山光焰焰映明霞, 燕子低飛掠酒家。 紅影到溪流不去, 始知春水戀桃花。 |
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杭州 の半山 にて桃花 を看る
山光 焰焰 として明霞 に映じ,
燕子 低く飛びて酒家 を掠 む。
紅影 溪 に到りて 流れて去らず,
始めて知る春水 は桃花 に戀したるを。
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◎ 私感訳註:
※馬曰璐:(ばゑつろ;Ma3yue1lu4)清代の詩人。1701年~1761年。字は佩兮。号して南斎、半槎道人。安徽省祁門の人。塩業を営む。向学心があり、詩に巧みで、広い交友、経済力で名を揚げ、地域の経済発展に尽力する。
※杭州半山看桃花:杭州の半山で桃の花を看て。*春の夕景色を詠んだものに北宋・歐陽脩の『豐樂亭遊春』「紅樹靑山日欲斜,長郊草色綠無涯。遊人不管春將老,來往亭前踏落花。」などがある。 ・杭州:浙江省の省都。江南運河の終着点として経済文化が発達し、「上有天堂,下有蘇杭」(上に天堂有りて、下に蘇(州)・杭(州)有り)と讃えられ、南宋時代には事実上の首都、臨安府が置かれた。 ・半山:地名。浙江省杭州市にある西湖の北北東12キロメートルのところにある。
※山光焔焔映明霞:山が明るく日の光を浴びて光り輝き、夕焼けに照り映(は)えて。 ・山光:山が明るく日の光を浴びていること。山の景色。 ・焔焔:〔えんえん;yan4yan4●●〕光り輝くさま。 ・映:照り映(は)える。 ・明霞:明るいかすみ。(夕)焼け。
※燕子低飛掠酒家:ツバメが低く飛んで、居酒屋すれすれに通り過ぎる。 ・燕子:ツバメ。「…子」は名詞の接尾辞で、特段の意味はない。 ・掠:〔りゃく;lyue4●〕かすめ飛ぶ。すれすれに通り過ぎる。 ・酒家:居酒屋。飲み屋=酒を飲むところ。また、酒店。酒屋(さかや)=主に酒を売るところ。ここは、前者の意。
※紅影到渓流不去:赤い(桃の花が川面に映(うつ)った)姿は、谷川に来ても、流れ去らない(が)。 ・紅影:桃の花が川面に映(うつ)った姿。 ・渓:谷川。 ・流不去:流れ去らない。南宋・辛棄疾の『菩薩蠻』書江西造口壁に「鬱孤臺下淸江水,中間多少行人涙。西北望長安,可憐無數山。 靑山遮不住,畢竟東流去。江晩正愁余,山深聞鷓鴣。」とある。
※始知春水恋桃花:(それは、)春の(川の)水は桃の花に恋している(のだな、ということが)やっと分かった。 ・始知:やっと分かった。 ・始:やっと。はじめて。 ・春水:春の(川の)水。
◎ 構成について
2020.7.18 7.19 7.20完 8.31補 |
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