対応は容易だろうと思ったが、ファン制御をするSSRがAC側と制御側DCと絶縁が良くない模様で、DC電圧を低下させることが判明。それで、SSRを諦めDC24Vの小型リレーに置換えた。球も元の焼け焦げた物に戻し、30W程のドライブで600Wを出力することを確認。
20日依頼主の元へ旅立った。くれぐれもALCへ併用し、ファン動作を確認しながら必要最小限の電力でドライブする様お伝えした。
写真は受領時のタンクボックス内の様子。オンマウスはGU-74Bと周辺の様子。激しく焼け、チムニーの上部が変形している。今回の作業でガータースプリングは外すことにした。プレートとチムニーの勘合も良いため。

追加改修
元々AC200V受電を前提として回収していたFL-2100Z改。冷却ファンは当時のカタログで最大風圧のあったSUNON社MA1902-HVLのAC100Vファンを使い、AC200V受電を直に直列コンデンサで電圧降下させファン電圧をAC100Vになる様にコンデンサ容量を決めていた。直列回路には40℃のサーモスイッチが挿入され、45℃以下にならないとオフにならない、つまり電源スイッチOFFでも45℃以上ならファンは回り続ける造りになっていた。電源スイッチON時からファンは回る様にサーモスイッチをSSRで短絡し、その制御はDC24Vで行っていた。ならば、100V受電時は直列コンデンサを短絡すれば良いと直感する筈だが、実はこのSSR、DC制御と出力AC側の絶縁が何故か可笑しいことが発覚(DC電源回路に悪戯)。それでSSRを絶縁の心配がないDC24Vリレーに置換えた。これで、心置きなく直列コンデンサをジャンパー線で短絡することが出来、ファンへAC100Vを供給が実現、冷却効果が通常に復帰した。AC100Vをトランスの端子から取らないのは、電源スイッチオフでも回す必要があるから。
写真中央が直列コンデンサ(155K)。その右がSSRから換装したDC24Vリレーで、青/白リード線はサーモスイッチと並列接続。オンマウスはLDMOS_SSPA実験中の無線部屋へ持ち込みRFドライブデータを取得しているところ。600W出力時、Ep=1600V、Ip=600mA程度。AC100V受電なので、Ep=2000Vは期待できず、ここまで電圧降下する。