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 これは井古綆先生で、読み下しも井古綆先生になります。
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赤穗城懷古 其一

謳歌元祿慣昇平、
誰測春雷搖赤城。
主惜短兵餘忿怨、
臣藏鴻志諭屏營。
臥薪嘗胆分褒貶、
沐雨櫛風掏璞瓊。
雌伏三年盡忠節、
長稱史股肱名。




 

元禄を謳歌して 昇平に慣れ、
誰か測らん春雷の 赤城 を揺るがすを。
主は短兵を惜しみ 忿怨ふんゑんを余し、
臣は鴻志をかくし 屏営をさとす。
臥薪嘗胆 褒貶 を分かち、
沐雨櫛風もく う しっぷう 璞瓊ぼくけいえらぶ。
雌伏三年忠節 を尽くし、
長しへに青史に称す 股肱 こ こうの名。

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・短兵: 短い兵器、ここでは脇差。
・屏営: (主を失って)ウロウロすること。
・沐雨櫛風: 正しくは櫛風沐雨、さまざまに苦労をすること。
・璞瓊: まだ磨かれていない玉(璞)と、美しい玉(瓊)。
・股肱: 主が最も頼りにする家臣。

 <特記> 浅野家旧家臣が吉良邸に討ち入りに際して、大石内蔵助は浪士の意思を厳選峻別した。多くの脱落者があり最後には四十数名となったが、拙詩ではこの史実を“褒貶”と“璞瓊”に表現した。脱落者に対して“褒貶”は致し方ないとして、“璞瓊”と表現したことに些か心が痛む。脱落者にもそれぞれ家庭の事情があったはずで、彼らは武士にあるまじき卑怯者と蔑まれ、生涯苦しみ抜いたであろうことは容易に忖度できる。
  また、そのご子孫も多くいらっしゃることであり、当詩においてやむを得ずこの語を使用したことにお詫びを申し上げたく思う。



2007.12.7




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