吉野懷古
如意輪臺不滅彫, 出師一首義長昭。 延元陵上君王魄, 請閲人間錦繍朝。 |
以下、平成十九年四月十二日撮影。 | |
如意輪の臺 不滅の彫, 出師の一首 義は 長(とこしな)へに 昭(あきらか)なり。 延元陵上 君王の魄, 閲するを請ふ 人間(じんかん) 錦繍(きんしう)の朝(あした)を。 ******************************** |
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楠木正行が四条畷の戦いに赴く時、吉野の宮において(後村上)天皇に今生の別れを告げ、先帝(後醍醐天皇)の御陵(延元陵)に参拝の後、正行は鏃で御堂の扉に「かゑらじと かねておもへば 梓弓 なき數に入る 名をぞとゞむる」(御堂の扉には確かに「かゑらじと…」になっているが「かへらじ」とするほうがよい)と辞世の歌を書き遺し、四条畷に赴いた。 世の中は平和になり、さくらの花のさかゆる御代となったのを天も知っていることだろう。 |
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・如意輪: | ここでは、如意輪寺を指している。写真:上方。 |
・彫: | 辞世の和歌は鏃(やじり)で剔(えぐ)るようにして書かれた。 |
・出師: | 軍勢を出すこと。楠木正行の四条畷への出兵を指す。諸葛亮に前後の『出師の表』がある。 |
・延元陵: | 後醍醐天皇綾。如意輪寺の横にある。写真:上方。 |
・長昭: | 「盡忠報國」の文字も鮮やかな岳王廟には、「常昭」とある。 |
・錦繍: | 錦(にしき)と、刺繍(ししゅう)をした絹織物のように美しいものの喩え。 |
平成十九年四月十二日 |
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