FT-DX400の入手とレストア

まだ中学生でSWL/BCL時代の昭和1968年頃、清水市魚町にあった「清水パーツセンター」で八重洲無線やトリオのカタログを貰ってきた。ハムになる2年以上も前のことで、自作の高1中2受信機が最高の宝物だった少年には、その洗練されたメーカー製品は羨望の的だった。そのときシルバーパネルで一段と目を引いたのがあのFT-400シリーズだった。その後FTと400の間にDXの文字が入ったトランシーバの存在を知り驚いた。終段6KD6パラレルでドライバーは普通なら12BY7Aでお茶を濁すところが6GK6。終段入力は何と560W(PEP)で、白黒TVの水平出力管12GB7で開局申請機を考えていた少年には信じられないようなトランシーバーだった。  それから37年過ぎた2005年の9月17日、岐阜八百津町で恒例のTGCミーティングが行われた際に「じゃんけんポン大会」であのFT-DX400をゲットして持ち帰った。このFT-DX400を持ち込んだ3エリアのOM氏は「壊れた訳じゃなくて保管していただけ・・・」との弁。この言葉を信じて後日大きな期待を抱いて電源SWをボン!・・・ところが往時の勢いはなく、生きている箇所を探すのが最初の作業になってしまった。
写真は車に積んで持ち帰ったFT-DX400の雄姿。この写真では分かり難いが30数年経過の後が見受けられる。ダイアルは1回転50KHzでロックレバーが付き、フィルタはSSB用のみ・・・初期型と思われる。


まず不良箇所の確認

電源投入と同時にメーターとダイアルを照らすパイロットランプが点く。続いて真空管のヒーターがゆっくりと赤くなっていく。非常に期待がこもる時間である。 ところがアンテナをつないでもウンともスンとも言わない。これから長い長い修復作戦が始まることになった。

以下現在までに確認した不具合。
@バンドクリスタル発振不良
ABFOクリスタル発振不良
BVFO周波数ドリフト
C終段BIAS変動(Ip徐々に増大)
DバンドロータリーSW接触不良
EモードロータリーSW接触不良
Fマーカー発振器立ち上がり不良
Gマーカー発信器にスプリアス
Hヘッドホンジャック接触不良
IAF出力にハム混入
Jマイクコネクタがたつき
Kパイロットランプの光量が安定しない
LSメーターゼロ点大幅ずれ
M内部全体が埃っぽい
NVFOの周波数直線性不良
Oその他・送信関係は未着手
*整備が進行するとこれ以外にも予想される


クリスタルの復活

BFOクリスタルはUSBは発振しているがLSBがNG。念のため回路側に問題が無いか、クリスタルを入れ替えてみて様子を見る。入れ替えるとLSBがOKになりUSBがNGになるので明らかにクリスタルの不良である。
クリスタル復活の手っ取り早い方法は写真の様にディップメーターに差込強引に発振を誘発させる。この場合見事に発振した。この状態で何分か放置しておく。またディプメータの感度を落とし、正常な方のクリスタルと同じ位のアクディブティがある事を確認してトランシーバーに戻す。
慌てて新品のクリスタルをオーダーする必要は全く無いので、この方法が絶対にお勧めである。長時間放置したクリスタルの復活は経験的にこのやり方で大半が復活する。また温度による影響もあるので復活しない場合は半田ごてやヘアドライア等で温度ショックを与えてみるのも良い。
写真はBFOクリスタル(HC-6U)をTRIOのディップメータDM-801のコイル端子に押し当てて発振させている様子。殆どのディップメータのコイル端子はFT-243サイズで作られているのでこの様に「手力」が必要だろう。なおDM-801にはクリスタル端子としてHC-18U用が用意されている。
なおバンドクリスタルの発振もNGの場合は同様に対応するが、FT-DX400のバンドクリスタルはHC-25Uが直接バンドロータリーSWに半田付けされているので、ディップメータからは短かいワニ口リード等で接続して行うと良い。


以下随時作業状況をアップします・・・ご期待下さい。