icom RS-BA1の導入(Feb 27. 2015〜)
はじめに
もう随分前のことだが、icomがRigのリモートソフトRS-BA1をリリースした。それを横目で見ながら、何時の日か使ってやろうと思っていた。昨年夏にIC-7600を入手したことも手伝い、実は密かにその気運が高まっていた。
昨年3月、JA2IYJ/山田氏がFLEX6500を工房に持ち込んでテストしたとき、「あぁ、こういう時代か!」と呟いていた。SDRであってもなくても、ネットワークを利用した無線機制御機能は当たり前の時代になるなぁと・・・。
一方、家庭内LANを無線で2Km程離れた山頂へ飛ばすテストも成功しており、近い将来マウンテンシャック開設の可能性も出てきた。
折りしも友人より4.5KVA/3相EGの提供があり、電源で悩んでいたマウンテンシャックのイメージが、より具体的なってきた。
この先どの様な展開になるか分からないが、基本部分であるRinのリモート(ネットワーク)制御を、RS-BA1を使って家庭内LAN上で構築し、その感触を掴んでおくことにした。
写真はクライアントPCのコントロールパネルから、IC-7600(サーバーPC経由)を操作している様子。画面背景に見えるのはRS-BA1のユーティリティソフトで、サーバー間の接続と無線機の接続を担う。

IC-7600&サーバーPC
写真の右端はIC-7600へUSB接続されたサーバーPCのVersaPro/VY10-F。OS/WindowsXp、CPU/Pentium M/1GHz、Memory/768MB、ストレージ/SSD。
RS-BA1のコントロールパネルとユーティリティソフトがインストールされている。
ここではユーティリティソフトを起動し、サーバー接続のみ行い無線機の接続は行わない(クライアントPC側で行う)。
サーバーPCとIC-7600はUSBケーブル1本でつながり、これで全ての情報がやり取りされる。本当に便利になった。
無線機側がUSB対応していない場合は、無線機制御はRS-232Cで取り出してCI-Vに変換し、送信・受信音声信号はサウンドカードから取り出し、無線機にI/Fするなどの細工が必要となる。

クライアントPCと自作スクローラー
写真はクライアントPC。こちらもサーバー側と同様にRS-BA1のユーティリティとコントロールパネルソフトがインストールされている。
ここでは、ユーティリティソフトを起動し、サーバー接続と無線機接続を行う。さらにコントロールパネルを起動し無線機操作を行う。
周波数可変はマウスのスクロールでも可能だが、さすがに操作が大変なため自作のUSBスクローラーをつないでみた。この場合、操作する時にマウスカーソルをコントロールパネルのダイアルに乗せる必要がある。
また送信制御もマウスでクリックする必要があり、とても実用的とは言えない。
PCはHPのNX6110。OS/WindowsXp、CPU/Celeron M/1.4GHz、Memory/2GB、ストレージ/SSD。


クライアントPCとRC-28
写真はicomの専用スクローラーRC-28を導入した様子。
ずっしりと重く、周波数可変や送信制御を直接行うことができ、快適なリモート制御が実現する。
ただダイアルノブの大きさがIC-706等と同じ小振りの物で、回した感じがあまりスムーズではない。さらに、ノブ全体がパネル面に出ているので突起感が強い。
あと10mm程度直径のあるノブで、かつ埋め込みにして突起を5〜10mm程度に抑えてあると使いやすい。
ヘッドセットはLogitech製。居間のコタツでこいつをかぶり、電話での交信ならこれで十分だ。

トラブルなど
ソフトのインストール方法や設定方法はRS-BA1やRC-28の説明書に書いてある。
ただ、RS-BA1の説明書はA4とA3二つ折のものが都合5枚も入っている。このため、自分のIC-7600場合は一体どっちなの?と読みこなすのにやや難解なところがある。
なお設定については、やや回り道をしてしまった。サーバー設定で「サーバー接続許可ユーザーIDリス ト」には登録したものの、それを選択して「登録」を失念したため左の如きメッセージ(クリックで拡大)でお叱りを受けた。本件はi_USEさんにご教示頂きい無事解決。
その他にネット上にはRS-BA1について様々な情報がUpされており有り難い。特に以下icomさんは当然ながら、月刊FBニュースさんのサイトも大変参考になった。
icom_IPリモートコントロールソフトウェアRS-BA1
月刊FBニュース・・・RS-BA1 Ver1.6使用レポート
ところで、これらの設定は無線機と言うよりPC、それもネットワーク系の理解がある程度無いと太刀打ちできない印象。
とりあえずLAN上で動作を確認したが、Internet経由でつなぐ場合は固定IPの取得に各種Routerのクリアやセキュリティ設定など、などやることが一杯ある。

改善要望など
★現在のRS-BA1最新ファームウェアはVer1.7であるが、IC-7800やIC-7700ではコントロールパネルの電源ボタンでトランシーバの電源ON/OFFを連動できる。IC-7600はそれができないため改善を望んでいる。それができるとIC-7600のDC出力を使えば周辺機器(リニアアンプなど)のON/OFFが容易に実現する。但しトランシーバと同自ON/OFFだが…。
★CW運用についは外部キーヤーが使えない。事前にキーボードや記録したテキストの送信なら現状で良いらしいが、どうしても自分でキーイングしたい場合は、SSBモードでAF-TONEをキーイングする付加装置が必要になる。改善を望みたい。
★SSB運用で自分の声をMONITORすると、数10msの遅延を感じる。送信⇔受信切り替えでも同様である。同一LAN内での印象であるが、インターネット経由では遅延量はさらに増大すると思われる。PCスペックの向上だけでは限界を感じる。
★トランシーバ本体のリモート以外に、汎用制御的な項目を幾つか用意してほしい。例えば避雷対策でアンテナ回路を遮断したり、複数アンテナやダミーロードへの切替。また周辺機器の制御とそのステータスを返したい。さらにローテータ角度情報など数値情報も返せるとなお良い。RS-BA1が、トランシーバ制御にとどまらず、シャック(無線室)の総合制御ソフトとして発展していくことを願っている。
★家庭内LANであっても無線LAN接続してノートPCを家のあらゆる所へ持ち運んでQSOすることができる。さらにスマホからも接続することも可能で、とんでもない時代になったと驚きを隠しえない。無線機にしがみつくのも良いが、こうしたスタイルの存在は否定してはいけないと感じる。
★RC-28は先にも記したように、ダイアルノブを改善したい。さらに、直に触りたい項目(AF-GAIN・RIT・FILTERなど)もノブにしておくと使い勝手が良いと思う。究極はコントロールパネル自身がLANケーブルで接続できることか・・・。
★リモートパネルは使っている無線機のパネルと同じデザインにならないものか。
★クライアントPCで電子ログ(HamLogなど)を立ち上げ、RS-BA1のコントロールパネルの周波数やモードデータを取り込めない。これをやるにはRigからCI-Vを物理的に延長してきて、クライアントPCへRS-232C接続して、RS-BA1とは異なるCOMポートへつないでやる必要がある。何とかならないものか・・・。
★写真は購入して使う前にRC-28を分解してみた様子。基板にICが搭載されているのでUSBインターフェイスかと思い拡大してみるとPIC18F14K50で当り!だった。DIPタイプならPICライタでソフトを焼増ししてハードを作ってしまい、好みのicom機専用のスクローラーが出来そうだが、これじゃ容易ではないし今はそこまで気力が沸かない。

トラブル
★2015年3月4日…RS-BA1のリモートを立ち上げて3時間程経過、7MHz/SSBを受信中に突然フィルタが狭帯域に代わりまともなSSB音にならない。SSBの送信は出力が出るが、他のモード全てで出力が出ない(POメーターが振れない)。別受信機でモニターすると目的周波数での信号は確認できる。クライアントPCやサーバーPCのリモートパネル捜査では解決できず、IC-7600の電源を再投入するも変化なし。結局IC-7600を工場出荷時にリセット(Fin+MW+PowerON)で出力回復。CI-Vポート設定を行いリモート操作も回復。発生の理由は不明。
★2015年3月6日…電源を入れてクライアントPCを立ち上げる(IC-7600とサーバーPCは常時通電)もRC-28がLinkしない。周波数可変もF1/F2プリセットの機能も動作しない。しかし受信音は聞こえ、コントロールパネルの操作は問題ない。調べるとUSBデバイスのRC-28を使用する設定が外れていた。どうして外れたか不明。
・・・つづく
しかし全体から見たらリモート運用を実践しているのは少数派かもしれないが、知らぬ間に主流になっているかも知れない。LAN内で楽しんでいる場合は良いが、これがインターネットを経由するとなると話が複雑になり、誰が何を管理しているのか分からなくなってしまう危うさを感じる。遠隔操作(制御)であるが故に、当事者意識や責任意識が希薄になる可能性を秘めており、モラルやマナーの変質も考えて置く必要がありそうだ。