huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye
楚辞 九歌 国殤



                     
國殤 
           

            
          『楚辭』九歌


操呉戈
被犀
車錯轂短兵

旌蔽日敵若

矢交墜士爭


凌余陣

左驂殪右刃

霾兩輪

援玉撃鳴

天時墜威靈

嚴殺盡棄原


出不入往不

平原忽路超

帶長劍挾秦

首身離心不

誠既勇又以武,
終剛強不可

身既死神以

魂魄毅


    **********************

              國殤
          

呉戈を 操りて  犀甲を 被ひ,
車は 轂
(こく)を 錯して  短兵 接す。
旌は 日を 蔽りて  敵は 雲の若く,
矢は 交も 墜ちて  士は 先を 爭ふ。

余が陣を 凌ぎて  余が行を み,
左の驂は 殪
(たふ)れて  右は 刃傷す。
兩輪 霾
(う)まりて  四馬 (まつは)る,
を 援
(と)りて  鼓を 撃ち鳴らす。
天時 墜ちて  威靈 怒り,
嚴く 殺され盡くして  原野に 棄つらる。

出でては 入らずして  往きては 反
(かへ)らず,
平原 忽
(はるか)にして  路 超遠たり。
長劍を 帶びて  秦弓を 挾み,
首 身 離るれども  心は 懲りず。
誠に 既に 勇なるのみか  又た 以って 武たらん,
(つひ)に 剛強にして  凌(をか)す 可(べ)からず。
身 既に死すれど  神 以て 靈し,
魂魄 毅
(つよ)くして  鬼雄 爲(た)り。

             ******************

◎ 私感訳註:

※國殤:殉国の士。国のために命を捧げた者を傷(悼)むこと。また、その対象。死国。『楚辭』の「九歌」の中心的なところに位置している。楚の国のために犠牲となった将士をを悼む多くの儀式の歌集『九歌』「東皇太一」「雲中君」「湘君」「湘夫人」…の中心を為す。古来、多くの解があるが、ここでは、文字の意に沿った解釈をしておく。これは、屈原の作と伝えられる。 ・殤:〔しゃう;shang1○〕わかじに。二十歳以前に死ぬこと。(外地にあって)わかじにすること。

※操呉戈兮被犀甲:(出陣した時のいでたちは)呉の国で造られたホコをあやつって、身にはサイの革のよろいをまとい。 ・操:あやつる。 ・呉戈:呉の国で造られたホコ。或いは、吾科。 ・戈:〔くゎ;ge1○〕ほこ。 ・兮:語調を整えるための言葉。この作品では「A…して Bに…」「…して」「…て」と、二つの用言句を並べる順接の接続詞「而」に近い働きをしている。各句は二分されており、「□□□兮~ □□~。」という歌い方で統一されている。騒体の特徴。 ・被:はおる。よろう。よろいを着る。 ・犀甲:サイの革で作られたよろい。 ・甲:よろい。

※車錯轂兮短兵接:戦車は、車軸を軋ませ合って(接近戦を行い)、刀槍を携えた歩兵は、接近戦を行った。 ・車:ここでは、古代の戦車を指す。 ・車錯轂:車は、車軸を軋ませ合い。接近戦をすることを謂う。軍船で云えば、「舷舷相摩す」というところ。 ・錯:交錯する。 ・轂:〔こく;gu3●〕こしき。車輪の中央の部分。車輪の中央の、軸が通っていて、輻(や)の集まる所。車輛。 ・短兵:刀剣類の武器。また、そのような武器を持った戦闘部隊、兵種。弓箭などの長距離に有効な兵種に対して謂う。

※旌蔽日兮敵若雲:軍旗は、天の日を覆い遮るかのように多数並び、敵の数は極めて多く、地を覆う雲霞のように見える。 ・旌:軍旗。はた。 ・蔽日:(軍旗が多くて)天の日を覆い遮るかのようで。 ・蔽:〔へい;bi4●〕おおう。 ・敵若雲:敵の数が極めて多いこと。雲霞のような大軍。敵の陣容が大規模で、地を覆う雲霞のように見えること。

※矢交墜兮士爭先:(両軍の)矢が交々墜ちてきて、我が軍の将士は、先を争って(敵に向かっていった)。 ・矢交墜:(両軍の)矢が交々墜ちてきて。 ・士:ここでは、楚軍の将士。 ・爭先:先を争って。われ先に。

※凌余陣兮余行:(敵は)我が軍の陣列を犯して、我が隊列を踏み越えてきた。 ・凌:犯す。しのぐ。 ・余陣:我が軍の陣列。 ・:〔れふ;lie4●〕ふむ。踏み越える。前に行く者の後を踏む。・余行:我が隊列。「行」は多音字。ここは韻脚になり、-ang韻(陽韻、唐韻)と解すべきところで、〔hang2〕行列、隊列、といった名詞が相応しい。

※左驂殪兮右刃傷:(馬で曳く戦車の)左の副え馬は斃れて死に、右の副え馬は、刀傷を負い。 ・驂:〔さん;can1○〕馬を四(三)列縦隊にして、横並びにさせた馬に曳かせた四(三)頭立ての馬車馬の、左右両端に位置する馬のこと。並んだ馬の外側の馬。そえうま。 ・殪:〔えい;yi4●〕死ぬ。たおれ死ぬ。倒される。また、たおす。殺す。ここは、前者の意。 ・刃傷:刀傷を負う。

※霾兩輪兮四馬:車輪が(泥濘に)埋もれて動きがとれなく、(戦車を曳く)四頭の馬は、纏わりあって。 ・霾兩輪:車輪が(泥濘に)埋もれて動きがとれなく、 ・霾:〔ばい;mai2〕つちふる。大風が土砂を空に舞い上げて降らす。土砂のために空が曇ること。また、埋める。≒埋。ここは、前者の意で使われる。 ・四馬:(戦車を曳く)四頭の馬は、纏わりあって。 ・〔ちふ;zhi2●〕つなぐ。へばりつく。とらえる。

※援玉兮撃鳴鼓:宝玉でできた太鼓のばちを持って、太鼓を打ち鳴らし。 ・援:とる。もつ。たすける。ここでは、前者の意。 ・玉:立派な宝玉でできた太鼓のばち。 ・:〔ふ;fu2〕ばち。太鼓のばち。 ・撃:打つ。「打」の字は比較的新しい文字。それ故、上古では出現せず、現代語では、多用される。

※天時墜兮威靈怒:天にある日月星辰が墜ちて暗くなり、戦闘が味方に不利になってきたので、陣没した味方の英霊は憤り。 ・天時墜:天にある日月星辰が墜ちて暗くなること。戦闘が味方に不利に展開してることの暗示。 ・天時:天象。日月星辰。或いは、天日。 ・墜:おちる。 ・威靈:陣没した英霊。 ・威靈怒:戦闘の苛烈さを謂う。

※嚴殺盡兮棄原野:残酷に、殺され尽くす。その他、多くの解がある。 ・棄原野:(屍体は)曠野にうち捨てられたままである。 ・嚴殺盡:残酷に、殺され尽くす。「嚴」をその他、多くの解がある。 ・棄原野:(屍体は)曠野にうち捨てられたままである。

※出不入兮往不反:(戦士は)出征すれば、(生きて)帰ることはない。 ・出不入:出て行っては、戻ってこない。 ・往不反:出かけていっては、帰ってこない。後代、戰國燕の荊軻の「易水歌」「風蕭蕭兮易水寒,壯士
一去兮不復還。」に同じ。 ・反=返。かえる。もどる。

※平原忽兮路超遠:曠野は、広くてとりとめがなく、路は、遥かに遠い。 ・平原:平原、曠野。 ・忽:広くてとりとめのないさま。忽荒。遥かである。無くなる。わずかである。たちまち。ここは、前者の意。 ・路超遠:路は、遥かに遠い。 ・超遠:遥かに遠い。 ・超≒迢。

※帶長劍兮挾秦弓:長くて鋭利な剣を帯びて、秦の産である名弓を手挟み。武装は解かない、ということ。 ・長劍:長くて素晴らしい剣。 ・秦弓:秦の産である名弓。
※首身離兮心不懲:(たとえ、)頭と胴体が離れるという殺されるめにあったとしても、心では後悔することはない。 ・首身離:頭と胴体が離れる。殺されるということ。 ・心不懲:心情は、懲りることがない。後悔しない。

※誠既勇兮又以武:まことに勇敢であるばかりでなく、その上に武力がある。 ・誠:まことに。 ・既勇:すでに勇敢である(ばかりでなく)。 ・又以武:その上、戦力としての実力がある。 ・既…又…:すでに……であるのみならず、また、……である。 ・勇、武:「勇」は個々人精神的な要素である、勇気があることを言い、「武」は、組織、勢力として、軍事的実行力を備えた、戦力として、優れていることをいう。この詩はここの「武」だけが韻脚となっていない。この句以外は全て韻を踏んでいるので、『楚辭』に収録される前に変容を遂げたのか。或いは「武」音は上代、楚の地方では、韻を踏んでいたのか?(下の「構成について」参照

※終剛強兮不可凌:(その戦意は、生命が)終わりになるまで、堅く強くて(何者といえども)犯すことができない。 ・終剛強:終わりになるまで、堅く強い。 ・終:終わりになるまで。ずっと。死ぬまで。・剛強:堅く強い。 ・不可凌:犯すことができない。

※身既死兮神以靈:肉体は既に死んでしまっても、英霊の魂は、霊異を起こす。 ・身既死:肉体はとっくに死んでしまっても。 ・神以靈:英霊は、霊威を示す。 ・神:英霊。死霊の精神。神霊。戦闘で陣歿した者の霊。ここでは「身」と「神」を対にして使っている。肉体と霊魂。 ・靈:霊異を起こす。霊威を示す。霊験があらたかである。

※魂魄毅兮爲鬼雄:魂魄は、剛毅であり、幽鬼の中の傑出したものである。ここは「子魂魄兮爲鬼雄」ともする。その場合、「子」は、なんぢ。あなたがた。の意。 ・魂魄:たましい。 ・毅:〔き;yi4●〕つよい。剛毅である。 ・兮:ここでの用法は、前出の用法と異なる。 ・鬼雄:幽鬼の中の傑出したもの。ここの「鬼」の意は、「護国の『鬼』」に同じで、死者の霊位。ここの語句を李清照は、その絶句「烏江」で使っている。





◎ 構成について

換韻。韻式は「aaBBCCddddeeFFFFF」。韻脚は「甲接 雲先 行傷 馬鼓怒野 反遠 弓懲凌靈雄」。遥か後世の異なった地方の平水韻ではあまり適切ではない。この作品の平仄は次の通り。

(「兮」は

○○○兮●●●,(a韻)
○●●兮●○●。(a韻)
○●●兮●●○,(B韻)
○○●○●○○。(B韻)

○○●兮●○○,(C韻)
●○●兮●●○。(C韻)
○●●兮●●●,(d韻)
○●○兮●○●。(d韻)
○○●兮○○●,(d韻)
○●●兮●○●。(d韻)

●●●兮●●●,(e韻)
○○●兮●○●。(e韻)
●○●兮●○○,(F韻)
●○○兮○●○。(F韻)
○●●兮●●●,
○○○兮●●○。(F韻)
○●●兮○●○,(F韻)
○●●兮○●○。(F韻)

「□□□兮 □□」が、この騒体の基本の句形で、

□□□兮 □□
□□□兮 □□

をひとまとまりとして、換韻をしている。

2003.7.11
     7.12
     7.13
     7.14完
2004.3. 7補
2005.5.31
2010.2.28

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