時を壊した彼女/古野まほろ
すべての試行の内容は「全試行関係データ」(396頁~399頁)にまとめられていますが、ここでは、それぞれの試行で〈オリジナル〉の七月七日の出来事のどの部分に介入し、それがどのような結果につながったのかを、簡単なフローチャートにしてみます。
〈オリジナル〉 | 〈計画〉 | 〈結果〉 | ||
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CMRの修理 | → | 〈試行第六回目〉 CMRの解体・爆破 | → | 15:10 真太による仲間殺しが発生 →一郎・英二・詩花・ユリが銃撃死、真太が転落死 (変動率0.059%) |
↓ | ||||
13:09 七夕イベントの決定 | → | 〈試行第四回目〉 イベント中止 屋上の鍵の返納 | → | 15:10 青崎による学校テロが発生 →一郎・英二が銃撃死、真太が転落死 (変動率1.75%) |
↓ | ||||
21:30 七夕イベントの開始 | → | 〈試行第三回目〉 イベント前倒し(20:10) | → | 21:55 イベント終了後に屋上に再集合 (詩花を除く) →真太・一郎・英二が転落死、ユリが爆死(*1) (変動率0.058%) |
↓ | ||||
21:55 真太が屋上に存在 | → | 〈試行第一回目〉 一郎が真太を連れ出す (楽器店) | → | 21:55 一郎と別行動した真太が屋上に登場 →真太が転落死 (変動率0.0185%) |
→ | 〈試行第二回目〉 一郎が真太を連れ出す (工具・補強用具) | → | 21:55 メールを受け取った真太が屋上に登場 →真太・光夏が転落死 (変動率0.0228%) | |
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21:55 真太が転落死 | → | 〈試行第五回目〉 転落する真太を受け止める | → | 21:55 真太の落下地点が変わる →真太・光夏が転落死 (変動率0.0183%) |
それぞれの試行での計画の推移をみると、真太が“原因不明の爆発事故で命を落とした”と考えれば、事故が起きるタイミングで現場に近づくのを避けるという対策は妥当――ということで、まず〈試行第一回目〉から〈試行第四回目〉までは、“真太がHアワー(21:55)に屋上に存在するのを防ぐ”という目的で、いわば被害者である真太に“アリバイ”を作る形で計画が立てられています。
計画をアリバイ作りの一種ととらえてみると、真太を連れ出した〈試行第一回目〉・〈試行第二回目〉では“人への介入”、イベントを前倒しにした〈試行第三回目〉では“時刻への介入”、そして屋上を使わない〈試行第四回目〉では“場所への介入”といった具合に、アリバイの主要な要素である“人・時刻・場所”の操作をすべて試してあることがわかります。また、〈オリジナル〉の出来事の“下流”での介入に始まり、変動率が大きくなることが予想される“上流”での介入へと移行していくのも、試行の結果を踏まえればやむを得ないでしょう。
かくして真太の“アリバイ作り”が万策尽きてしまったこともありますが、それ以上に〈試行第四回目〉が学校テロという最悪の結果に終わったことを受けて、〈試行第五回目〉では極力〈オリジナル〉の出来事をなぞりながら、その最も“下流”――真太の転落と死亡の間(!)というピンポイントの介入(*2)となっているのも、(確かに“力業”ではありますが(*3))大いに納得させられるところです。
そして〈試行第六回目〉では、爆発の原因そのものであるCMRを解体・爆破することで、ついに根本的な解決を図ることになりますが、未来人にとっては未来へ帰る手段が失われてしまう(*4)わけですから、最後の最後に回されるのも当然。このように、それぞれの試行での計画はきわめて自然な流れで構成されているといえます。
対する試行の結果は、フローチャートにしてみるとおおむね“上流”での介入の方が変動が大きくなっているようにみえます。しかしその実、〈試行第四回目〉と〈試行第六回目〉には“上流”での介入というだけでなく、CMRを“凶器”にできない状況という“公約数”が隠されているのが見逃せないところ。とはいえ、〈試行第四回目〉の学校テロが、偶発的……とはいえないにしても、関係者にとって完全にイレギュラーな出来事であることは間違いないので、惑わされてしまう部分があるのは否めません。
また、最も“下流”での介入である〈試行第五回目〉での落下地点の変化という結果は、よく考えてみると、ピンポイントの介入に合わせてピンポイントの“カウンター”(*5)を決められたようなもので、何者かの作為を疑うに足りるものではあります。しかし、西澤保彦『七回死んだ男』をはじめこの種の作品での定番の展開(*6)を踏まえると、少なくとも〈試行第六回目〉までどうやっても真太の転落死を止められないのは物語上の“既定路線”である(*7)上に、前回の学校テロに比べると格段に穏当な(?)結果ゆえに、ピンポイントの介入に見合った程度の変動のように思わされてしまうところがあり、試行の順序が有効に機能している感があります。
*1: 「全試行関係データ」で“ユリの爆死”
(399頁)とされているのをそのまま引いてきましたが、(後述するように)実際にはユリも転落死のはずです。
*2: アイザック・アシモフ『永遠の終り』に登場する、“最小必須矯正{ミニマム・ネセサリー・チェンジ}”――と“最大有効反応{マキシマム・デザイヤード・レスポンス}”――という概念を思い起こさせます。
*3: 計画そのものもさることながら、青崎の学校テロを阻止した上で、真太の死を回避するための協力まで取り付けているのがすごいところです。
*4: P-CMRがあるとはいえ、最初の事故のような肉体ごとのタイムトラベルを再現できる可能性は、完全になくなるといっていいでしょう。
*5: 見事に『受け止め作戦』だけが“キャンセル”されているわけで、これも“受け止め作戦”と同様に“最小必須矯正”(↑を参照)といってよさそうです。
*6: (すぐに思い出せるところでは)ジェイムズ・P・ホーガン『未来からのホットライン』や堀晃「過去への声」(『地球環』収録)などのように、“過去を改変しても似通った結果になってしまう”展開。
*7: “解決篇”となるべき最終試行の前の回まで繰り返されるはず、というのはもちろんのこと、それによって真太が“七回死んだ男”ならぬ“七回殺された男”
(503頁)となる、という点でも(ついでにいえば、本書での“七月七日”は、『七回死んだ男』の“一月二日”と同じく九度あります)。
作中の“解決篇”である〈試行第七回目〉での検討におおむね沿った順番で、ここでもそれぞれの試行を検討してみます。
- ・〈試行第四回目〉の検討
七夕イベント関連では最も“上流”での介入となる、『七夕イベント中止作戦』という“力業”で、実はそれ自体は学校テロの直接の原因ではないとはいえ、それに付随する出来事が結果に大きく影響しているのは確か。すなわち、青崎自身が説明しているように[1.光夏の態度]と[2.屋上の鍵の返納]が学校テロの直接の“トリガー”であり、また[3.真太の呼び出し]――そして音楽室が使えなかった(*8)ために真太が屋上に向かったことが、真太らが青崎と遭遇する原因となっています。
ただしよく考えてみると、屋上の鍵の返納は本来あり得ないはず。返納は、吹奏楽部の仲間たちが屋上に出るのを防ぐため――つまり光夏の認識では当然“棒鍵を使わなければ屋上に出られない”(*9)のですから、光夏自身が屋上にいる未来人と接触できなくなることは予想してしかるべきで、ケアレスミスにしてもうかつにすぎるでしょう(*10)。ましてや、後述する〈試行第三回目〉の記憶を持っている光夏としては、鍵の返納が“抑止力”になると考えるかどうか、微妙なところです。
それはさておき、青崎という“伏兵”の出現により予期せぬ形で真太が転落死を遂げたことで、“運命は変えられないのではないか”とも思わされてしまうところ、学校テロが青崎の自由意思の結果であることに始まり、〈オリジナル〉・〈試行第四回目〉・〈試行第五回目〉の比較によって“運命”を否定してみせる手際が実に鮮やかですし、そこからフーダニットにつながっていくのが非常に面白いところです。
ところで犯人の側からみると、そのままではCMRを“凶器”として使えない状況ですから、学校テロが起きなかった場合にはどうするつもりだったのか気になりますが、光夏が真太に事情を説明するとなれば、その後に真太が屋上へ来ることは十分に期待できる(*11)でしょうし、あとは(時間差はあるものの)〈試行第三回目〉と同じような手が使える、という目論見は成立するのではないでしょうか。
*8: 〈試行第三回目〉で英二が、
“音楽室は保護者会の会場”
(264頁)になっていることに言及しています。
ちなみに、〈試行第一回目〉の光夏(181頁)と〈試行第二回目〉の一郎(225頁~226頁)も同じように、部活の直前に保護者たちが学芸棟から出ていくのに気づいていますが、この二人は〈試行第三回目〉の英二と違って〈オリジナル〉の七月七日の記憶を持っているため、光夏が目にするのは二度目、一郎に至っては三度目のはずで、(理由がわからないのはともかく)初めて見るような感想になっているのはやや不自然な気がします。
*9: 実際にはもちろん、青崎が棒鍵で施錠していないために、校内側からはサムターン錠の操作だけでドアを開けることができたわけですが。
*10: 光夏が考えている“オートロック”(299頁)にしても、一旦校内側から解錠しないことにはどうにもなりません。
*11: 光夏は、ハルカとユリが同席することを想定しています(302頁)が、その後に二人が屋上に戻る際に(例えばCMRの様子を見るためなど)同行することはあり得るでしょう。
- ・〈試行第一回目〉の検討
最初の試行は、一郎が真太を楽器店に連れ出すというもので、確かに少々安直な口実ではありますが、メールの返事をみても真太が一郎を振り切ることまで予想できるかといえば微妙で、屋上での光夏の対応も含めて、“ケアレスミス”や“ポカ”とまでいうのはやや酷な気が……。いずれにしても、真太が屋上に現れたことに何ら作為がないというのはそのとおりでしょう。
逆に、ハルカが指摘している(411頁)CMRの予期せぬ爆発以外に犯人の作為がないのは、犯人の計画(*12)からすると不十分ではないか……とも思いましたが、この時点では必ずしも犠牲者が真太でなくてもよかった(あるいは真太が屋上に現れたところで計画を思いついた)、ということはあるかもしれません。
*12: スリープモードにしたはずのCMRがなぜか爆発したことをみても、〈試行第一回目〉にしてすでに犯人の計画が始まっていることは明らかです。
- ・〈試行第五回目〉の検討
この回ではまず、〈試行第四回目〉の結果を受けた青崎との“和解”にやはり胸を打たれます(*13)し、その青崎が“受け止め作戦”にこれ以上ないほど全力で協力してくれているのも熱いものがあります。そして落下位置の変化という結果に対して、初期条件と変動率を手がかりに、人為的な改変――CMRの爆発に細工をした犯人の存在を浮かび上がらせる議論が実に見事です。
ちなみに、作中での初期条件についての議論では、〈試行第一回目〉との比較に続いて他の回でも落下位置が同じだったとされています(418頁)が、〈試行第四回目〉と〈試行第六回目〉はCMRの爆発によるものではないので、“初期条件が同じ”とはいえないでしょう(*14)。
さて、CMRの爆発が意図的に“凶器”として使われたとなれば、未来人の犯行であることは確実といってもよさそうなところ、青崎の爆弾の存在によって現代人が犯人である可能性が残るとされているのは、あくまでも一足飛びに結論が出るのを防ぐための議論としては巧妙。というのも、仮に学校テロより前に青崎の爆弾の存在を知っていた現代人がいたとしても、既存の初期条件を(ある程度任意に)変更できればいいこの回だけならともかく、現代人には〈オリジナル〉の七月七日で未知のCMRを爆破することができない以上、〈試行第一回目〉から〈試行第三回目〉で〈オリジナル〉の初期条件を再現できないからで、実質的に犯人は未来人に限られます。
*13: 歴史が確定する〈試行第七回目〉でも、(七月八日以降にでも)機会があればいいのですが……。
*14: 裏を返せば、初期条件が異なる〈試行第四回目〉と〈試行第六回目〉で――犯人が直接関与している〈試行第六回目〉はまだしも、青崎の自由意志であり偶発的な転落である〈試行第四回目〉まで落下位置が同じだったというのは、さすがにできすぎといわざるを得ないところです。
- ・〈試行第二回目〉の検討
〈試行第一回目〉の計画を踏襲しつつ、一郎を連れ出す口実を補強して確実を期したはずが、真太が受け取った『謎のメール』のせいで台無しに。このメール、爆発直前に真太が光夏と“密談”していたことを考えると、光夏が送った可能性が高いようにも思われますが、光夏が視点人物となった〈試行第一回目〉ではそのような気配がかけらもないのが困ったところです。
もっとも、この回の光夏は〈プレイヤー〉ではなく〈NPC〉であり、また真太が七夕イベントの前に不在なのは(おそらく)〈オリジナル〉と違う展開なので、光夏が事情を知らないがゆえに〈試行第一回目〉と違う行動を取る可能性もなきにしもあらず。そしてそもそも、未来人には(動機以前に)メールを送る手段がない一方で、現代人には動機がない――とりわけもう一人の〈プレイヤー〉である詩花には真太を殺す動機がない(*15)ので、殺意を持った犯人の存在を疑いにくくなっている部分があります。
しかして、確かにそれぞれの証言の中で匂わされてはいるものの、改めて明示されるとやはり痛みをもたらす光夏・真太・詩花の告白(と失恋)を経て、詩花が抱える光夏への殺意(*16)が明るみに出され、さらにその伏線や手がかり――光夏のスマホを使うためのパスワードの入手や、爆発直前の『プレイヤーの行動』などが、“犯行”に及んだ記憶がないにもかかわらず“犯人”自身の口で説明されていく(ことを余儀なくされる)のが何ともいえません(*17)。
手がかりの中では、
“何かの言葉を溜息みたいに囁いた”
(234頁)描写が実はパスワードを暗証していたというのがお見事。この描写、詩花が〈NPC〉であり(*18)、『謎のメール』が送られていない〈試行第一回目〉にもある(191頁)(*19)(さらに〈試行第三回目〉にもある(269頁))のがくせもので、〈試行第三回目〉の英二ならずとも“どのみち発生するイベント”
(269頁)――光夏と詩花が〈NPC〉でも同じように発生する、事件と直接関係のないイベントだと思わされてしまうのが、実に巧妙です。*15: 結局のところ真太だけが毎回死んでいるという状況が、他の人物に対する殺意を隠蔽するミスディレクションとして機能しています。
*16: しかしこれについては、作中で追及されていないのが救いですが、光夏だけが犠牲になった場合でも試行が繰り返されるのは確実ですから、トリクロノトンが尽きるまで光夏を殺し続けるつもりだった……のかどうか。
*17: 露骨にハルカに悪感情を抱いていた詩花は、視点人物とするには難がある――ということもあってあまり違和感がありませんでしたが、“視点人物(中略)は嘘を吐かない”
(410頁)ことが検討の前提とされていることを踏まえれば、〈プレイヤー〉の中で詩花(とユリ)だけ“証言”がないのは、よく考えてみればかなりあからさまです。
*18: 〈オリジナル〉から〈試行第一回目〉までの間には、詩花と犯人が二人だけで接触する機会も、詩花が“自分宛ての手紙”を書く機会もないので、〈試行第一回目〉ではまだ犯人に操られてはいないはず。そしてそれは、ここで詩花が“スマホを持っていない”という話がまだ出ていないことでも裏付けられます。
*19: これについては作中で説明されていませんが、その直前のやり取りで光夏と真太の関係を疑った詩花が、光夏のスマホ(メールなど)を盗み見しようとした、と考えることができるのではないでしょうか。
- ・〈試行第三回目〉の検討
〈試行第一回目〉・〈試行第二回目〉の結果から、真太が七夕イベントに参加するのは不可避として、七夕イベントの方を前倒しにすることでHアワーを避ける『時間ずらし作戦』が採用されています。しかし犯人からすると、この時点ではどうしてもCMRを“凶器”にするしかないこともあって、犯人(及び作者)が最も無理をしている回で、それゆえに、光夏の『謎のメール』に一郎の『謎のメール』、真太が屋上に戻ってきたこと、真太と〈プレイヤー〉である一郎の屋上での『謎の行動』、ユリの“爆死”、そして午後から七夕イベントにかけての一郎の『謎の行動』など、不可解さが盛りだくさんとなっています。
このうち光夏の『謎のメール』については、〈試行第四回目〉での光夏とハルカのやり取りで経緯が説明されています(289頁)し、同時に一郎がCMR内にいたことも語られている(290頁)ので、一郎の『謎のメール』も本物だと考えてよさそうです。ただし、光夏が工具箱を忘れたことを
“言われてみれば(中略)思い出して”
(289頁)いる――そしてその相手は詩花しかいない――のが目を引きます。また、真太が学校に戻ってきたことの裏には、〈試行第二回目〉と同様に『謎のメール』がある可能性が高いと考えられますが、光夏から英二宛てのメールの
“また真太に怒られない内に”
(279頁)という文面をみても、学校に戻ることを光夏が真太にわざわざ知らせるはずがない――そして一郎も、“他の仲間にも相談できない”
(278頁)ので英二だけを呼んでいる――とすると、これも残るは詩花だけ。しかしこの回の詩花は〈NPC〉なので、試行に関する記憶がない……はずが、詩花自身からの手紙――“時を越えた手紙”という“反則技”を介して、未来人と〈NPC〉の共犯関係が成立しているのに仰天。“世界線”(クロノキネティック・コア)のあまりに常軌を逸した使い方であるため、さすがに読者が思い至るのは不可能に近いのではないかと思われますが、それが可能であることを示す記述は確かにあるといえばあるので、渋々ながら(苦笑)納得せざるを得ないところでしょうか。
そして、堂々と描かれている詩花からユリへの差し入れの裏側に、スマホの受け渡しが隠されているのが巧妙です。ただし、〈試行第二回目〉から(←前述)〈試行第七回目〉までずっと続いていたと考えられるこの共犯関係ですが、差し入れができるのはもちろん詩花が〈プレイヤー〉の回のみで、詩花が〈NPC〉の回は別の形でスマホを渡していたことになります。それを経験として記憶していれば別だったでしょうが、
“これまでの歴史どおり、きっと詩花さんが気付いてくれる”
(385頁)という〈試行第七回目〉での致命的な失言は、〈NPC〉であるがゆえに急いで知識を頭に入れた“付け焼刃”らしい失敗といえます。ちなみに、早い時間にイレギュラーな事態が起きた〈試行第四回目〉はともかく、〈試行第五回目〉では〈プレイヤー〉である詩花の動きが驚くほど描かれていない一方、ほぼ〈オリジナル〉をなぞって詩花の望まない結果に終わったわけで、その裏でどのような合意がなされていたのか気になりますが、結果から逆算して考えてみると、詩花が納得できそうなのは、“爆発を変化させて光夏を転落死させる(つもりだったがうまくいかなかった)”といったところでしょうか(*20)。
真太と一郎の屋上での『謎の行動』は完全に意味不明ですが、真相が明かされてみると――〈試行第六回目〉でもそうですが――〈コンシーラー〉・〈強制入眠剤〉・〈圧力注射器〉といった便利なガジェットが便利に大活躍しすぎ(苦笑)ではあるものの、まあそこはそれ。注目すべきは、
“ハルカ危ないっ!!”
(282頁・288頁)というセリフの時間差トリック……もさることながら、ぎりぎりまで一郎を操ることで犯人自身も爆発に巻き込まれるのを前提とした、(“繰り返し”ありきとはいえ)光夏が述懐するように“自分が死ぬことを計画に組み込める。もちろん自分が生き残るために。”
(389頁)という、犯人の計画の凄まじさではないでしょうか。*20: もっとも、
“『反省検討会』をする余裕なんて無かった。”
(352頁)〈試行第五回目〉の夜に、詩花の提案で(356頁)CMRの解体・爆破が決定された(354頁)とすると、〈試行第五回目〉でうまくいかなかった場合の〈試行第六回目〉の作戦まで、犯人と詩花の間で事前に共有されていた節があります。
*さてこの回の問題はまず、この章そのものの叙述――英二の“証言”にあります。視点人物である英二は、14:00頃の最終打ち合わせを最後にハルカと接触することのないまま、最後の場面の直後に死亡し、同時に真太・一郎・ユリが死亡。その時点でハルカは意識不明、詩花は帰宅、そして光夏はまだ屋上に到着していないので、英二からハルカに伝わらない情報が多々あることになります。
「試行3-15」の冒頭で光夏と別れるまでの出来事(のある程度の部分)や光夏の『謎のメール』は、後から光夏が補足することができますし、CMR内にいた一郎の『謎のメール』はその場でハルカに伝えることもできるでしょうが、少なくとも英二が屋上に到着してからの出来事は、ユリの台詞はおろか真太と一郎の『謎の行動』まで――ついでにいえば
“潮の香り”
(280頁)も――他の誰も補足も推測もできないので、英二自身の言葉を借りれば“それが書けたはずがない”
(392頁)といわざるを得ません(*21)。台詞の時間差トリックなどをみる限り、犯人は英二か光夏が証言者として生き残ることを想定していたはずですが、〈NPC〉の光夏が間に合っていればまだしも、事情を知っている〈プレイヤー〉である英二が――真太への特別な感情を抜きにしても――離れた場所で生き残るのはかえって不自然ともいえるので、難しいところではあります。加えて、(光夏よりも“鋭い”)英二が生き残った場合には、後述する理由で『反省検討会』が大変なことになるおそれが……ということで、この部分だけ“神の視点”で記録されているのは、致し方ないところかもしれません。
*21: 後に〈試行第五回目〉でも視点人物(光夏)が死んでいますが、そちらではハルカ自身を含めて複数の目撃者がいるので、状況は十分に把握できます(光夏の内面描写については、
“小説的技巧”
(392頁)で何とかなる範囲内でしょう)。
*この回についてはもう一つ、犯人の計画そのものが相当な綱渡りになっているのも苦しいところです。最もわかりやすいのは、「試行4-2」に置かれた光夏とハルカの『反省検討会』でも疑問視されている(293頁)CMRの爆発の時間差で、ここではなぜか(?)深く追及されていないものの、犯人への疑いを抱かせるには十分ですし、台詞の時間差トリックまで一気に露見しかねない危うさです(*22)。
さらに『反省検討会』でも言及されていない問題がまず、ユリの死に方の矛盾です。「全試行関係データ」をみてもハルカの認識では“CMR内で爆死した”ことになっているようですが、一郎を操っていた状況からすると実際には真太らとともに転落死したはずで、(ややわかりにくく書かれているものの)〈試行第四回目〉での光夏の証言(*23)もそれを裏付けています。加えて、一緒にCMR内にいたはずの一郎まで転落死を遂げたことも、ハルカからするとわかりやすい矛盾でしょう。
このように、この回の犯人の計画では真相の少なくとも一部を隠蔽しきれない――ということは犯人も当然予想してしかるべきで、最初からかなり無理筋の計画といわざるを得ないのですが、しかし『時間ずらし作戦』から必然的に生じる状況ゆえにいかんともしがたいのも事実。というのも、犯人が直接“手を下す”――七夕イベントと違って犠牲者を所定の位置に移動させてやる必要があるからで、しかもよりによってHアワー直前のタイミングでは、後の〈試行第六回目〉のように犯行の際にハルカを追い払うことも難しいでしょう。
もう少し細かいところをみると、例えば〈プレイヤー〉の人選については、“未来人と〈NPC〉の共謀による犯行”を実現できるのは実質的にこの回だけ(*24)なので、(作者としては)詩花は〈NPC〉にせざるを得ず、英二と一郎が〈プレイヤー〉となることは動かせないでしょう。そして一郎が〈プレイヤー〉であれば、性格的・心情的にHアワーの前に屋上に来るのは不可避で、ハルカと一郎の二人をごまかすのは厳しいことから、一郎は犠牲者にせざるを得ません。また、爆発後に詩花が呼び戻されて次回の〈プレイヤー〉となる可能性を考えれば(*25)、詩花との計画どおりに光夏と真太を呼ぶ必要はありますし、少なくとも真太が犠牲者となることは確定(*26)。そして英二については、光夏からのメールは犯人が感知するところではないでしょうが、少なくとも一郎のメールで屋上に戻ってくることは予想できるので、証言者もしくは犠牲者として計画に組み込むことになります。
……と、このように考えるとほとんど計画を改善できそうな余地がなく、結局は無理筋であっても作中の計画でいくしかなかった、ということになりそうです。これで英二が生き残っていれば、『反省検討会』で鋭い追及をみせて、一気に犯人の糾弾まで進んでしまったかもしれませんが、光夏とハルカだけなので何とかなった(?)のは犯人にとって僥倖……というか、犯人自身が死亡しために、次回は〈NPC〉で罪の記憶がない(と考えられる)ことが、追及をためらわせる要因の一つとなっている部分はありそうです(*27)し、犯人としてはそこまで計算した上で自分が死ぬことを計画に組み込んだのかもしれません。
*22: 前述のように、本来であれば英二の“証言”は残らないはず……ではあるのですが、光夏が真太らの転落を目撃していることで爆発の時刻自体は確定し、ユリの台詞にかかわらず爆発の時間差の問題は残ります。
光夏の到着がもっと遅ければ爆発の時間差は露見しませんが、その場合、屋上からの転落死であることがすぐにわからずに、ハルカが屋上に放置されてしまうおそれがあります。
*23:“その犠牲者とはもちろんユリだ。”
の前に“屋上から転落して死んでしまったのは、真太・一郎・英二の三人だけじゃなかった。”
(いずれも286頁)とされている上に、屋上へ来た理由として“現代側三人の即死は確実だったし、顔も見たことのない不思議な制服を着たおんなのこまでいたから”
(288頁)と、ハルカに説明しています。
*24: 〈試行第二回目〉で詩花が〈プレイヤー〉になって初めて共犯関係が構築されるのは前述のとおり。そして〈試行第四回目〉・〈試行第五回目〉は、〈NPC〉であろうがなかろうが詩花が関与する余地がなく、残る〈試行第六回目〉はタイミングと内容を考えると、最初から事情がわかっている〈プレイヤー〉でなければ厳しいのではないでしょうか。
*25: 犯人自身が死んでしまうので、次回の〈プレイヤー〉の選定にまったく関与できません。
*26: 〈試行第一回目〉くらいであればまだしもこのあたりまでくると、もしも生き残った真太が〈プレイヤー〉になった場合には、犯人にとっての不確定要素が大きすぎる――次回の犯人は試行の記憶を持たない〈NPC〉であることにも注意――ので、確実に殺しておかなければなりません。
*27: その後も、〈試行第四回目〉では犯人の介入がなく、〈試行第五回目〉では意図的なのかどうか判然としないピンポイントの介入なので、〈試行第六回目〉の“ド派手な”介入でようやくハルカは再びユリに疑いを向けることになった、といったところでしょうか。
*さらに細かいところでは、この回自体の問題ではありませんが、屋上の鍵の扱いが少々気になります。“共犯者”である詩花は、犯人の指示で棒鍵での施錠をしなかったと考えられますが、下校時に
“屋上の鍵を正門で返納”
(276頁)するのはもちろんです。したがって、学校に戻った光夏が屋上に出るためには正門で屋上の鍵を再び借り出す必要があり(*28)、また当然そうしたはずです。ところが、借りた鍵を使う前に真太らが屋上から転落してきたわけですから、光夏は“棒鍵を使わなくても屋上に出ることができる(かもしれない)”程度までは考える(*29)のが自然ではないでしょうか。そうすると続く〈試行第四回目〉で、“屋上の鍵を返納すれば屋上に出られない”という発想は出てこないのではないかと思われます。
*28: 一郎は、
“入れ違いになる形で(中略)午後九時〇五分”
(290頁)に屋上入りしているので、詩花が鍵を返納する前だと考えられます。
*29: 正門で借りた鍵はもちろん『屋上1』ですから、冷静に考える余裕があれば『屋上2』の鍵の存在にまで思い至り、“真太らは『屋上2』の鍵を使うことができたのではないか”と推測することも、不可能ではないかもしれません……が、実のところ光夏は〈試行第四回目〉で、“全然気付かなかったし、想像すらしていなかった”
(312頁)と独白しています。
- ・〈試行第六回目〉の検討
『謎のメール』と『謎の行動』が〈試行第三回目〉との“公約数”とされていますが、[1.ハルカの知らぬ間に屋上で変事が発生]・[2.ユリが死亡]というさらなる“公約数”が存在しています。前者は“ハルカの目を盗む必要があった”ことをあからさまに示していますし、後者はおなじみの“バールストン先攻法”(*30)と考えれば犯人は明らか。特にこの回では、
“立ち上がったら……もうその瞬間、いきなりズドン。”
(369頁)という証言の矛盾(*31)もさることながら、どうみても散弾銃とは違う“肩と左胸のあたりに弾丸が貫通した跡”
(369頁)の手がかりが露骨です。この回の『謎のメール』は真太からのものですが、締めがいつもの
“楠木拝”
(176頁など)ではなく“楠木真太”
(371頁)になっている(*32)のも露骨な手がかりです。ここで、真太の端末を手に入れる機会として、〈試行第一回目〉から再三言及されてきた図書館関連のイベント――介入がなければ真太と詩花が図書館で出会う――がうまく使われているのが見逃せないところですし、強制入眠の現場となる図書準備室についてもしっかり説明されている(155頁)のが周到です。しかし、この回の詩花の計画について、光夏は
“『真太にあたしを殺させる』ってシナリオ”
(496頁)だと推理していますが、これはどうでしょうか。いくら何でも悪趣味すぎではないか、ということもありますが、詩花が打ったとされる(491頁)真太からの『謎のメール』と整合しないように思われるのが問題です。“もうやり直しなんて……必要なかったのに”
(367頁)という詩花の叫びをみると、この回で歴史を確定させるつもりだったことがうかがえますが、光夏一人の犠牲でもやり直しを止めるのは難しいところ、全員屋上に集合させてしまえば大惨事は避けられず、どう考えてもやり直しをする羽目になるからで、全員にメールを送ったということはもっと穏当な計画だったと考えるのが妥当でしょう(*33)。*30: 〈試行第三回目〉では犯行の都合上、犯人自身も巻き込まれて死ぬことが避けられないこともありますが、この回では完全に、被害者を装うことで容疑を免れようとする“バールストン先攻法”になっています。
*31: ただし、“詩花さんか一郎くんだと思って……打ち合わせどおりに合流してきたんだと思って……”
(369頁)ということであれば、その時点で(撃たれる前に)〈コンシーラー〉を解除した可能性もなくはないように思います。
*32: 〈試行第四回目〉にもう一箇所“楠木真太”
(305頁)があるのですが、これは光夏の即座の返信を受けた二通目だからかもしれません。
*33: 本当に光夏を殺して歴史を確定させるつもりであれば、まずは光夏だけを屋上に呼び出して、ハルカがトイレに行っている間にこっそり殺害し、とりあえず死体を〈コンシーラー〉で隠すのが正解でしょう。そこから先はかなり難しいですが、自分の意思で失踪したと見せかけて何とか三日間乗り切ることさえできれば(その間に死体を何とか処分する必要もあるでしょうが)、残り六本のトリクロノトン(一人で使えば72時間分)では誰も犯行前に遡ることができなくなります。
〈試行第六回目〉までの時点で、具体的な細かい部分は別にしても、〈ユリが犯人〉であることはほぼ明らかになりますが、それでも犯行の動機が強力な謎として立ちはだかります。少なくとも真太だけは毎回殺されていることからして、真太を殺すことが目的であるようにも思えますが、その理由は皆目見当がつかない上に、トリクロノトン(*34)がある限りは何度殺しても歴史が確定しないことも、動機を考える上でネックとなっています。
しかして、トリクロノトンを得るためにクロノトンを蓄積させる(*35)という動機が非常によくできています。技術的にはかなり“現実離れ”しているようにも思われます(*36)が、死んだ人間からクロノトンを抽出できるところまでは書かれている(111頁)ので納得ですし、真太殺しではなく繰り返しそのものにメリットが隠されていたところが秀逸。と同時に、親友であるはずのハルカを含めた関係者一同を、(身も蓋もない表現をすれば)“原材料”と見なした犯行計画の凄まじさに圧倒されます。
また、ハルカが“にせんよ……”
(124頁)と口を滑らせたことも動機の手がかり……のようにも読めるかもしれませんが、長官がいうところの“現実に、そこにあるものを再現する。”
(530頁)という“イカサマ”もあったとはいえ、理論すら欠片もない段階からわずか30年弱でCMRを開発できるとは(常識的には)考えられない(*37)ので、これは光夏が“繰り返しによってトリクロノトンを得る”という動機を先に見抜いておいて、そこから、繰り返しで得られるトリクロノトンで十分足りる程度の未来――2400年代ではなく2040年代がユリの“目的地”だと“決め打ち”した、という方が自然でしょう。
しかし、このハルカの失言は〈オリジナル〉の七月七日の出来事であって、その後に〈NPC〉となったことで光夏自身の記憶は途切れているので、〈試行第七回目〉の光夏にとってはハルカの記録しか手がかりがないわけですが、いくら“視点人物(中略)は嘘を吐かない”
(410頁)ことが前提とされているとはいえ、自身の失言をわざわざ記録に残すのはフェアプレイがすぎるような気がしないでもありません(苦笑)。
まさかの英二の“裏切り”(*38)に始まる事件の決着も、ハードではありますが納得できる落としどころといえるでしょう。ユリは〈試行第七回目〉ではまだ罪を犯してはいないものの、クロノキネティック・コアの記録で自身の罪を把握した上で、継続して罪を犯す意志が固いとなればやむを得ないところでしょうし、特にハルカとしては何としても光夏を守らなければならない――というのは、光夏が自分の母親(→「親殺しのパラドックス - Wikipedia」も参照)というだけでなく、CMRの開発者その人である(516頁)からで、光夏が死んでしまえば改変の影響がとてつもないことになってしまいます(*39)。
光夏が“ハルカの正体を確信”
(527頁)するに至った根拠はよくわかりません――ユリは気づいていないと考えられる(*40)ので、光夏とハルカの個人的な感覚がメインなのかもしれません――が、ハルカによる記録が“まさに『この本』”
(393頁)、すなわち『序章 ――未来』まで含めた本書ということであれば、そこに記された“因果庁長官、ミカ・トキカワ”
(7頁)の名前、そして“私は知っているの。”
(12頁)という長官の言葉を糸口にできるかもしれません。いずれにしても、“光夏が確信した”こと自体が、読者に向けた手がかりとして用意されているといえるのではないでしょうか。
検討の中で明らかにされないまま残された〈試行第三回目〉での一郎の『謎の行動』については、『終章 ――七月八日』でハルカが独白している(545頁)ように手がかりが用意されていますが、本筋である試行の裏に青春らしいロマンスを密やかに盛り込む手際がしゃれていますし、(授業や部活をサボりさえすれば)一郎がかなりフリーになる〈試行第三回目〉にうまくイベントを組み込んであるのも巧妙です。そしてそれが、死を覚悟したハルカを土壇場で救う鮮やかな結末につながっているのがお見事(*41)。いや、“母親として、厳しく止めたくなる。”
(549頁)のもわからなくはないのですが……(苦笑)。
*34: 本筋とはまったく関係ありませんが、“トリ~”、すなわち“tri-”を思わせるネーミングは、クロノトンの三量体かと誤解しそうになるので気になります。
ついでにいえば、“トリクロノトン6㎕”は、そのままでは取り扱いが難しいので希釈して液量を増やすのが普通ですが、最後のアンプルのすり替えを成立させるためには、一見して空かどうかわからない状態でなければならないので、やむを得ないところでしょう。
*35: 「全試行関係データ」にクロノトンの蓄積量が手がかりとしてしっかり示されているのですが、致死量の問題があることから、そこで示されてもまったく不自然さがないところがよくできています。
*36: CMRやP-CMRの陰に隠れている感がありますが、“望む体液を抽出することも(中略)望む成分とかを抽出することもできる”
(59頁)という〈圧力注射器〉もまた、どうやったら実現できるのかわからない“オーバーテクノロジー”といえます。
*37: “ヴェガ爆発”から20年以内――ハルカが“大移住前の……二〇三六年”
(523頁)を目指していたということは、翌年にはすでに地球を離れていたと考えられます――に700万人が火星軌道のコロニーで暮らすようになっている(515頁)という大事業も含めて、技術の発展・開発が異常な速度になっていますが、これはもう、そういうものとして受け入れるしか。
*38: ハルカは英二の動機を指摘しています(520頁)が、例えば“もし玉を詰めてもよいなら”
(276頁)といった英二の内面は、本来ハルカが知る由もないのは前述のとおりです。
*39: 幸いなことに、〈試行第二回目〉や〈試行第五回目〉で光夏が死んだ際に、CMRやP-CMR、あるいはハルカが即座に消滅するような事態にはなっていませんが……。
*40: 光夏がハルカの母親だと気づいていれば、上述のようにP-CMRが消滅するおそれもある光夏殺しは、ユリとしても防ごうとするはずです。
*41: 〈試行第七回目〉の一郎にはそれまでの試行の記憶がありませんが、同様に〈NPC〉だった〈試行第五回目〉の後でも“ハルカさんの役に立ちたい”
(351頁)と強く主張していますし、ハルカの記録を読むことでさらに想いを強くした、といったところでしょうか。