七年目の脅迫状/岡嶋二人
1983年発表 講談社文庫 お35-2(講談社)
発端となった中央競馬会への脅迫状が、完全にダミーでしかなかったという真相が面白いと思います。犯人が、“花岡弘介”を探し出すだけのために途方もなく大がかりな計画を実行せざるを得なかった、というところも印象的です。
何人もの思惑が絡んだ結果、“群盲象をなでる”を地でいくかのような形になっている複雑な事件の構図はよくできていると思いますが、数々登場する怪しい人間たちが揃いも揃ってそのまま悪人だというのは、やはり面白味を欠いていると思います。
2005.11.07再読了