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 これは井古先生の詩で、読み下しも井古先生になります。
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正倉院御物螺鈿紫檀琵琶

螺鈿細飾配泥金、
絢爛琵琶使眼擒。
誰匠心魂罩名器、
諸賢耳目選真
千年猶秘孤高耀、
一撥未聞幽妙音。
今若張弦任仙手、
靈犀非只伯牙琴。


螺鈿の細飾 泥金を配し、
絢爛たる琵琶は眼
(まなこ)をして擒(とりこ)にせしむ。
(た)が匠の心魂か名器に罩(こ)め、
諸賢の耳目は真
(しんちん)に選ぶ。
千年 猶
(なほ)秘む孤高の耀き、
一撥 未だ聞かず幽妙なる音。
今 若
(も)し張弦して仙手に任さば、
霊犀
(れいさい)は只伯牙(はくが)の琴のみに非(あら)ず。

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・泥金= 金泥。
・真 はたからもの。ここでは正倉院御物を指す。
・張弦= 弦は無かったので。
・霊犀= 人の意思が通じ合うことのたとえ。知音の意に使用。
・伯牙琴= むかし、伯牙の友人鍾子期(しょうしき)は伯牙の琴の音によって伯牙の心境までを理解できたという故事。知音。

※ 五六年前でしょうか、奈良国立博物館で正倉院展があり、この琵琶が出展されていました。 実物を拝見できたことで、大きな感動を覚え、この詩を作った次第です。
 後年ネット上を検索しましたが、当時わたくしが拝見した琵琶と異なるような気がします。色合いも、もっと焦げ茶色で紫檀の名にふさわしい感じのように覚えていますが、展示場が薄暗かったので若しかしてわたくしの勘違いかも知れませんが、琵琶の響口と言いますか、撥のあたる部分を金色(これを金泥と思った)に塗ってあったことを覚えています。若し当時の入館者で以上のようなことを、ご存知の方がいらっしゃいましたら、わたくしの方までお知らせ頂ければ幸いと存じます。わたくしのメールのアドレスはこちらです。



2007.9.21




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