• TOP
  • 公演『風のほこり』
  • 公演『少女仮面』
  • 公演『ロミオとジュリエット』
  • チケットご予約方法
  • 梁山泊の人々

  • ヘルプ・
    お問い合わせ

外部リンク・アーカイブなど

  • 新 宿梁山泊ブログ
  • 新宿梁山泊
    過去の公演
  • 新 宿梁山泊
    旧サイトアーカイブ
  • プ ロジェクト・ニクス
TOP >注 目インタビュー>稲荷卓央さん 

インタビュアーは三連続公演中「少女仮面」「ロミオとジュリエット」
の二作品に出演の有栖川ソワレさんです。



■注目インタビュー 稲荷卓央さん

1991年に劇団唐組に入団。以来、唐十郎作品における重要な立役、情けなくもユーモラスな役が注目を集める稲荷さん。 怒涛の三連続公演では「風のほこり」「少女仮面」に出演される。



 1、 俳優を志した動機は?

僕は北海道の網走出身なんです。なので舞台は学校に回ってくるような演劇しかなくてあまり興味がなかったんです。 高校生位の時、映画やテレビで小林薫さんがとても活躍されていて、一視聴者としてかっこいいな、面白い俳優さんだなと思っていました。 地元には映画館が1軒位しかなくて、高校1,2年生の時に観た森田芳光監督の『それから』を素敵だなと。 当時は意識してなかったんですけど、そういうきっかけもあるかもしれません。 それから、4つ上の兄が持っていた雑誌「宝島」の演劇特集をちらっと見たりもしました。 唐(十郎)さんだったり、野田秀樹、つかこうへいといった特集に何となく触れていた気はします。 兄はそういったことに詳しくて、状況劇場の名前を聞いたりしましたね。 それで小林薫さんと唐さんが繋がって、面白そうだなと思って東京に出てきて。 ちょうど赤テントをやりはじめたばっかりの頃で、花園神社に観に行ったんですね。 そこで衝撃を受けちゃって。唐さんはもちろん、大久保鷹さんとか。もう震えちゃって、4,5回観に行きましたね。 演目は『セルロイドの乳首』。それでもう(劇団唐組に)入りたいと。決定打でしたね。

2、心に残る作品は?(映画・舞台・ドラマ・小説・漫画・音楽などジャンルは問いません)(その作品のどこに惹かれますか?)

演劇はほぼ唐さんの作品ばっかりですね。あんまり他の演劇って観てなかったんですよ。 (劇団の)入団試験があると知ってたので、1年間、春と秋と、唐さんの作品を観てました。 唐さんの作品のなかで一番好きなのは、僕も立たせてもらったんですけど、2000年の『吸血姫』(新宿梁山泊公演)。 やっぱり面白い作品だなあと。それから『風の又三郎』は傑作なんじゃないかなと思いますね。



 ――舞台以外ではいかがですか?

高校時代は映画館が1件しかなかったので、あんまり(映画を)観ていなくて。 劇団に入ってから唐さんの影響でビデオを借りて観た中では、「灰とダイヤモンド」がいいなあと思いましたね。 「灰とダイヤモンド」の主人公を演じた、ズビグニェフ・ツィブルスキはマーロン・ブランドより貫禄はないし、 ジェームズ・ディーンみたいにかっこよくもないんだけど、その人の魅力に取りつかれて何回も観ました。 本当は唐さんはマーロン・ブランドが好きで、「マーロン・ブランドの『波止場』を観ろ!」って言うんですけど。(笑)

3、今回演じる人物をどの様に捉えていますか?(雰囲気・気質・全体像等)


『風のほこり』は僕ずっと観てるんですけど、『風のほこり』の水守三郎は、お世話係だと思っているんです。 加代だったり、奇々怪々一座のお世話をする人。 とても一本気で、なんとかみんなで一座から這い上がろうっていう、真面目な努力家で。 でも僕が一番いいなって思うところは、浅子っていう女房がいたっていうところですかね。 すごくリアリティがあって面白いなと思います。


『少女仮面』は甘粕大尉、ボーイ2を演るんですけど、甘粕は謎の多い人物ですね。 「自分は無骨者ですから」とか「向こうの丘を魔王の軍団のような吹雪が吹いている」っていう台詞があって。 表現がとても面白いし深い。そういったところを甘粕のキャラクターとして表現できればと思っています。 どちらも役者にとって、とてもやりたい役だと思います。

4、 共演者についての印象は?(稽古場で役同士として、舞台を降りた素顔等)

『風のほこり』は渡会(久美子)さんですね。真面目で、きちっと厳しく演っていますね。 再演を何回も重ねているからでしょうけど、色んなところを厳しく、台詞も一言一句間違えないとか、 そういうところがかっこいいですね。 あとは、やっぱり金(守珍)さん。 役者の金さんを見てると、やっぱり凄いと思います。(演出の)駄目出しも、自分で演ったりするのを見ると、面白いですよ。 ご自分の役もすごい迫力ですよ。金さんは状況劇場の先輩ですし。すごい俳優さんだと思います。 演出は結構恐いですね。(笑)厳しくしたほうがいいですけどね。 『少女仮面』の僕のパートナーは今のところ全原(徳和)くんなんです。 ボーイ1と2で一緒にタップダンスを練習したり、どういう風な役作りにしようか、 (台本に)書かれてない部分を相談したりしています。 彼はとても大きくて力強いですよね。もっと伸びていくんじゃないかと思います。 デカイしちょっと怖いかなと思ったけど、すごく人の良い、優しい人だと思いますよ。

5、印象深いシーンは?(演じていて楽しい、或いは難しく感じる点など)
 ――(『少女仮面』ボーイ2の)タップダンスはお得意なんですか?

いやいやいや、この現場に入ってからなんです。顔合せの翌日、12月20日からです。 タップシューズは後輩に借りたんですよ。大変です。 難しい点はアコーディオンとタップダンスですね。僕は踊りはやったことがないので。 タップもそうですし、踊りがはじめてなんです。 あのボックスっていうステップもはじめて知りました。 うちの劇団の人が観に来たらびっくりすると思いますよ。「稲荷が踊ってる!」って。 やったことがないので難しいんですけど、楽しいですよ。ちょっとできると楽しくなりますね。 だんだん(振付の)ハードルがあがっていくんですけど、できると嬉しいので。

 ――楽しみですね。アコーディオンはどうですか?

アコーディオンも初挑戦です。大変ですね。いま結構、頭がパンクしそうです。(笑)

6、『風のほこり』『少女仮面』という作品について

二作品とも初めてなんですが、『風のほこり』も『少女仮面』もキャラクターがとても魅力的で。 好きだから言うんですけど、僕42(歳)なんですけど、全部のキャラクターに挑戦してみたいなと。 それくらい魅力的ですね、二作品とも。

――『風のほこり』について

僕、浅草の話が好きなんです。唐さんのところにもう20年位いるんですけど、唐さんの浅草の話を聞いていると面白いんですよね。 浅草に関する本を読んだりもします。浅草の芸人さんにもすごく興味があって。そういう話ですし、本当に好きなんです。 唐さんのお母さんがご存命だったときに劇団に入ったので、どんな人かというのもあって。面白いお母さんだったので。 本当にお母さんが話を書いて一座に持って行った事があるという話を唐さんが言っていたんですよ。唐さんが面白いのは、やっぱりお母さんの影響だと思うんですよね。 僕ら新人がお邪魔しても色々お話をしてくれて、とても面白い方でした。 舞台を見ていても好きですし、いま演っていてもいいなあと思います。

 ――『少女仮面』について

『少女仮面』はもう、ずっと残っていく作品なんだろうなと思っています。 色んなものが肉体論に入って展開していくし、これが1970年に出てきた時は周りはショックだっただろうなと思います。 「捨てたパンツに聞いてごらん」っていう台詞、これはもう日本語じゃないって言われたとか、色々あったっていいますし、 当時はそうだっただろうなと。

――岸田國士戯曲賞を受賞したときも大反響だったとか

そうですね。やっぱり唐さんがアングラと呼ばれながら、しっかりとしたものを書いたというのが凄いなと思いますね。

気さくにインタビューにお応え頂いた稲荷さん。お芝居に対する真剣さとお人柄が垣間見えた一時でした。
稲荷さん、ありがとうございました。





© 新宿梁山泊