TL-922のフラッシュ(Jul 1, 2012)

はじめに
2012年5月、TL-922+50MHz_PJを立ち上げた。机上プラン・テストを済ませ、実機での調査を始めようと7年振りにTL-922をテストベンチに乗せた。
入出力にはエキサイタとダミーロードをつなぎ、スタンバイ接点としてRCAショートプラグを差しモードはCW。AC200Vへ電源をつなぎこれで準備完了。
恐る恐る電源をオン。メータランプが点灯し、奥でフィラメントが輝きだした。SWオン後10数秒経過し「良さそうだ!」と安心していると静かに電源が落ちた。
調べると高圧トランスの1次側15Aヒューズ2本の内の1本が断。予備に交換して再び電源を投入すると、今度は3-500Z付近でピンクのフラッシュがランダムに発生。フラッシュするとIpが振り切れる。慌てて電源SWを切る。スタンバイ状態なのに・・・しかも2管ともだ!。
様子をはっきり見るために天板を外し、インターロックSWを半田巻の自重で押さえ強制解除。 これで再び電源SWをオンにすると案の定フラッシュが始まる。
そこで裏技・・・光り出す瞬間に電源SWをオフする。この繰り返しを続けると馴染んできてフラッシュしなくなる…苦肉の手だ。
そして次にモードSWをCWからSSBへ切り替える。すなわちEpを2000Vから3000Vに上げる。 すると再びフラッシュ。ここでもモードSWをCWへ戻し騙し騙しSSBとCWを切り替えてフラッシュしない状態にする。
念のため電源SW切り最初から電源投入して問題のない事を確認。ここまで漕ぎ着けたら次はRFドライブだ。先ず10-20Wの小電力でチューニングを取る。そして徐々にドライブを上げていく。出力は数100Wに伸び「しめた!」と思った。
しかしそれも束の間。強烈なフラッシュが発生し、Epは振れず、Ip振り切れの状態になった。 普通はこの状況を壊れたと呼ぶに違いない。しゃぁない直すか・・・。 TL-922は本当に手が掛かるアンプだ。上は動画で捉えたTL-922の音を立てるフラッシュ。

故障ヶ所の推定
@Epメータが振れない
単純にメータのホット側かコールド側が断。念のためテスタでメータ動作を確認。Epメータのコールド側はGndへ落ちているから、高圧リターン回路がオープンになった可能性大。調べるとバイアス用ツェナーダイオードがオープン。フラッシュした時はやられる可能性が高い。写真は交換したツェナーダイオード1S265/Toshiba。
AIpメータが振り切れ
しかし3-500Zのプレートは赤化して来ない。てことはIpメータのシャント抵抗断の可能性あり。メーターが振れているだけで・・・。写真下は交換が大変なので断になったシャント抵抗(1Ω/5W)へ同じ抵抗をパラった様子。
B何れにせよ3-500Z
もう裏技合戦は止め、秘蔵のAmpelex/3-500Zを用意、安定動作が復活。



その原因は何処に・・・
あれ程安定に動作していたのに戸惑うばかりだ。色々考えてみるとやはり3-500Zの不具合に原因が修練される。
しかし2管も同時にとは・・・トホホだ。それでここ数年の当該TL-922の取り扱いを振り返ると、2年程前にバンドSWの修理のために単身赴任先である福井まで、片道400Kmの道のりを乗用車で往復した。しかも3-500ZはTL-922へ実装したまま輸送していた。
ひょっとしたらこの輸送による振動や衝撃で電極の位置関係が崩れたのでは・・・。と今になって後悔している。したがって「手が掛かる」と余り大声では言えない状況にあることも事実。
いや、友人のJF3DRI西村氏によれば、1988年以降に製造されたEimac製は80%程度の確立でガスが混入(真空度低下)すると言っていた。それ以前は問題ないらしいがEimac製に見切りをつけたらしい。。ウーンこれは問題だ。
左は手を入れる前のTL-922底面。
ところでIgについては触れていないが・・・未確認なので恐縮至極。
TL-922関連情報