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 これは風散士雅兄の詩で、読み下しも風散士雅兄になります。
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   月蝕 其二

金蟾漸次滅明輝、
三五今宵光景違。
未聽寒宮有凶事、
嫦娥何閉緇幃。




金蟾
(きんせん)漸次(ぜんじ)明輝を滅し、
三五の今宵光景違ふ。
未だ聴かず 寒宮に凶事有るを、
嫦娥
(こうが)(なんぞ)緇幃(しゐ)を閉ざす 。

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 ※この詩は高橋藍川師の以下の詩をまねて作った。

 月蝕戲作        高橋藍川
儘凭欄角顧望  儘に欄角に凭(よ)って顧望(はるか)なり
不見玉輪天一涯  玉輪を見ず 天の一涯
或訝宮中凶事在  或いは訝(いぶか)る 宮中に凶事在るかと
宵來早下K窗紗  宵来早(つと)に下す黒窓紗(くろそうさ)

  蛇足 この詩は「藍川三体詩」に載っていた。第三輯まであるが、私が京都下賀茂神社境内の古本市で求めたのは、第二輯がなかったのではるばると紀州和歌山の、当時の上富田町下鮎川まで尋ねた。高橋藍川師は成道寺のご住持であった。現在はご令息の高橋湘川師が後を継いでいらっしゃった。

 非才を遠く下鮎川まで誘引したのは、とりもなおさず故藍川師の、多くの玉作に心を惹かれたためであり、また愚息の親孝行?のお陰である。
ご令息は私とほぼ同年齢で、先師が作詩されていた撃竹山坊にて、私の所持していない第二輯を拝見し亦、湘川師との歓談のうちにさまざまなことを学び、別れを惜しみ帰途についた。

 なお、高橋藍川師は昭和51年和歌山県より文化功労賞を、大本山妙心寺より「宗門文化賞」を、同52年には勲五等瑞宝章を下賜されている。
 


2007.8.30




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