千里爲重,重山重水重慶府; 一人是大,大邦大國大明君。 |
千里爲重
千里は しと 爲す,
重山 重水 重慶府;
一人は 是れ なり,
大邦 大國 大明君。
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◎ 私感訳註:
※堯山堂外紀:・明太祖/監生:対聯でのことば(文字)遊び。析字。明・太祖・朱元璋がおしのびで出かけた際、飲み屋で重慶出身の監生と出会い、朱元璋は「千里爲重,重山重水重慶府」というと、監生は「一人是大,大邦大國大明君」と応えたので、朱元璋はいたく気に入ったと云う。「千里」から「重」を導き、「重」の語を繰り返し使い、それに対して、「一人」から「大」を導き、「大」の語を繰り返し使って対聯を作った。 ・堯山堂外紀:明末のものという。現在、原典を捜している。 ・明太祖:朱元璋。 ・監生:〔かんせい;jian4sheng1〕(明・清時代の国子監の)学生。
※千里爲重,重山重水重慶府:千里は(遥かに離れている遠方で)大変なものであり(「千里」の二字は「重」字となり)、山が幾重にも連なり重なり、川が幾筋も流れ隔てている(彼方に)重慶府がある。 ・千里:遥かに離れている遠方。「千」「里」の二文字を組み合わせると「(重)」という字になる。 ・爲重:難しとする。大変なものである。ただこの場合は〔ぢゅう;zhong4●〕と読むことになる。 ・爲:〔ゐ;wei2○〕…である。…となる。日本語で読み下すと、「千里爲重」の「爲」の部分と、「一人是大」の「是」の部分とは(日本語では)対にならないように見えるが、「爲」と「是」とはほぼ同義であり、完全な対となっている。(このような表現内容では)現代語でも両者は同義で使われ、「是」が多用されるものの、より文章語的な表現をとると「是」が「爲」となる場合が多い。 ・重:〔ちょう;chong2○〕「重」。「重」は両韻(多音字)で、基本的には「重」〔ちょう;chong2○〕かさねる。かさなる。動詞。「重」〔ぢゅう;zhong4●〕おもい。形容詞。と使い分けることが主だ。 ・重山:山が幾重にも連なり重なる。 ・重水:川が幾筋も流れ隔てている。 ・重慶府:〔Chong2qing4fu3○●●〕四川省にある地名。日本語では、何故か「ぢゅうけいふ」と言い、「ちょうけいふ」とは言わない。「重慶」とは祖父母と父母が健在であり、お目出たいことが重なっていることを謂う。
※一人是大,大邦大國大明君:天子は偉大で(「一人」の二字は「大」字となり)、大いな領国の大国の大明の天子は智徳の明らかな秀(すぐ)れた方である。 ・一人:〔いちじん;yi1*ren2●○〕天子。「一」「人」の二文字を組み合わせると「(大)」という字になる。 ・是:…である。(…は)これ(…なり)。 ・大:「大」大きい。立派な。 ・大邦:大きな国。 ・大國:大きな国。 ・大明君:大明のりっぱな君主。「大明の君」であり、「大明の君」つまり「大いなる明君」である「大明君」の意。 ・大明:〔たいめい;da4ming2●○〕智徳の明らかなこと。太陽。日月。 〔だいみん;Da4Ming2●○〕明朝の美称。
◎ 構成について
2008.2.22 2.23 2.24 |